それは、電波です。
「宇宙へ向けて電波を使ってむやみに宇宙人に呼びかけてはいけない!」
街頭で彼はそう力説する。
地球から発せられる電波に気がついた地球外生命体が友好的な者とは限らないのだ!
もしかすると、やってきた彼らは地球の資源を搾取していく略奪者かもしれない。
廃棄物を投棄していく厄介者かもしれない。
仮に地球人にとっての汚染物質を食べてエネルギーに変える友好的な宇宙人がやってきたとしても、環境問題が解決できると喜べるだろうか。
彼らは、おとなしくしていればいいが……
外来種は、時に驚異的に繁殖する。彼ら宇宙人が生きるために生息域(汚染された地域)を拡大するかもしれないのだ。
だから、むやみに電波を宇宙に発信するなと言う。
「地球にやってこれるような技術を持った宇宙人が攻めてきたら、私たちは簡単に滅びてしまう」
今まで幾つもの国が、人が、人工的な電波を宇宙に向けて発信してきた。
「しかし、今ならまだ間に合うかもしれない。早急に電波を発するのはやめるべきだ!」
そして――今日も彼は、街頭で電波を発している。
★参考文献★
「地球外知的生命体探査計画に専門家らが警鐘」
http://www.afpbb.com/article/environment-science-it/science-technology/2689184/5252169