239話(第2部4話『レイド・ア・イントリーグ』2)
仕組まれた罠……
「私達が来るのはわかっていたわけね……」
ネクロの推察に対し、モニターの向こうから男が答えた
「フフフ、ワクワクポリスは我らが庭……この街の情報は全て、このアレクサンド情報カーディナルが統制している!」
「なんてこと……」
「一本取られたぜ!」
「さぁ、おしゃべりはここまでだ! リョウ暴力カーディナル、後は任せたぞ!」
モニターが切断された!
「おっし、んじゃあおっぱじめようかオラァ……抗争やオラァ!」
リョウ暴力カーディナルが咆哮する!
「リョウ……あれはまさか!」
「知っているの、クク?」
「奴は裏世界では有名だ……超高額でボディガードを勝手にして、お金を払えなければ略奪する悪い奴だ!」
「邪悪!」
「しかもボディガードとして撃退する相手も実は奴の部下という噂だ……戦闘員を組織してやりたい放題! あたし達みたいな奴らからも、表の奴らからも迷惑がられてる存在だ!」
「でもなんでそんなのがカーディナルなんて……」
「オラァ! 喋ってんじゃねえぞオラァ!」
リョウが叫ぶと同時に、4体の魔王が進み出た!
「くっ戦うしかないぜ! 行くぜみんな!」
ダルスが発破をかける!
味方陣営はダルス、ルーノン、ネクロ、ククの4名!
しかし対するカーディナル陣営は、5名!
「俺はリョウ……暴力で全て支配するカーディナルよ!」
「私は魔王タッツェルブルム……ハンムラビより派遣された、本ミッションのリーダーである!」
鱗状の皮膚、鋼鉄製の鉤爪を装備した魔王!
「お、俺は魔王コンシート……ヒ、ヒヒ……」
病的にやせ細った肉体、黒い全身タイツとマスカレードめいた仮面をした魔王!
「魔王! クランチだ! ギャゴギャゴギャゴ」
巨体の胴体にノコギリじみた大口が開いている異形の魔王!
「僕は魔王ディッパーッ! ついばまれて死ね!」
顔面に鋭いくちばしがインプラント手術されている魔王!
「かかれ!」
4体の魔王が襲い掛かってきた!
「いざ尋常に死ね!」
魔王タッツェルブルムが疾風めいてダルスに接近し、爪を振り下ろす!
「おお!」
ダルスは後ろに跳ねて回避! 狙いを外れた鉄主は床をビスケットめいて粉砕する!
「なんてパワーだ!」
「噂には聞いているぞ、ダルスとか言う奴! 楽しませてみせよ!」
魔王タッツェルブルムは流れるように回転ジャンプを行いダルスに最接近する!
「やばい! 魔法コマンドサンダー!」
魔法機械が作動し、電光が放たれる!
「ウグ……! だが、この程度!」
電撃は命中したがタッツェルブルムに致命傷は与えられぬ!
「くっ強いぜ……魔力が足りるか……!?」
「ダルス!」
「おっと! お前はこの魔王ディッパーが相手だ!」
ネクロはタッツェルブルムとダルスの戦闘に介入しようとしたが、阻まれる!
「見よ!我が奥義! どぼーん!」
魔王ディッパーは料亭内に掘られた人工池に飛び込んだ!
「なにをするつもり!」
「くらえ!」
そして池から凄まじい勢いで突っ込む!
「くっ! ああ!」
ネクロは反射的回避を行うが、体が切り裂かれた!
「ピピィィーーッ!」
速度がすごいため、直撃しなくてもソニックブームが敵を襲うのだ!
「人間風情が! 僕達魔王に敵うわけないんだよーー!」
再び鳥人は水に潜った!
「グオグオグオ! ギャギャギャオオーーッ!」
「うわぁ」
一方、ルーノンは魔王クランチ――巨大な口から手足が生えたような化物と戦っていた!
「魔法コマンドメタルシールド!」
金属プレートが出現し、ルーノンを守る! しかし!
「イタダキマス! バリバリ!」
「ぎゃあ! なんてあごのちから!」
鉄製シールドはたやすく咀嚼された!
「ゴチソウサマ!」
「意外に強いねー、どーしよーかな?」
ルーノンは魔法コマンド機械を構え、敵を見る……その突破口を探す!
「フフ、フ、そその神器、奪っちゃおうかなな、ヒヒ、ア」
不気味に小刻みに震え笑う魔王コンシートとククが対峙する!
「ブキミ野郎め! 渡さねえよ、なにもかも!」
ククはネズミめいて素早く駆る! 光の剣を魔王コンシートに斬りつける!
「ぎゃ、やられたァ、ヒヒ、ななななんてね、フフ、ハ」
「ッ! なんだこいつ!」
不思議! 光の刃は魔王コンシートを確かに貫通したはず! しかし彼は無事であった!
「すごいねすごいでしょフフフハア、俺が俺が俺が、アア……」
魔王コンシートはおぞましく体を捻じ曲げた体勢でククロメイデスに近づいていく
「だからだからねだから、カーディナルカーディナル、ハハハ、ハハハ!」
「ひぃ!」
おもわずククは恐れた!
闇が爆発する……魔王コンシートは虫に、無数の黒い昆虫の群れへと変身した!
「戦況は上々……、他愛ない、まったくない、ドブネズミ共!」
リョウ暴力カーディナルは仁王立ちして戦況を長め、勝利を確信していた……
「暴力で教育してやりゃあ、うまく使えそうな駒ではあるが……クク、殺してアラシの奴から報酬を得た方がよほど儲かる……何!」
リョウは驚き目を見開いた!
「グワーッ!」
魔王タッツェルブルムが叩きつけられる!
「どうだぜ!」
戦況が動きはじめた!