032 古戦場跡のレイス、猫ちゃんの昔話
本日1回目の投稿です。
2回目の投稿は18:00予定です。
よろしくお願いいたします。
現在、僕、待機中。
コアさん、古戦場跡ダミーダンジョンを臨時で管理中。
猫ちゃん、気絶中。
暇なので、我がダンジョンの現在の状況を整理する。
猫ちゃんをモンスター合成してダンジョンの魔力がほぼ枯渇した。
が、維持する程度の供給はある、地上部に人が多いからね。
ちょっとずつ貯まるが、それが問題になる。
転移した時、首都にモンスターが寄り付いてきていたらしい。
今後は分からないが、今は目立ちたくない。
最初は転生分の消費を考えて魔力を貯めようとしたが考え直した。
配下の蘇生分は諦めた場合、僕とダンジョンのみの転生で必要な魔力は約5,000。
それ以上は貯蓄せずに消費しようと考えた。
消費先は、向上心と自己犠牲の精神が強い配下ゴブリンだ。
配下ゴブリンのステータス上昇は頭打ち。
ならどうする?
結論は装備の更新だ。
最終決戦用装備をした配下ゴブリンから、武具を使用した感想が上がった。
同種族の方が使いやすいって。
で、全ての配下ゴブリンの装備を新調することにした。
ソードマン…ソードマン2の両手剣(一部好みの剣を希望する子がいる)、ソードマン1の胸当て
メイジ…メイジ1の杖、メイジ1のバックラー、メイジ1のローブ
ヒーラー…ヒーラー1のメイス、ヒーラー1のバックラー、ヒーラー1のローブ
ジェネラル…ジェネラル2のロングメイス、ジェネラル2のカイトシールド
と、なった。
余剰魔力は、武具作成時に犠牲になった子の蘇生分として使用されている。
今のところ、半分くらい行き渡ったかな?
配下ゴブリンに行き渡ったら、配下ゴーストの武具を考えよう。
一応だけど手と思われる部分があるから装備できると思う。
先に武具がいるのはレイスかな?
『ランク2のダミーコアが完成しました。連絡。外のレイスが3匹同時に順番待ちしています』
おおっと、このダミーダンジョンは攻められているのだった。
外のレイスが一緒に来るとは想定外だが一気に片付くな。
猫ちゃんもすやすやと寝息たててるし落ち着いたね。
早く片付けよう。
配下のレイスとナイトメアゴーストは下げて、ボス部屋には僕1人。
コアさんもなにも言わないから戦力は僕が上なんだろう。
サクッと終わらせよう。
とっても面倒な戦いだった。
連携はしないが、闇魔法が雨のように降ってくるし、状態異常も仕掛けてくるし、鬱陶しいことこの上ない。
防御魔法の三重掛けで無理矢理活路を開いて、1匹を戦闘不能にしたら、こっちに流れが来てそのまま3匹とも戦闘不能。
この戦いに巻き込まれたゴースト5匹は、闇魔法の流れ弾で死んでた。
配下になーれ×3!
拒否権無いよー、抵抗は無駄だよー。
よし! これでゴースト部隊の隊長格は十分だろう。
で、この辺りに強いの未だ居る?
やっぱりレイス達がこの辺りの大将か。
ナイトメアゴースト? 問題ないから大丈夫。
先ずは我がダンジョンで待機しといて。
落ち着いたら相談にいくから。
これで大丈夫。
ランク2のダミーコアを作ったけど、ここもダンジョンランク1相当で十分だね。
実験の結果、配下ゴブリン3匹まで、貯蔵魔力は2,000以下、それならランク1を保てる。
新装備の配下ゴブリンから3匹、1時間交代で入ってきたゴースト倒して。
あぁ、この未完成のダミーコア(ランク1)を育てて。
ちゃんと3個あるから交代の時に渡してね。
配下ゴブリンのボス配置完了。
ダミーコアランク1の設置とコアさんの回収完了。
入り口を最小に。
地上部への樹の設置…やっとくか。
よし、仕事終わった。
猫ちゃんは…
「すみません。やられて倒れてたのですね。レイスは強い敵でしたが、私がまだまだ弱い。そうですよねぇ、鬼畜なご・主・人・様」
仕事は終わったが、猫ちゃんの対応がこの後控えてた。
連戦による興奮、敵に負けてしまった悔しさ、僕の愛の鞭への怒り、混ざってちょっとおかしな事になってる。
我がダンジョンで癒してあげよう。
日も暮れたからそろそろかなっと考えてると、珍しく猫ちゃんからお風呂のお誘いがあった。
初めてじゃないかな?
