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転生して転移するダンジョン 僕の行き先はどこだろう?  作者: 山葵田萬十郎
首都 出会いとダンジョン外活動編
29/94

029 名も無き森の珍獣達

本日2回目の投稿です。

危機察知の反応は、大きく分けて3ヵ所。


一番近いのでモンスターランク3~4、5までは行ってないと思う。

右奥、左奥、それぞれ反応はあるけど距離があってランク不明。

予想では間合いが絶妙で拮抗してる様子から、ランク差はそんなに無いと思う。


さて、その拮抗状態を崩しますかね。


「猫ちゃん、行ける? 行けなくても僕は突っ込むよ」


「大丈夫です。最近の特訓の成果をお見せします!」


猫ちゃんはランク3になって、獣人化を使えるようになった。

それに伴い装備を改造したのは良いのだけど、デザインで僕とコアさんと猫ちゃんで揉めた。

折衷案(?)が今の装備。

お互いの気持ちを分かち合った結果なんだけど、心のどこかで何とかならないかなと今でも思ってる。


猫ちゃんが抜き身のレイピアをマジックポーチから取り出す。

これも獣人化による先頭スタイルの変更で、鞘が邪魔になった為だ。

あと、猫ちゃんの要望でもある。


さて、どんなモンスターが出てくるのかな?




一番近い所に居たのは、


『パワフルテイルラクーンです。尾を駆使して戦う獣型のモンスターです。ランク3。テイルラクーンの進化系です』


うん。

大きいアライグマだ。

尻尾を上手く使って立ってるけど、その短足なら四足獣のように四つ足の方が体が安定しないかな?


進化はこれ以上望めないようだし、好みじゃない。

我がダンジョンの住人にはしないで良いな。

猫ちゃん、殺っちゃおう!


「ゴブリンさん達と同じランクですか…出し惜しみせずに全力で挑みたいと思います!」


油断はないね。

さて、どのくらい強いのか?

猫ちゃんの攻撃はどこまで通用するか?


3匹来たので、猫ちゃんに1匹相手してもらう事にした。

短足歩き遅いな…んなっ!? 尻尾で跳ね上がりやがった。

押し潰しが得意なのか?


猫ちゃんの邪魔をしちゃ悪いので、空中で横凪ぎ峰打ち。

防御魔法を武器に水、土、光、三重掛け。

もう一匹を射線に入れて吹っ飛ばす!


防御魔法って威力の吸収じゃなくって、威力の相殺、力に対して力を当てるんだよね。

受け身の攻撃魔法だと解釈してる。


だから、相手に当たった反動を相殺しようと防御魔法は力を当てるように作用する。

峰打ちの衝撃と三重防御魔法の相殺作用、結果は3mの巨体が吹っ飛ぶって事。


あ、それだけで1匹戦闘不能だ。

もう1匹を適当に相手しつつ、猫ちゃんを観戦しよう。


猫ちゃんは直ぐにレイピアを収納した。

新装備の鎖付き手枷と鎖付き足枷、それに鎖付きの首輪、それぞれに魔力を流して、獣人化する。


姿が変わるわけではない、爪先立ちして前傾姿勢になっただけだ。

その前腕と下腿、それに頭上と臀部、猫の姿を模した白い魔力が具現化した。

簡単に言えば、猫手足に猫耳と猫尻尾、可愛い猫娘になったよ、白猫ちゃん可愛いな。


獣人化の魔力に合わせて、手枷と足枷と首輪が光って溶けて、白い魔力と融合する。

白い魔力に配下ゴブリン鉄が溶け合い更なる強化と強度になる。

特に猫手足の鉤爪は配下ゴブリン鉄の強度それ以上だ。


鉤爪以外の柔らかく動く白い魔力の部分もちゃんと補強されている。

武具の型作りやコアさんが遊ぶ用の粘土ゴブリン鉄の応用、と言うか発展しすぎて別物だ。

やれば出来るものだなと、僕は僕を誉めた。


猫ちゃんの獣人化の長所は、常時高速戦闘と手足の常時帯電状態、耳は感覚を研ぎ澄ませ、尻尾は姿勢制御に一役買う。

短所はまだ修行中で燃費とちょっとムラがある事。

風属性が効きにくいモンスターも苦手かもしれない。


戦闘は一方的だった。

アライグマは尻尾のバネで瞬発力はあるが単発で、一度見極めれば苦はなく捌け、機動力は圧勝。

機動力で勝っているから、リーチの短さも苦にせずタコ殴りだ。


無数の爪痕を刻まれ沈んだアライグマを見届けて、僕が遊んでたもう1匹に止めを刺した。


「白猫ちゃん圧勝だね!」


と、軽く尻尾を握ってさわさわ。

ふわふわで気持ちいい!


「ひゃ!? あぅん! し、尻尾はダメー! 怒りますよ!」


引き際肝心。

名残惜しいが手放す。

寝るときにねだってみようか…


「ご主人様。今日から奴隷は奴隷らしく迷宮の石畳で休ませていただきますね」


ごめんなさい。

それだけは勘弁してください。

今の装備でそんな扱いすると…うぅ、猫ちゃんには普通に接して欲しいよぅ。


問題は先送りで、次の相手は何処かな?




『スパウトアスラッグです。高温の飛沫を飛ばす軟体のモンスターです。ランク3。ビッグアスラッグの進化系です』


これも好みじゃない。

サクッと殺ってしまおう。

ちなみに体に塩袋を持ってるらしいが、ナメクジが塩持ってて溶けないのか?


結論としてランク3の下位だと思う、弱い。

5匹居たが、動きが遅いので翻弄して様子見してたら、飛沫を友軍誤射して仲間が少し溶けてた。

ナメクジに塩って効くんだねぇ。


猫ちゃんは獣人化もしないで、帯電レイピアで横腹を突っついてた。

僕も似たように側面を攻撃してたら、いつの間にか終わってた。

アライグマの方が強くないか?


次だ!




『グライドオウルです。飛翔はしませんが地上を飛ぶように滑走します。ランク3。ラッシュオウルの進化系です』


飛ばないフクロウか。

走る鳥なんだけど、見た目では素早い動きをするように見えない。

だって、ふっくらふかふかボディーなんだよ、見た目詐欺じゃん。

こいつも我がダンジョンには要らない。


アライグマは頭上からの攻撃、ナメクジは前方中範囲の中距離攻撃、フクロウは突進攻撃だった。

突進はこの森で1番早いと思うけど、回避しつつ横凪ぎで攻撃を置きにいくだけで4体とも弱っていった。

猫ちゃんも力が抜けて、動きに無駄がなくなり、獣人化しなくても対処できてる。


3種のモンスター、相性がぶつかり合って拮抗してたんだね。

アライグマ < フクロウ < ナメクジ < アライグマ、って感じかな。

進化個体は全滅したけどね。




進化前はまだまだ森にいるだろう。

新しいダミーダンジョンを作るには良いかもしれない。

人気もなさそうなモンスターだし、冒険者は少ないだろう。


ゴブリンの森と同じ作りで、この珍獣の森にもダミーダンジョンを作った。

大木も問題なく樹に出来た。

これで2ヵ所目だ。


急ぐ旅でもないので、今日はここまで。

我がダンジョンで休もう。




猫様は、尻尾さわさわのお怒りが収まってらっしゃらない様子。


謝り倒した。


なんだかんだで猫ちゃん優しい。

次の投稿は明日の06:00です。

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