221話(第2部1話『セットアウト・オナ・ストレンジ・トリップ』5)
魔王が居た理由……
「わ、ワシは頼んだだけじゃ! わしは悪くないわい!」
「どうやって依頼したというのよ」
老人はためらいながら話した
「今……、裏の世界で有名になりつつある組織がある……その名は、ハンムラビ・リクルート・エージェンシー……」
老人は観念し、名刺を差し出した
「金を出せば魔王を派遣してくれる会社じゃ……これ以上知りたければ名刺にある場所に自分でいくのじゃ」
「魔王派遣会社ねぇ……魔王世界は大変な時期なのに何やってるのかしら……」
「今度暇になったら行ってみようぜ」
「そうね、今はカーディナルの方が問題だしね……ところで」
ネクロは外を見て言った
「なんかこの列車どんどん加速してない?」
ガタンゴトンガタゴトビュビューーン!
「うわっほんとだぜ! なんでだ!?」
「とりあえず操縦室に行ってみましょう!」
急いで操縦室に行くと機関士が死んでた
「腐って死んでるぜ! しかも操縦する機械がなんか壊されて制御できない感じ!」
「おそらく列車ごと破壊して証拠隠滅するつもりだったのね」
「みて! 速度がぐんぐん上がっていくよ!」
ルーノンが指差した先の計器の針がグルグル回っている!
「この速度ならワクワクまで一日かける必要もなさそうね」
「夜行列車楽しみにしてたのにあんまりだぜ!」
「とりあえず列車の暴走を止めないといけないわね」
ネクロは操縦室を物色した……
「うーん……このままだと……駅に激突するわね」
「あとどのくらい時間あるの?」
「計算してみましょう」
紙に計算を書いていくネクロ
「そうね……あと2時間くらいかしらね」
「けっこう余裕あるな……」
「戦闘でつかれたし一旦休憩しようよ」
そして休憩した……
客室でお菓子とか食べるダルス達
「じゃあどうやって止めるか考えようぜ」
「私が反射魔法つかおうかー?」
ルーノンが提案する
「それじゃ倍の力で吹き飛ばされちゃうわよ……ダルスはなにか案はある?」
「俺が使えるのは戦闘用魔法が多いから使えそうなのあるかな……」
クッキーを食べながら悩むダルス
「ブリザードで凍らせる……サンダーで電気系統を壊す……岩落としで重くして止める……ファイアで燃やして軽くする……ワープで人だけ脱出する……うーん今の俺だと魔力が足りなそうだぜ……」
「魔力が足りない……それよ!」
ネクロが閃いた!
「列車が魔力で走っているはず……それを使い切ってしまえば良いのよ!」
「なるほど! お腹が空いては列車も走れないってことか!」
そして動力室に向かった
「これが魔力タンクね……」
「これをぶっ壊せばいいかな」
「あっだめよ! 爆発するわ!」
慌てて静止させるネクロ
「魔力を吸う魔法で吸い出しましょう……魔法コマンド:オーラスナッチって使える?」
「わたしアブソーブバリア(攻撃を吸収する壁魔法)なら使えるけど」
「俺はとくに使えないぜ」
「やっぱり学校の授業はちゃんと出ておくべきだったわね……仕方ない、今から覚えましょう」
ネクロがオーラスナッチの授業を開始した……
そして1時間後……
「はい、授業終了! ふたりとも覚えたわね!」
「はーい!」
「ばっちしだぜ!」
二人はオーラスナッチを習得した!
「それじゃ、魔力を吸いましょう」
三人は魔法機械を構えた
「「「魔法コマンド:オーラスナッチ!」」」
30分後……
「窓の外にでかい街が見えてきたぜ」
「大きな山々に囲まれた都市なのね……」
そう、まだ列車は止まっていたなかった
「ぐんぐん駅が近づいてくるぜ!」
列車の奥からは人々のパニックの声が聞こえている……
「諦めずに最後までがんばるぜ!」
列車は止まらず……加速……近づく……どんどん接近する……火花が飛び散る……壁が迫る……そして……
「あっ速度が遅くなって来たぜ……」
「もうひとがんばりよ!」
「うおおおおお! オーラスナッチ・フルパワーーーー!」
ダルスは歯を食いしばり本気を込める!
ゴォォォォォォ……シュウウウゥゥン……
列車がついに停止した……
「と、止まった……」
黒燕尾服老人は放心してへたり込んだ……
「あの変な奴らがやりおったか……だ、だが、生き延びた以上逃げなければ……」
老人はせかせかと立ち上がる……しかし焦るあまり、ケースを取り落としてしまった!
「電子部品が! ってアレ?」
スーツケースの中は空だった……
「ば、馬鹿な! どういうことが! わしの、わしの大金がー!」
すっからかん……