014 ダンジョンで売り子してみる
本日1回目の投稿です。
2回目の投稿は18:00予定です。
よろしくお願いいたします。
「いらっしゃいませ!」
「水を小樽で5杯分、後は食材を9人が3食だから27食分くれ。あぁ、このアイテム袋に詰めてくれ。あー、後、肉串5本。この場で食べる」
「ありがとうございます!」
いやー、良い暇潰しかも。
少しずつだが、人間の情勢も解る。
ダンジョン内だから、コアさんも許してくれたしね。
「昨日の戦果はどうでした?」
サクッと火魔法で焼いた肉串を渡す。
元底辺冒険者の日雇い労働の技術をなめるなよ!
「始めてみるゴブリンでな、二刀流だったんだよ。あ、肉が美味いな。んで、ゴブリンのサイズだからナイフ以上短剣未満って感じだ。握りを調整したら良い武器になると思うぜ」
僕の二刀流訓練に付き合って、そのまま二刀流に転向したソードマン9匹の誰かかな?
負けちゃったか、南無。
「腕のお怪我はその時に?」
「あぁ、ちょっとヘマした。だから今日の買い物は俺が来たんだよ。今日のゴブリン次第で撤収かもしれんな」
「無理なさらないでくださいね。はい、このアイテム袋に水5樽分を、こっちのアイテム袋に27食分を詰めておきました」
食料は商人が持ってくる。
今日は固定狩りの冒険者が先だったな。
水は僕の魔法で問題なし。
僕の魔法は、使ったらコアさんがタイミング見て魔力供給で回復してくれるから、結構無限っぽい?
「ありがと。これで足りるか?」
「はい、確かに。気を付けて下さいね」
「あぁ、嬢ちゃんもな」
水は相場の3倍、食料は6倍だ。
商人もぼったくるねぇ。
まぁ、ここまで持ってくるのも大変だしね。
水の売り上げは僕が全て貰ってるよ。
底辺冒険者だった頃よりお金持ちだよ。
水って大切だね。
この状況になったのはちょっと前の騒動が切っ掛けだった。
ダンジョンに帰還魔方陣を設置してから5日目の頃、商人が広場2で商売を始めようとしていた。
触れなきゃ無害と言ってもゴブリンが通ってるのに、商人って逞しいな。
何を売るんだろうと観察してたら、バカな冒険者達がバカしてた。
面白そうだから、通り過ぎた人気の無い近場に転移。
ちょっと迷路を走って広場2に入れば、広場中央でバカな冒険者達が奮闘してる。
まぁ、長い迷路を延々と歩いて、イラついて、野良ゴブリンにぶつかって、野良ゴブリンに集られたんだけどね。
バカな冒険者達は放置。
しかし、余波で商人達にぶつかった一部の野良ゴブリンがターゲットを変更してる。
観察対象が死んでしまう。
「応戦します!」
「た、助けて!」
と、バカな冒険者達は骸になったが、商人は僕が一応無事に助けた。
怪我した商人には、簡単な回復魔法で応急処置しといたよ。
僕も暇な時間を活用して育っているのさ。
6属性の初級魔法は習得済み。
先生はコアさんとメイジとヒーラー。
「これで落ち着きましたかね」
「あんた、子供なのに強いな。いやぁ、助かったよ」
暇だから適度に配下ゴブリンと訓練してるからね。
今じゃ野良ゴブリンは手加減しても無双出来るから、人目のある所じゃ目立つな。
身内なら遠慮しないのに。
「何だこれは。ゴブリンに手を出したバカが居たのか?」
「おぉ貴方は、お噂は…」
あぁ、商人が行ってしまった。
もう少し話したかったのに。
まぁ良いか…ん?
「おい嬢ちゃん。強いらしいな。俺らと来るか?」
「遠慮します。以前、下調べもせずにパーティに入って危ないことがあったので警戒しています」
って、設定。
「フラれたか。まぁいい。俺らは次の転移魔法陣に沸くゴブリンを狙う予定だ。気が向いたら見学にでも来てくれ」
「…解りました」
また商人と話してる。
しかし、固定狩り?
そんなに強化ゴブリン鉄製の武具って美味しいのかな?
野良ゴブリンから直ぐに作れるから有り難さが解らん。
お、商人再び。
「さっきはありがとうな。で、ものは相談なんだが、雇われないか? さっきの冒険者さんに食料を運ぶんだ」
えー、面倒。
人目があるから配置での移動は無理だし、歩くのは馬鹿馬鹿しい。
道中で中継でもすれば良いのに。
あっ!
良い事、思いついた。
「商人さん、半日歩いたところで中継ぎしましょうか? 自衛も出来ますし、水魔法も多少使えますよ。どうですか?」
「それならここをベースに出来るから良いが、お嬢ちゃん一人で大丈夫かい?」
「ええ、食料さえあれば大丈夫です。夜営は得意ですよ」
商人がまた冒険者と相談してる。
ダンジョン内なら何も問題ない。
中継ぎだから、昼だけ働いて、後は自由だ。
テントでも建てときゃ、留守してても中で寝てると思わせられるし、それっぽく演出できるだろう。
広場2~3の迷路、中間辺りをちょっと細工。
コの字カーブの内側の壁を取っ払って、4単位の空きスペース確保。
テント広げても問題ないぜ。
討伐した冒険者が持ってたのをベースに、最適化して使おうっと。
あ、冒険者と一緒に来た。
「あっちとも話し合ったんだが、嬢ちゃん頼めるか? こっちからも人を出して取りに来させる算段がついた」
「軌道に乗るまでで良いので、雇われて下さい」
よし、暇潰しができた。
情報も流れてくるだろう。
ダンジョン内だからコアさんも良いよね?
『了承。現時点では問題ありません。告。状況変化後は撤収を進言します』
了解。
「良いですよ。よろしくお願いします」
って感じだ。
固定狩りの冒険者以外にも、冒険者は来る。
スペースがあるから、昼飯の休憩をよくしていく。
肉串焼いたら、とっても売れる。
高いのにね。
商人に今日の収支を伝えて、荷物を受けとる。
僕への賃金も日払いで、その時に貰ってるよ。
タダ働きだと怪しいから、もらえるものは貰う。
『質問。魔力供給が足りませんか?』
昼を過ぎたら人は滅多に来ない。
だから、商人から貰ってる材料で飯を食ってるのだ。
「人として、食事は正当な欲求だよ?」
『注意。ダンジョンマスターには食事の摂取は不要です』
知ってます。
だから、昼食しか食べてないじゃん。
楽しみなの。
『了解』
ちゃんと3食分を毎日持ってきてくれる。
材料の余りは隔離空間に保存。
供給が途絶える可能性は、将来的にかなり高いからね。
調理器具もじわじわ増えてる。
今回は鉄鍋。
早速使用する。
「野菜クズのスープ、良い感じに出来たな。商品にしてみようかな?」
野菜もあるけどちょっと少ない、パンと加工肉が充実してる。
加工肉は焼かなくても一応食べれるけど、焼く方が好きだね。
今回はスープの出汁にも使った。
「食事の幸せ。久々に充実してるよ」
後は配置で移動して、風呂に入って寝る。
今、十分幸せだ。