190話
「やめろ! やめろ!」
生命の危機に瀕し心の世界は徐々に暗くなっていく……その場に居た偽ダルスは叫ぶ「ふざけるな! なにがバックアップだ! ガァァァァァァァァァァ!」
暴れる偽ダルスの体が徐々に消えていく……
「貴方はバックアップ……」「貴方は予備……」「貴方は保険……」「貴方は偽物……」ダークダルスを囲むように女の顔がぐるぐると回っている
「アアアアアアアアアアア!」
黒い爆炎を放つ! しかし顔はビクともせず、偽ダルスの侵食も止まら
ない
「終わるかよ、こんなところで……!」
偽ダルスの意識が遠のいた、その時!
落雷のように桜色の光の爆発が起きた!
「貴方は……」
顔が吹き飛ぶ!
「うっおおーっ!?」
同時に本物の方のダルスも落ちてきた!
「うぐぐ、なんだぜ!?」
「お前こそ何なんだよ!? くそっ今度こそ貴様をぶっ倒して肉体を……
「おお綺麗な宝石だぜ」
「聞けよ! お前がボロ負けしたせいで俺が……」
桜色の爆発のあった場所に、同色の宝石のようなものが浮き回転している……
「スピリット反応確認……機能に異常……破損状況が回復……」
宝石からの光が女の顔を消していき、偽ダルスの肉体が回復していく……
「なんだか懐かしい光だぜ」
「……精神世界に読み取れない記憶が存在している……なにか関係があるのか」
すると突如声が聞こえた
『w??スピリッ?b?g?神?????定??? Ж?X?e????テムを無効化、融3??式を改?Z?‡??出?μ?を向??????c?c?x』
「なっなんだ! なんか理解できるようなできないような感じ! よくわからないけど二人の力を合わせろと言ってる気がするぜ!」
「あのろくでなし母と似た系統のパワーに思える……くっ、今は賭ける時か……!」
そして二人は導かれるように宝石に手を置いた……
「うおおおお」「ガァァァァァ!」
光りに包まれ、精神世界上の二者が融合していく……
その時ダルスは何か人型のシルエットを見た
「アッ、ミリア……うっ忘れた」
そして視界がフェードアウトし、現実の光景が浮かび上がった……
体に黒い魔力を纏うダルスが、今一度魔法戦士ポポに立ち向かう!
「クク、ハハハハ! 君の体にはあとどれだけの未知があるんだい!」
「いくぜ、偽ダルス!」
今、二人は体と意識を共有している! 声が重なる!
「偽って言うな!」
融合ダルスの頭上に黒い炎が巨大な球状に集まり爆発! 流星群じみた火炎弾が放たれる!
「でももうタイムオーバーなんだよ!」
魔王アーマーが亜音速移動し火炎弾をかわし火の玉に接触! 火の玉は消滅した!
「触っただけで魔力を霧散させるなんてずるいぜ! ええい魔法コマンド地盤投げ!」
周囲の地面が四角く切り取られ発射!
「魔王アーマーは魔法そのものじゃなければ確かに消せない、だけれど」
魔王アーマーは避ける隙間もない地面の嵐に腕を伸ばす
「フォーム:エクスカベーター!」
魔王アーマーに巨大パワー・ショベルが装備され地盤を薙ぎ払った!
「強いぜ! ならば魔法コマンドウェザーコントロール!」
魔法機械から空に光が放たれると気象が上書きされ雷雲が発生!
「雷落とし!」
魔王アーマーに落雷! 現実の天候を操作するため無効化できない!
「魔法コマンドウェザーコントロール」
落雷がずれ魔王アーマーを避けた位置に落ちた!
「ただの魔法ならこっちも使えるよ? フォーム:グラヴィティ」
小型ブラックホールがあらわれダルスを吸い込む!
「ハッ! 食えるもんなら喰らいやがれ!」
融合ダルスが膨大な量の闇の力の粒子を放射! ミニブラックホールが吸い込み崩壊した!
