023 猫ちゃんも冒険者になる
本日2回目の投稿です。
猫ちゃん寝顔も可愛い、おはよう。
微睡みの中で体を起こすのも面倒だと思い、ぼけーっとダンジョン視点で見回る。
今日も異常無し。
貯蔵魔力をモンスター合成に、これでもかぁ! って位に突っ込んで空に近い。
野良モンスターすら見向きもしない魔力貧乏だから異常なんて早々起きない。
今日も平和だ。
猫ちゃん復活後の数日、ダンジョンに引き込もっている。
慣れないことをした反動で疲れたんだ。
猫ちゃんのモンスター合成を無理矢理弄ってしまったからだ。
本来ならランク1+8の半分の4~5になるはずだった。
それは悔しいからと、コアさんと一緒に弄って素材のライトニングカイザーの成長期待値をそのまま残した。
ライトニングカイザーは成体でランク10は越えるから、将来的に猫ちゃんはとっても強くなれる。
反動でランク1からになってしまった。
仕方がないが、今後の成長に期待できる。
今は猫ちゃんの戦闘スタイルを、ダンジョン総出で検討してる。
「はあぁ!」
帯電したレイピアを突き出す。
ゴブリンジェネラルがカイトシールドで防ぐが、雷撃で動きが一瞬止まる。
「そこだっ!」
透かさず回り込み、痺れで動きが鈍ったジェネラルの横腹に2刀目の刺突を繰り出す。
…が、すぐに復活したジェネラルのシールドバッシュが刺突と衝突する。
「きゃ!」
重い反撃に剣を落とし、大きく状態を崩す。
そこにジェネラルのロングメイスの上段からの攻撃が振り下ろされ…寸止めされる。
「そこまで!」
「今回は上手に魔法剣が出たんだけどなぁ。ジェネラルさん、私の攻撃は効いてないの?」
いや、効いてたね。
それよりも立ち直るのが異常に早いジェネラルが強い。
猫ちゃんはまだモンスターランク2になったばかりだから、ジェネラルにとっては攻撃が軽いのかな?
そうだよねぇ。
「耐久力が高いジェネラルはもう少し崩さないと、猫ちゃんの攻撃は通らないかもね」
「戦闘なんてしたことなかったんですよ。毎日強くなってるのは実感できるけど、戦い方なんてすぐには覚えませんよ」
「一緒にレイピア2刀流になってくれたソードマン達と戦い方を勉強しないとね」
刺突攻撃好きな特攻野郎の有志9匹が、以前の僕に付き合った二刀流ソードマン達のように、猫ちゃんと一緒に剣術の研究と相手をしてくれてる。
流石ソードマン。
剣術を嗜んでいるだけあって、要領が良いし、教え方も上手。
しかし、初めて大都市に出てから20日近く経ってるな。
僕は出れるけど、猫ちゃんがなぁ。
猫ちゃんもある程度強くなったし、一緒に外に出たいな。
コアさん、良い案無い?
『推奨。呼称「猫ちゃん」へのダミーコア装備。今使用していないダミーコアランク1を装備したら魔力供給が出来ます。なおランク1なので魔力供給と配下契約維持のみです』
良いじゃん。
ダミーコアをアクセサリーにして、装備してもらおう。
可愛いのを作ってあげよう!
「猫ちゃーん。外に出る為のアク…」
「マスターコアさんの声は聞こえてましたよ。外に行きたいんですよね、私と。なら、奴隷の首輪をお願いします」
「…セサリーがいいなぁ、可愛いの。首輪はしなくて良いよー。僕が何かに目覚めても知らないよー」
「ぐっ。…いえ…世間体もありますし…所有者はマスターなので…」
「髪色変わっても、見た目は前のまんまだしね。妥協しよう。ん? そうだよ、猫ちゃんの装備。…あぁ、良いの? …ならお願いね」
さて、奴隷の首輪だが偽物だし良いのを作らないとね。有志の協力で材料も手に入ったし。
「…ええっと、私の装備の時もそうでしたが、ありがとうございます?」
早速作成!
じゃーん、ジェネラル素材の奴隷の首輪(拘束力無し)完成!
真ん中にダミーコアを嵌めて…完璧。
「いや、それは奴隷の首輪じゃないですよね!? 金属製の首輪をしているのは奴隷だけですが、それ可愛いしお洒落ですよ! 何処に奴隷に贅沢させる主人が居るんですか!?」
聞かなーい。
武骨な如何にもなのは僕がヤバい。
僕が何かに目覚めるから。
「じゃ、今日は遅いし、明日の朝から冒険者登録に行こう」
「…はぁ。ありがたく頂戴します。あ、着け心地も不快ないですよ。ジェネラルさん、ありがとう」
さて、明日はデートだ!
おはよう。
良い朝です。
今日も猫ちゃん抱き枕が心地良い。
「私、床で寝ようかな?」
却下!
ボロ屋敷からも堂々と出れるし、いざ冒険者ギルドへ。
あ、困り顔。
受付のお姉さん、眉間のシワが癖になってシワシワになるよ。
「あのね。一応、奴隷でも冒険者にはなれるわよ。でも、女の子2人の冒険者は危なくないかな? お姉さん、忠告しとくよ」
「大丈夫です。僕と猫ちゃんは強いですから」
「ご主人様。人前で奴隷に抱きつくのは如何かと思いま…」
「命令! いつもの通りに!」
「…はい、失礼します。…ふぅ。はーなーれーろー! 奴隷にする態度じゃないって何時も言ってるでしょ!」
「いいよー猫ちゃん。それが良い!」
あ、困り顔から呆れ顔になった。
お姉さんや、猫ちゃんの冒険者登録をお願いしますよ。
「…もう何も言いません。登録しますね」
またコアさんに干渉してもらって、ランク2モンスターの1割増で登録完了です。
僕ほどじゃないけど、猫ちゃんも素人にしてはステータスが高いからね。
目立たぬように一応用心。
サクッと登録は済んだ…よ?
早朝の依頼掲示板には下級の冒険者が群がる。
素材が人気なのは、常時依頼であるから報酬は保証されてる。
でも、狩り場で獲物の取り合いになるから安定感は無い。
通常依頼は安定感もあり人気だ。
より良い依頼を受けるために早朝の依頼の吟味と取り合いをしないといけない。
通常依頼は成功報酬制が多いから、依頼受託をギルドに申請してないと報酬がない。
依頼の横取りしても申請してないと報酬はないから、そんな嫌がらせは稀にしかない。
割の良い緊急依頼も稀にあるが、ある程度の実績がないと受けれない。
下級の冒険者には当然流れてこない。
「どの依頼を受けるのですか?」
「これ」
常設依頼でも不人気のゴブリンの間引き。
素材は魔石とゴブリン鉄、依頼料は安い、ランク2なのでそこそこ強い。
素材も依頼料も安く、数をこなさないと儲からない。
どうせ狙うなら獣系のモンスターの方が毛皮や食肉などに需要がある。
ゴブリンなら、猫ちゃんの練習にちょうど良い。
僕もちょっとやりたい事がある。
「ゴブリンさんですか? 倒せるかな?」
「うちの子と同列に扱わないで。野良は別物だよ。うちの子に失礼だよ」
「…すみません」
ってことで、初依頼を受けよう。
次の投稿は明日の06:00です。