228話(第2部2話『バーニング・ダウン・ザ・テンプル』5)
泥棒を捕まえた……
「フ、ハ……勝った気になるなよ?」
少女はまだ勝ち気な笑みを浮かべている
「この光の剣の真の力は……」
「すごいぜこれ」
しかしダルスがヒョイと剣を奪った
「光が出てレーザーみたいな剣になってるぜ!」
「なんでもかんでもスパスパだね」
剣が弄ばれる
「魔力をいっぱい使いそうだけどどうなってんだろ」
「セーレのハルバードみたいなものかな? とにかくすごい剣だね」
ダルスとルーノンが剣をいじくりまわしている
「かえしてよう!」
少女は取り乱した
「これ欲しいぜ! その財布上げるからちょうだい」
「だめだめだめ! 大事なものなのー!」
「そこをなんとか」
ダルスもわがままで対抗するが、その時ネクロが会話に入った
「ダルス諦めなさい……ねぇあなた、この剣をどこで手に入れたかだけでも教えてくれない? サイフの中の現金はあげるから」
「エッもったいないぜネクロ!」
「まぁ任せなさい私に考えがあるわ」
そしてしぶしぶ少女は話を教えてくれることになった……
「なんで知りたいのかわかんないんだけど……知りたきゃついてきなよ」
「ついていくぜ」
少女についていくダルス達……
賑やかな繁華街から迷路じみた裏路地に入っていく
「一応名乗っとくとあたしはククメロイデスっていうんだ、呼ぶならククって呼べ」
「俺はダルスだぜ」
「聞いてねえよ」
深くに進むにつれて景観はみすぼらしくなり、簡素なバラック小屋や違法建築集合アパート群などが増えていく
「あたしはこのワクワクで格差社会ランクがマイナスになったモンでな……この都市には同じような奴等があちこちでスラム作って暮らしてるよ」
「これがワクワクの裏側なのね……泥棒しなくちゃ生きていけない人がたくさんいるってことね」
「いや、公式にはランクがマイナスになったらゼロに回復するまで強制的に公共事業労働に従事させられるのさ……あたし達はそーいうムカつく支配に反逆してるってわけ」
「どちらにせよ、随分きな臭い部分が見えてきたわね……倒しがいがあるわね」
「倒す……?? まぁいいや、見えてきたよ、ここがあたしらの住んでる場所だ」
そこは他と同じくバラック小屋やテントが密集している……しかし異様なのは、その中心にある神社である
「ちょっと待ってな、あの神社に住んでるジーさんが剣の話を教えてくれるから」
そしてククメロイデスは神社の本殿の中に入っていった
「ただいまー! おじいちゃん! 悪いんだけどちょっとお願いがあって、ええとと、友達に剣の話を……おじいちゃん? 聞こえてないの? おーい! おじいちゃーん! おじいちゃーーん」
しばらく無言になった……
「死んでる……」
死……




