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転生して転移するダンジョン 僕の行き先はどこだろう?  作者: 山葵田萬十郎
首都 出会いとダンジョン外活動編
22/94

022 白猫な少女

本日1回目の投稿です。


2回目の投稿は18:00予定です。


よろしくお願いいたします。

「貴女の命と魂を頂きます。最後です。貴女をください!」


「…はい…この命と魂をあなた様に捧げます」


コアさん、この娘をダンジョンに入れてモンスター合成と病気の治療をするよ。


『了解』


「おいで」


「…はい」


ボロ屋敷の地下の部屋は入り口が厳重に隠されていた。

過去形なのは壊して開けたから。

台所にある貯蔵庫の奥、死角になる場所に小さく開いている。


僕も少女にも言葉は無く、地下に降りる。

地下にしては広い空間の中央にダンジョンの入り口は開いている。

商人ギルドも見付けられなかったのだろう、書類や隠し財産が眠ってる。

一部はダンジョンの入り口が開いた時に落ちたようで、ダンジョン内で散乱してた。


ダンジョンランクが5になっても入り口は広がっていない。

もう広くならないのか、偶数ランクで広がるのか。

広くなってから考えよう。


螺旋階段を無言で進む2人。

やがて、ダンジョン地下1階に降り立つ。

降りながら地下2階への近道は作っておいた。


歩きで5分もしないうちに地下2階への階段に辿り着く。

大聖堂を突っ切り祭壇にある階段から玉座の間へ降りる。


配下達には会わせていない。

驚かす気はないから、少し遠慮してもらった。

玉座に昇る階段の前で止まる。


「ここで貴女の命と魂を弄らせてもらう」


最適化でシンプルな寝台を作り、毛皮で敷布団と枕を作って敷く。


「横になって」


「…はい。…よろしくお願いします」


この場所が普通じゃないと解っただろうに物怖じしないんだね。

彼女が横になったのを確認して、僕も玉座に座る。

マスターコアは彼女の胸の上、ペンダントはそのまま着けてもらってる。


「楽にしてて良いからね。では始める」


『了解。ダンジョン、配下、共に魔力供給は緊急時以外、維持のみの消費にします。マスターはダミーコアを通じての補助。ほぼすべての機能と魔力をモンスター合成に充てます。モンスター合成を始めます』


「んっ! …」


頑張ってね。

僕も精一杯頑張るからね。




『魔石の定着…異常無し。再構成後の身体…異常無し。魂の定着…異常無し。所要時間158時間。マスター、問題なく終了しました。休まれなくて良いですか?』


朝か。

ダンジョンマスターの体はやっぱり人と違うんだな。

一睡もせずに最後まで手伝うことが出来た。


「いや、この娘が起きるまで待つよ」


『了解。ダンジョンを通常稼働に戻します』


コアさんもお疲れ様。

起きたら、もう一度この少女と向き合おう。




「おはよう」


「おはようございます。あれ? 体がとっても軽いです」


思ったより早く起きたね。

コアさんを信じてない訳じゃ無いけど、雰囲気も変わってないし、大丈夫かな?


「約束通り、先ずは、貴女の命とも言える肉体は貰ったよ。正確には作り替えた。病気はその時に完治させたよ」


「はい。別人に生まれ変わったと言える…いや、本当に別の体になったのですね」


「解る?」


「はい。今までにない体だとは理解できます。説明は…難しいです」


元の肉体の見た目だけど、中身はモンスターだからね。

ライトニングカイザーの未成体の肉体が混じってるし、モンスターの心臓とも言える魔石が体内にある。

違和感は感じるよね。


「次に魂を貰う。受け入れて」


「!? はい。承りました」


配下契約完了。

これでダンジョンに縛られる存在になった。


「心までは奪わない約束だから、命令はしないよ。好きにしていい。そのままダンジョンから出れば勝手に魂は、配下契約は自然と解除されるよ」


「いえ、魂は差し上げます。心ですが…あなた様、いえ、マスターと共に居ることを願います」


んー。

最初は瞳に惚れた、容姿は小汚なかったが何故か惹かれた、心に触れあってみても惚れてる。

僕、恋に落ちてるね。


「…我慢ならん。もういい? …いいよね!? いらっしゃいませー、猫ちゃん! 今日から僕と一緒だよー」


「…あれ? ちょっと!? なぜ抱きつくの? えっ? こっちが素なの?」


「いや、僕は普通だよ。猫ちゃんが悪いんだよ。僕の猫ちゃーん」


あぁ、いい。

抱き心地もいい。

不健康だった体も治療済みで、とっても柔らかい。


「はぁはぁ。すんすん。あぁ、いい香りー。抱き心地も最高だ。もう離さないよー。うぐっ」


「いい加減離れなさい! 威厳はどこ行ったの? こんな壊れてたっけ?」


『否定。正常じゃありません』


コアさん失礼です。

普通ですー。


「あ、マスターコアさん。お礼が遅くなりました。ありがとうございます。ついでにぃ、マスターもぉ、ありがとうぅございます!」


あぁ、引き剥がされてしまった。

出会ってからずっとこの時が来るのを我慢してたのに。

まぁ、時間はいくらでもあるね。




以上が我がダンジョンでした。

案内しながら説明してたら夜になってた。


「はぁ、迷宮なのに一本道なんですね。ゴブリンさんも強そうだし、よく解りませんが、人間が攻略できるものなのですか?」


「まぁ、実際に攻略されたからね。アイツ等は異常でした。で、何で離れるのさぁ。いいじゃん」


「お風呂はのんびり入るもんだって言ってたでしょ! 抱きついてたら落ち着かないじゃないですか」


只今入浴中。

裸のお付き合いですよ!

猫ちゃんの裸体、ご馳走さまです!


「今更ですが、何故に猫ちゃんなんですか?」


「合成素材がとっても強い猫だったからだよ。あとは僕が受けた最初の印象。捨てられた猫みたいだった」


「はぁ、まあいいです。これからもよろしくお願いします」


「はい! よろしくします!」


何故睨むよ、猫ちゃんや。


まぁ実際、ライトニングカイザーの影響は多少ある。

金色の髪はとても薄まりほぼ白髪だ。

それに、コアさんの分析で解ってるんだけど、猫の獣人化が出来るんだよ。

今はまだ無理だけどね。


やっぱり猫ちゃんだね。

さぁ、上がったら一緒に寝るんだよ。


「睡眠必要ないのでは?」


「人間じゃ無くなってるけど、人間を辞めてはないよ。睡眠は大切です」


「部屋余ってますよね? 寝室1つ、ベッドも1つ。今回はお邪魔しますが、用意してくれますよね?」


「…」


猫ちゃん睨んでも可愛いよ。

だから、冷たい目で見ないでー。

目覚めそう!


でも寝る。

一緒に。

おやすみなさい。


「おやすみなさい、マスター」

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