戦って疲れたんだろうね、癒して、癒されてあげよう。
「ねぇ、ご主人様。ご主人様に拾われる前の私はどうしてたと思います?」
猫ちゃんは、普段お風呂では奴隷セットは外してくれる。
が、今日は首輪だけしてる。
なんでだろう?
「普通の村娘かな? 体力が無くて農作業もあまり手伝えませんでしたから家事手伝いの穀潰しだったと思います。今思えばその時から病気だったのでしょうね。12の時に口減らしで家族に捨てられました」
あ…れ…?
重い話じゃないですか?
本当にどうしたの?
「私は運が良かったのだと思います。路頭に迷って、なにも考えられず、生きるために冒険者にでもなろうかなとギルドに足を運んだら、ソロの中級冒険者に拾われました。家事をして欲しいって。宛もないのでそのまま着いていきました」
運が良いのか?
その当時の猫ちゃんが人を疑って無いのが僕心配。
「成人を迎える15まで、首都の端にある古く小さな家での日々が続きました。外に出ないで欲しいとお願いされ、素直に従って日々を過ごしていました」
なら何で残飯漁りなんてしてたのかな?
「成人してまもなく、ご主人様に拾われる半年前くらいに、冒険者は帰ってこなくなりました。買い物すら冒険者がしていたので直ぐに飢えました。そこからは捨てられた物を食べ、お腹が空かないように家に引きこもる日々です。終わりを迎えたのはご主人様に出逢った時です」
そっか…冒険者は死ぬよね。
僕のダンジョンでも何人死んだかな?
そんなことがあったんだね…でも何故今言うの?
「冒険者との生活で必要だったのは、家事と…夜のご奉仕です。幻滅しました? 私は穢れてますよ」
…ショック…受けてるよな。
そんな僕が嫌いになりそうだ。
猫ちゃんは必死に生きて、それが生きる術だったんだよね。
「優しいですね。私を責めないで、自分を責めるなんて。なんでこんな話をしたと思ってます?」
分からない。
でも、教えてくれてありがとう。
「昔話は終わりですけど、そんな生活でも特技を覚えたんですよ」
暇な時間がいっぱいあったんだよね。
孤独を紛らわすのも大変だったよね。
「なにか忘れてませんか? 今日の私は怒ってるんですよ。だから、ご主人様に特技を披露しようと思います」
なんで?
意味が分からない。
今日の猫ちゃんのご機嫌と関係があるの?
「ご主人様は…男性でしたけど、童貞でしょ? いつも悪戯が甘いんですよ」
んなっ!?
か、関係ないじゃん!
「今は女の子なご主人様に…私の特技、ご奉仕マッサージをしますね」
えっ!? ちょっ!?
待って!
「待ちません! 精一杯のご奉仕マッサージを受けてくださいね!」
嫌っ! 待って! そこは!?
だ、だめーー!!!
猫ちゃん、すごい。
もう、無理。
お風呂での攻防を這いながら逃げたのに、布団で追撃だなんて。
昨日はとってもご奉仕マッサージされた…うぅ。
「ちなみにお世話になった冒険者は女性ですよ。私の事がバレたくなくて私に引きこもってとお願いしてたんですよ。私は一応綺麗ですから安心してください」
もう、どうでも、いいよ。
猫ちゃんは、マッサージ、とっても、すごい。
僕、勉強、した。
「まだ、初級の入り口なのになぁ。次が楽しみですね、ご・主・人・様」
ひぃ!