001 プロローグ
初投稿で操作ミスして投稿。ストック無し。暇な時間に勢いで書いてます。不定期投稿ですが、よろしくお願いします。
意識が朦朧とする。
利き腕の右腕はもう使い物にならない。
2刀で戦う僕は、相手からの不意な初撃で戦力が半減させられている。
「はははぁー。実に運が良い。お前が死ねばコレは俺だけの物だ!」
戦っている相手、僕と半年ほど行動を共にしている相方だった剣士だ。
だったのは先程までで、今は僕を殺そうとしている敵だ。
「早く死ねよ! 俺はこのマスターコアで、早く大金を手に入れたいんだよっと!」
攻撃を左手のショートソードで防ぐ。
もう限界に近い。
僕の血で汚れたマスターコアは沈黙したままだ。
死んだダンジョンにコアが残っていることは不思議だったが、考える間もなく窮地に陥っている。
獲物の少ない狩り場。
初心者位しか来ない森の奥深く、ダンジョンの入り口を偶々見付けた。
相方の興味で乗り込んだのが、僕にとっての不運だったのだろう。
「いい加減に諦めろよ! 俺の輝かしい未来の為に死ね」
屑のような言動に、何故こいつが相方だったのか今さら疑問に思う。
死にかけなのに、思考が回る。
走馬灯みたいなものかな?
何度かの攻撃を防いだが、簡素な玉座に追い詰められる。
ふらつき、思わず座る。
「そこがお前の墓標だな。あばよ!」
相方だった屑が剣を振り上げ、袈裟斬りで僕の体を切りつける。
あぁ、完全に致命傷だ。
『玉座に生体反応。コアの起動…開始。マスター登録…完了。ダンジョンを起動させますか?』
ダンジョンが生きてる?
この屑に一矢報いる事が出来るなら、やりたいものだ。
『…肯定と判断。ダンジョン起動。…マスターの生体反応微弱。転生しますか?』
転生?
「何だ? 僅かに光ってやがる。こりゃ良い金になるに違いねぇ」
屑がうるさい。
よく分からないが、良いぞ。
好きにやれ!
『転生起動…魔力が足りません。転生後の肉体の再生が不可能です。代案として、保存してある肉体を使いますか?』
あぁ?
意味が分からないな。
このまま死ぬよりマシだろう。
『…肯定と判断。転生起動…起動成功、準備中。準備が完了と同時に転移します』
転移?
逃げるには良いな。
このままじゃ、また殺されるだろうからな。
『転生時の転移は強制です。転生起動中の為、停止不可能です』
止める気はないから、関係無いな。
しかし、誰と話してるんだ?
『マスターコアの知能です』
そう。
で、僕はいつ死ぬのかな?
『現在の状況。マスターの延命、転生準備中、転移準備中です』
お、まだ生きてるのか!
転生したら、怪我なおるのか?
『マスターの現在の肉体の再生は、魔力不足で不可能です。代案として提示した、保存してある肉体の状態は問題ありません』
死に際の足掻きだから気にしないことにする。
しかし、この状況はどうしてこうなった?
『ダンジョンコアへの魔力登録と、玉座への干渉により、ダンジョンマスターとして登録されたためです』
なるほど、分からん。
「これ、台座から外れねぇじゃねぇか。クソッ!」
屑が頑張ってる。
しかし不思議な視点だ。
天井から見てる気がする。
玉座に項垂れた僕の姿も見えるんだよね。
『ダンジョンマスターは、ダンジョン内であればダンジョンを自由に閲覧できます』
へぇー、便利。
しかし、狭いダンジョンだよね。
モンスターも居ないし、迷路もすぐ抜けれて、直ぐこの部屋だったし。
『魔力枯渇により、初期状態にまで低下しました』
しかも雑草に覆われてて、足を踏み外さなかったら気付かなかったよ。
モンスターいないし。
『マスターが居ない状況ではモンスターも自由にダンジョン外に出るためです』
魔力枯渇だっけ?
改善できなかったの?
『前回の転移の影響です。魔力を持つものが極端に少ない場所なのが原因だと思われます』
初期状態で更に魔力枯渇になったら?
『消滅します』
お互い瀕死だね。
『マスターにはこのダンジョンの繁栄を希望します』
この状況を乗り切ったらね。
しっかし、僕、死んでない?
『肉体の維持は不可能だったため、生命維持はしていません。魂を繋ぎ止めている状況です』
延命って言葉の疑問を持つけど、あの怪我で生きてるのも不思議か。
保存してある肉体って…
「よっしゃー! 取れたぜ! これで大金持ちだ!」
あ、屑がコア盗っちゃったよ。
大丈夫?
『転生準備完了。転移準備完了。マスター、実行しますか?』
おう、良いぞ!
『実行します。自爆』
は?
ちゅどーん!
と、僕の肉体とコアが爆発して爆散した。
そこで、意識が遠退いていった。