表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
39/94

039 こっちの武具屋では短気じゃないよ

本日2回目の投稿です。

「おはようございます。武具作成を受注した方は来てますか?」


「おはよう。興味を持った冒険者が2人来てるよ。あそこの2人だよ。下級の冒険者だ。若いがこの町の期待の冒険者だよ」


「分かりました。行ってきますね」


受付の痩せたおじさんに軽く挨拶して、直ぐに冒険者に会いに行く。


「はじめまして。僕が逆依頼を出しました。よろしくお願いします」


見た目は10代後半かな?

男女のペアか。


「あぁ、よろしく。オーダーメイドで魔道具を作ってくれるんだろ? ちょっと高いが、見本の剣は良いものだった。しっかり作ってくれよ。こっちは俺のパーティメンバーだ」


「よろしくね。若い娘さんと若い奴隷ですか。見た目から心配ですね…あの剣は本当に貴方が作ったの?」


「先ずはお店で話しませんか? 他にも見本がありますから」


うん、生意気だ。

猫ちゃんの表情も微妙だ。

でも、今回の僕は短気じゃないよ。


「…よし、元々博打だ。今日1日位なら時間をくれてやるよ。行こうぜ」


「はいはい。案内よろしくね」




「…あんな魔道具があるなんて。とっても馴染む型が作れたよ」


「…剣だけじゃないのね。私の欲しいと思った槍が出来そうだわ」


粘土ゴブリン鉄を、いじいじ、こねこね、と型を作り初めてから大分と態度が軟化したよ。

見本も一通りあるから、見本で基本方針、デザインとバランスを粘土ゴブリン鉄、後は重量で値段、文句はなかった。


「では、受け渡しは3日後の9時で。ギルドへの入金が確認できたらお渡ししますね。ありがとうございました」


2人が満足と期待の顔で帰っていく。

昼を少し過ぎたが、まぁ良いだろう。

宣伝してくれると、なお有り難いけどね。


ちゃんと猫ちゃんにも働いてもらったよ。

僕は座ってこねこね型を作るだけ。

猫ちゃんは質問や相談を聞き、内容をまとめて僕に伝え、客と僕の間を取り持ってもらう。

主人の間で世話しなきゃ奴隷っぽくないからね。


「初めてかもしれません。人前で小間使いのように振る舞ったのは。マスターがご主人様してました。素晴らしい!」


誉めてる? 貶してる?

猫ちゃんが嬉しいなら良いけどね。

仕事を片付けよう、下級ゴブリン鉄で、型通りに最適化っと。

よし、問題ないね。

マジックポーチに入れて、終了。




モンスター素材の仕入れと称してその日の昼過ぎに出掛ける。

町の近場にダミーダンジョンを作って、次の夕方には町に帰る。

1日消化。


「制作中、入店お断り」の看板を玄関にぶら下げて鍵を閉める。

我が(ダンジョン)で1日のんびりする。

ここの所、全体的に模擬戦をしてる。

特に猫ちゃんがステータス上昇に体を合わせるため、レイピアゴブリンと戦ったり指導を受けてる。


欺くためとは言え、2日間は長いな。

鍛冶職人からすれば短いと思う、多分だけど極端に早い。

これ以上は短縮できないんだよね。




3日が経った。

朝、ギルドに行く。


「おはよう。2人分の入金があるよ。金額を確認して」


一応手応えを感じていたが、入金を渋ることはなく、ちゃんと約束の額が入ってた。


「大丈夫です。約束の金額を確認しました。商品を渡したら来るので、手数料と税金をそのお金から引いててください」


「分かったよ。2人が待ち遠しそうだよ。行ってあげて」


さっきからガン見してる2人に近づく。


「おはようございます。早速ですが、約束の片手剣と槍です」


マジックポーチから完成品を出して渡す。

…あ…れ? 握ったまま無言だ。

大体喜ぶのに…うぉ!?


「おぉ、おぉ、おぉ、馴染む。すごく馴染む。凄いぞ」


「良いわぁ。すごく良い。あぁ、良いわぁ」


なにこの2人、すごく怖い。

武器を掲げて酔いしれる男(振らないだけの理性あり)と、槍に頬擦りする女(これ以上の行動に走らない理性あり)がいる。


「き、気に入ってもらえて良かった。では、次の方は居るか確認して…」


「あぁ、嬢ちゃん。この馬鹿の知り合いが次の依頼人だ」


渋い男だけど、多分20代中盤。

同席してるなぁとは思ったが、渋い男も含めた3人ともが武器に酔いしれてる男女の知り合いかな?


「そうですか。はじめまして。早速ですが店に行きますか? …置いてって大丈夫でしょうか?」


「迷惑じゃなきゃ、連れてく。今日は放置できんだろうな。一応これでも剣を教えた仲なんでな。置いていけん」


了承の旨を伝えて、受付で処理を済ませ、店に移動する。


3人ともベテラン冒険者として年期が違う、注文が細かいが分かりやすいようだ。

猫ちゃんが奔走して聞き、バランス確認の素振りを庭で対応し、またバランス調整に。

若い冒険者にも、注文の甘さを指導してるから時間がかかる。


終わったのは夕方に差し掛かる辺り。

今日はもう終了、材料があることにする。

これで注文が途切れなければ、ここの生活も安定するよね。


さて、他所様のダンジョンの攻略と我が(ダンジョン)の平常運転までゆっくり過ごすとしますか。


「あぁ、ご主人様にこき使われるって幸せです。生きてるって感じがします」


猫ちゃんって、あんな感じだったっけ?

まぁ良いや。

愛玩用じゃない、生きてる猫ちゃんが好きなんだから。


「これで失敗したら…怒るだろうなぁ。ふふ、夜が…。あ、でもでも、真面目に働いてるご主人様に迷惑は…んー、どうすれば…」


…独り言も小さめに言ってね。


僕はどうすれば…

次の投稿は明日の06:00です。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