030 2人の絆
本日1回目の投稿です。
2回目の投稿は18:00予定です。
よろしくお願いいたします。
ダミーダンジョンの2ヵ所目を作って配置で我がダンジョンに帰還。
尻尾騒動でご立腹の猫ちゃんに謝り倒して、何とか仲直り。
今は一緒に食事作ってる。
じゃらじゃら
気になる。
とっても気になる。
取り外し可能な鎖は、今は手だけ外してるけど手枷は付けてる。
けど、足枷と首輪には20cmの鎖を付けたままで、動く度にじゃらじゃらと音がする。
「ねぇ、ダンジョンの居住区では奴隷セットは外さない?」
「私は捨てられるのですか?」
いーやー!
この装備、奴隷セットを作ってから何度目かのやり取りだよ!
捨てないって!
今のは、ただ単にリラックス空間じゃ不要だから外してほしいだけだったのに。
手放す気は全く無い!
お互いを繋ぐ関係として、主人と奴隷、これで落ち着いた。
けど、猫ちゃんは奴隷じゃないと駄目なのかな?
切っ掛けは猫ちゃんのモンスターランクが上がって、獣人化が出来るようになった時。
獣人化の時は戦闘スタイルが変わり、適切な装備が必要になった。
白猫魔力で出来てる猫手足、特に手はレイピアを持ったら威力の高い鉤爪が活かせない。
無手の近接格闘が適切だとまでは分かった。
何度か実験を繰り返して分かったんだが、装備の上に纏う形で具現化する。
まぁ、獣人化の度に手足の装備が破れないのは良いが、装備が活きない。
白猫魔力だけでも十分に威力があったけど、帯電したレイピアと似た威力。
間合いの短い分だけ不利になる。
折角の獣人化の利点が少なくなってしまう。
なにか良いものはと粘土ゴブリン鉄で色々模索。
そしたら、たまたま鉄と魔力が同化、白猫魔力と共存する事で獣人化状態でも装備が意味あるものになると判明。
獣人化の時に同化するので、同化前の形状は何にするかと議論になった。
「マスター、私は奴隷です。装飾品で飾るのは世間から浮いてしまいます。奴隷らしく金属製の手枷や足枷、首輪を所望します」
世間的に奴隷はどこかに1つ、奴隷契約が刻まれた金属製の枷が付けられる。
一般的には首輪、所有者の好みで手枷や足枷が使われることもあるらしい。
ここで問題なのが、猫ちゃんには配下製の強化ゴブリン鉄、命名、配下ゴブリン鉄を6つ付けないといけない。
同化は近い所に付ける方が発動が早かったので、手足に1つずつの4つ、耳と尻尾は妥協して首に2つ分となる。
猫ちゃんの案と発動を考えると、手枷、足枷、首輪、と拘束過多で、ご主人はこの奴隷を絶対逃がさないぞ的な見た目になる。
『呼称「猫ちゃん」、デザインはどれが良いですか?』
「この落ち着いた彫りが良いですね。これで統一したら良いかもしれません。あと鎖もお願いします」
『了解。作成時に干渉してデザインは今ので統一します』
ちょ、ちょっと待った!
拘束過多を認めてないよ!
せめて、奴隷の証は足枷1つ鎖も無しで良いじゃん、目立たないし。
「マスター、早速練習したいです。今回も協力してくれたソードマンさん達のために早く欲しいです。お願いします」
よし、こうなったらコアさんの干渉を妨害して、可愛い、チョーカー、ブレスレット、足の片方はアンクレット、決めた!
作成…んなっ!?
「私を縛って、ご・主・人・様」
あぁあ、耳元で…んがっ!? 僕の願望が!? …いや…コアさんにもろに干渉されたんだ! きっとそうだ!
出来上がってしまった。
手枷、足枷、首輪、それぞれ20cmの鎖付き。
落ち着いたデザインだが、遠目から見たら普通に奴隷用だ。
「ありがとうございます。早速着けますね」
あぁあ、拘束過多の猫ちゃんが完成したよ。
今からでも直そ…
「マスターのお手製の拘束具、嬉しいです」
いや、僕はそんなこと望んでない…はず。
やっぱり外し…
「私は捨てられるのですか?」
いや、絶対捨てない!
でも…ね…
「外されるのでしたら、ここを去ります」
…え?
猫ちゃん、去っちゃうの?
でも、奴隷の首輪を外したら去るって言ってるし…
でもでも、僕は無理矢理に繋ぎ止める事はしたくないんだよ。
「分かった…。外す…。心は…奪わない…約束…。だから…」
外すために首輪に手を伸ばす…
…猫ちゃん、なんで僕の手を握ってるの?
外せないよ?
「泣くぐらいなら我が儘言ったらどうですか?」
泣く?
あ…僕、泣いてる?
「奴隷になったからといって、私の心を奪った気にならないでください。マスターは私を縛るくらいの我が儘を言って良いんですよ。救ってもらった命の代償を軽く考えすぎです」
対価を求めてやったわけではない。
モンスターに変えたのは僕の我が儘だ。
猫ちゃんは命を救われたと言ってるけど、命を弄んだ結果だよ。
何もかも僕の我が儘だ。
「深く考えすぎです。ここまで私を弄って責任とらないんですか? 私はマスターに縛られることを望んだんですよ。奴隷の首輪をこれからも私に着けさせてください」
「嫌だ…嫌だ! 行っちゃ嫌だ! 僕と一緒にいて! 貴女が好きです!」
「はい。これからも宜しくお願い致します。愛しのご主人様」
と、思い出しても恥ずかしい2度目の告白をしてしまったのだ。
何度も繰り返す、首輪を外す外さないのやり取りは僕の願望を確認してる気がする。
猫ちゃん、これからも傍に居てね。
さて、明日は古戦場跡に向かうためしっかり休もう。
猫ちゃんと一緒に。
おやすみなさい。
「おやすみなさい、マスター」