024 初めての依頼受注はゴブリンです
本日1回目の投稿です。
2回目の投稿は18:00予定です。
よろしくお願いいたします。
「これを受けます。手続きお願いします」
「…んー。…はい、承ります。2人の冒険者カードをお預かりします」
「どうぞ」
「はい、お預かります。最近は落ち着きましたが、一時期、低ランクのモンスターが首都に近づく現象がありました。何があるか解りませんので気を付けてください。はい、カードをお返しします」
「親切にありがとう。分布は徒歩3時間の西の森で合ってる?」
「ですね。モンスターが首都へ近づかないようにとの常時依頼なので、首都側から討伐が推奨されています。あまり守られてはいませんが、数を減らすことも大事なので、無理せず頑張ってください。後、討伐部位は右耳です」
「ありがとう。行ってきます。猫ちゃん、行こ」
「はい。では、行ってきます」
さて、行きますか。
のんびりと猫ちゃんと戯れながら歩くこと3時間と少し、目的の森に到着。
外壁の外は穀倉地帯や一部野菜畑があって、そこを過ぎれば広い草原で、目的地の森となった。
結構距離あるよね。
「私にちょっかいするから、歩くのが遅くなったんですよ」
気にしなーい。
「これをマジックポーチの中に入れといて。育てなきゃいけないから」
あの規格外な冒険者は、高価なマジックポーチを複数持ってた。
ひとつは僕が一応持ってる、猫ちゃんにもちゃんと持たせたよ。
「ダミーコアですか? それにしては違和感がありますね」
そう、ダミーコアの未完成品だ。
魂が材料なんだけど、余ってないから、コアさんが魔石で型だけそこそこ大量に作ってた。
型を作るのに時間がかかるだけで、魂は作成最終段階でサクッと使うだけだって。
狩ったモンスターの魂を型に流し込んで完成させる予定だ。
「なるほど。ちなみに私が着けている物と同じものを?」
ランク1を作成予定。
それでも予定ではゴブリン300匹分は必要になる。
倒すのは楽だけど、探すのがねぇ。
「それも仕事の内ですよ。さぁ、張り切って…。ゴブリンから来ます。好戦的なモンスターなのですね」
『告。マスターとマスターコアが狙われています。貯蔵魔力が少ないため範囲は狭いですが周囲への影響はあります』
「モンスターに人気が出ても嬉しくない。猫ちゃんなら大歓迎ですよー。今からで…ぶへっ」
「うるさい! じゃ、先行を貰いますね」
猫ちゃんの速攻!
猫ちゃんお得意、敵前でのサイドステップから敵側面へ刺突!
しゅーりょー。
「あ…れ…? 弱くないですか? ゴブリンさん達は簡単に凌ぎますよ?」
「そりゃ、配下ゴブリンはランク基準以上に強い。野良ゴブリンは、風の移動補助魔法で加速されたサイドステップなんてされたら相手を見失うよ。慢心は良くないけど、野良ゴブリンは弱いんだ。モンスターランク2でも最弱だしね」
猫ちゃんもモンスターランクで言えば2だけど、ランク3の配下ゴブリンと撃ち合える程度には動ける。
勝てないけどね。
悔しがってる猫ちゃんも可愛いんだよ。
『告。森の浅瀬では目立つ恐れがあります。奥に行くことを推奨します』
「そうだね。寄ってくるなら、密度の多い場所が良いよね。猫ちゃんに複数への相手とか練習して欲しいし」
「解りました。早く移動しましょう。直ぐに来るかもしれません」
「ここなんか良い感じだね」
森の中で何故か開けた場所。
そこそこ森の奥まで歩いたし、他の冒険者にも出会わなかった。
野良ゴブリンは来るまでにも少々居たけど気にならなかった。
「いや、6匹の群れに放り込むって酷いんじゃないですか?」
猫ちゃん、自分を過小評価しちゃダメだよ。
無傷だしね。
「練習中の雷電魔法で半数片付いてなかったら、混乱してましたよ。甘いんだか厳しいんだか」
「僕は真ん中でのんびりしてる。ピンチになったら手助けするね。あぁ、ダミーコアの型は討伐した瞬間じゃないと魂を取り込めないから、野良ゴブリンは猫ちゃんが全て倒すんだよ」
「鬼畜! 今日はお風呂は別々ですから、ねっ!」
文句言いながらも徐々に集まってくるゴブリンを倒してる。
コアさんが居るから、多少の距離なら触れなくても隔離空間に取り込める。
拾ったゴブリンを隔離空間から右耳だけ出して別に用意したアイテム袋に詰めとく。
広場の中央で最適化で簡易な木の椅子を作ってのんびり猫ちゃんの戦闘を見ている。
大分、無駄な動きが減ってるし、力加減が上手になってる。
はぁ、今日のお風呂って本当に一緒に入ってくれないのかなぁ、泣きそう。
「ん! 猫ちゃん倍速でゴブリン片付けて。なんか強いの来そうだよ」
「えー!? 頑張ります!」
あの規格外が来た時、常に感じた危機感からか危機察知のスキルを覚えたみたいなんだよね。
近づいてるのは僕に届く強さじゃないけど、猫ちゃんには格上かなぁ。
現れたのはメイス2本持ったゴブリンリーダー。
ちゃっかりと取り巻きのゴブリンが8匹ついている。
猫ちゃんはどう戦うかな?
「ちょっとー! あれは厳しいと思いますよ。援護をお願いします」
「まぁ先ずは一人でね。頑張ってー。負けたら慰めてあげるからねー」
「バカー! 知らない!」
猫ちゃんは接近する前に風魔法でゴブリンを3体行動不能にし、移動補助魔法でリーダーより少し離れた3体を特攻で倒す。
ここで漸くリーダーと残りの取り巻きの残り2匹が、僕から猫ちゃんに敵意を向けた。
そこからは一進一退の攻防が始まった。
猫ちゃんは防衛に回れば、ダメージを受けなかった。
取り巻きが邪魔で攻撃に転じたときに、リーダーからイイのを2撃食らってた。
僕はダメージが残るように、でも致命的じゃないほどに、防御魔法でダメージを軽減してあげたよ。
んー、劣勢か。
危ない攻防が増えてきたな。
このままじゃ…あ、リーダーが吠えた。
「いやー! これ以上の数は捌けないよ!」
リーダーの咆哮でゴブリンが増えたな。
これは使える!
「猫ちゃん、交代。椅子に座って休んでいいよー」
「集まってきたゴブリンは?」
「一緒に処理するよー。ってか、利用するんだよ!」
そこからは、僕はリーダーを殺さずに弄んであげて、リーダーには咆哮でゴブリンを呼んでもらう。
間合いに入ったゴブリンは首を一閃、隔離空間に収納、右耳を猫ちゃんの前に取り出す、をひたすら繰り返した。
猫ちゃんと交代の時に、育成中のダミーコアはちゃんと預かったよ。
『告。ダミーコアが完成しました』
了解っと!
「猫ちゃん、終わったよー! 僕、どうだった? 上手に戦えたかな?」
「あのゴブリンリーダーに同情します。回復魔法までかけてゴブリンを呼び出す道具にするとは…」
いいじゃん、誉めてよー。
「じゃ、猫ちゃん、帰る前に一仕事しましょう」
早速、ダミーコアを使おう。