027 オーダーメイド武具屋
本日2回目の投稿です。
面倒臭い。
あのムサイ冒険者に武具を作らないといけないのか。
受付のお姉さん、ちゃんと処理してないと怒るぞ!
「たのもー!」
勢いは大事だ!
「あぁ、やっと来てくれた! あれから残業させられたんですよ! 今も他の冒険者の方々が問い合わせに来るんです。早く対応してください!」
「きっかけはお姉さんですから、僕は悪くない。被害者だ」
「漫才は要らねぇ。早く話を始めてくれ。依頼も受けずに待ってたんだ」
このムサイ男達が相手か。
やる気でないなぁ。
勢いで言ったけど、仕事だしちゃんとしよう。
「では、場所を移動し「待って! ちゃんと依頼の手続きしてってよ!」…少々お待ちを」
ギルドの掲示板に、僕の武器作成依頼の希望者募集が張られた。
内容は…
「どうしても欲しいなら作ってやる!
希望者は受付で順番守れ!
武器引き渡しと次の依頼者は7日毎の9時にギルドに来い!
金額は作る武具に消費する材料で決まる!
大体、片手剣でこんぐらいだ!
文句は聞かん!
納得した者だけこの依頼に食いつけ!
追記、愛用の武具があるならそれに似せるから持ってこい!」
と、書いた。
一応、今集まったムサイ男達にも金額は言った。
見本であの両手剣も見せた。
皆、帰らなかった。
残念。
早く終わらせたいから、早速移動しよう。
「おいおい、ゴースト屋敷じゃないか。こんなところに住んでるのか?」
「ボロ屋敷だけど、気に入ってる。入る度胸がないなら帰って良いよ」
帰…らないかぁ。
ホールにはまだ何もない。
素振りするくらいの広さはある。
狭いと言うなら外の庭で確認すれば良い。
「先ずは貴方から、見本ある?」
「注文を言うから。欲しいのはロングソード。鍔は…柄は…」
白い塊を出して、軟質化、ふむふむ、こねこね、こんなかな?
硬質化っと。
「こんな感じ? 振ってみて。重心とか握りとか調整する」
「それ…何だ?」
「型どり用の魔道具。脆いから武器にはならない。あぁ重さは同じだから心配しなくて良いよ。次の人の注文を聞く間に変更点を考えといて。素振りするなら…ここ人が集まると狭いね、外でやって。それ、盗むとギルドに言うから。じゃ、次!」
ふむふむ、こねこね、次、ふむふむ、こねこね…
3順くらいしたら5人とも納得いったようだ。
重さを基準にそれぞれ値段を伝え、引き渡しまでに冒険者ギルドに支払えと伝えた。
確認出来たら冒険者ギルドで渡すことにした。
ギルドに出した依頼だからそっから税金と手数料が引かれる。
じゃないと、商業ギルドへの登録がいるそうだ。
面倒臭いから、冒険者ギルドに合わせた。
ムサイ男達改め客は帰った。
時間は昼。
7日に1回、こんなことするのか。
以前の露店は暇潰しと情報収集だったが、これは何の活動だろう?
意味を見出だしたいものだ。
昼の日課をこなすが、カードは隔離空間に仕舞ってる。
今日は討伐カウント増やせないからね。
あの大量のゴブリン耳はちゃんと処理されて、カードと一緒に報酬もらったよ。
あぁ、猫ちゃんの緊張感が減ってるなぁ、ゴブリン弱いもんね。
帰ったら武器作成。
命名、下級ゴブリン鉄(強化ゴブリン鉄1:普通のゴブリン鉄3)を材料にして、型通りに最適化。
ちなみに型どり用の魔道具も強化ゴブリン鉄を細工したもの。
命名、粘土ゴブリン鉄。
隔離空間でコアさんが日々可愛い武具を検討するために考案した。
コアさんが珍しく喜びを表に出していたのが印象的だったよ。
夕方は猫ちゃんにゴブリン狩りは任せて、ボロ屋敷のホール改修をした。
久々に本気出した。
こねこねする作業台や、相談する為の対面テーブルセット。
下級ゴブリン鉄で、参考用の武具を作り、棚を作って飾る。
参考用の武具は基準にしてもらうため参考価格も書いておいた。
一応、順番待ちの人のために10人掛けのテーブルセットも用意した。
10人なのは購入に便乗して見学に来た人用だ。
考えすぎかな?
猫ちゃん帰ってくる前に終わったよ。
「すごい。マスターが仕事してる。とっても良い感じの高級オーダーメイド武具屋になりましたね」
帰って来て早々に貶された? 誉められた?
でも、猫ちゃんに言われるとどっちでも嬉しいな。
ありがとう!
ご飯は自炊で済ませて、風呂入って、寝る。
「マスターの絡みが控え目だ。ちゃんと働かせれば良いマスターになるのですね」
いっつも働いてるよー、多分?
あれから7日、受け渡しの日。
ダミーコアが1つ完成したけど、ダミーダンジョンの候補地を決めてなかった。
ギルドでモンスター分布と周辺の町や村の情報を仕入れよう。
「たのもー!」
ここに入るのには勢いで押しきらないと負けな気がするようになった。
先ずは入金確認っと、5人ともちゃんと払ってるって、受付のお姉さんが教えてくれた。
お姉さん、疲れてる?
「早速、例の物です」
「「「「「おぉ!」」」」」
「今さら文句は受け付けません!」
「高い買い物だと思ったが、出来上がると安い買い物だったと思える出来映えだ」
「お前等、これ見ろ! 俺専用の魔道具ロングソードだ! くぅー、たまんねぇ」
あぁあ、知らない。
喧嘩腰の依頼書では、2人しか受注者はいなかった。
早く終わると思ったのに、受付に殺到してる。
ちょっと待っててとお姉さんから言われ、逃げようとしたら…
「働くマスター、好きですよ」
と、猫ちゃんに耳元で言われた。
可愛がるしか無いじゃないか!
うりうり、ぷにぷに、…はっ!
今日の希望者が5人揃って、次回も予約が入ってた…頑張ろ。
副業の方が大変になるのは避けたいな。
まぁ、1日もかからず終わるけどね。
7日に1日くらいは猫ちゃんの手のひらで踊ろう。
次の投稿は明日の06:00です。