「今だぜ! 魔法コマンドパワーアップ!」
融合ダルスの物理攻撃力が跳ね上がる!
「融合キック!」
吸い込まれた勢いを利用し蹴りを叩き込んだ!
「ブースター!」
魔王アーマー脚部ブースターが起動しキック相殺!
「まだまだまだ届かないよ!」
魔王アーマー肩部マシンガンが発射!
「うおおっ!」
ダルスはなんとか回避!
「だったらアレをやるぜ!」
ダルスを虹色の光が渦巻く!
瞬間、白い全身装甲でその身を覆った!
「怪光線!」
虹色の超大質量ビームが発射!
「魔力無効!」
光線を魔王アーマーは消滅させるが徐々にアーマーに損傷が起きていく!
「さすがシンギュラリティの、神の果実の残滓! 消しきれないとは!」
ポポは楽しそうに言う!
「まだまだ行くぜ! これは俺の力だ!」
虹色光線に暗黒の炎が渦巻く! さらなる威力!
「クク、ハ、ならこれだ! オーバークロック!」
魔王アーマーが変形し、青く光る!
「魔王生体材料に安定値異常の負荷をかけ瞬間的に性能を高める!」
怪光線が弾ける! 更にアーマーから黒い影のようなものが迫りダルスを飲み込んだ!
「ヌワーッ!」
ダルスから魔力が吸い取られ、さらに地面に叩きつけられた!
「フォーム:ライブラリ、大図書館」
魔王アーマーの背後に無数の本が出現しそれらすべてが様々な属性の攻撃を放った!
炎! 雷! 氷! 風! 土! 岩! 光! 闇! 剣! 槌! 槍! 腕! 圧! 毒!
「くっまともに食らったら死ぬぜ! チッならおまえアレ出せ! 羽! そうだ久しぶりに天使の羽で飛んで逃げるぜ!」
ダルスの背中に力が集まり天使の翼が広がった!……しかし、それは白い翼ではなかった!
「なっ!」
それは様々な色の宝石で織りなされた虹色の翼だった!
直後、滅茶苦茶な攻撃が来る!
「ウッオオオオオ!」
宝石の翼が膨張し手のようになり魔道書攻撃を薙ぎ払った!
「恐ろしいまでのエネルギーだね……!」
ポポは魔王アーマー内部ディスプレイに表示されるデータを照合! オーバークロック状態で強化された魔力無法化システムとぶつけた場合の予測データが表示される!
「だけど! 魔力の塊の攻撃なら、消せる!」
宝石の翼が更に膨張し、空から魔王アーマーに雪崩れ込む!
魔王アーマーは脚部ブースターを起動し真正面から突撃する! 鉄の拳に魔力無法化機能を集中し殴り抜ける!
「消せ、ない……!? これは何だ!」
極彩色の大質量はアーマーの攻撃をやすやすと押し返し、飲み込み、空に突き上げた!
「俺もよくわからないぜ! でも、とにかく、行くぜぇぇぇぇぇぇぇ!」
凄まじい力で無数の宝玉が魔王アーマーを削りあげていく! 内部ディスプレイに『危険』『剣呑』『物騒』といった赤文字が表示される!
「クク! ハハハハハ! 殺されるには科学的好奇心を燻りすぎる攻撃だよ! 私は知り尽くすまで死なない!死ねない!」
ポポの脳波で魔王アーマーに魔法コマンドが入力される! だがポポは叫ぶ!
「魔法コマンドエクスプロージョン!」
瞬間、魔王アーマーが自爆した!
宝玉の奔流が四散する!
「やったぜ!?」
「魔法コマンドソード!」
背後からアーマーを脱いだポポが現れ魔法剣で斬りかかった! ワープ魔法で脱出したのだ!
「がっ、アアア……」
だが、呻き、倒れたのはポポの方であった……
「なっなんだぜ!」
ダルスの影から黒い刃が発生し切り返したのだ
「フン、俺はお前と違って甘く無い……そうだとはこれでようやくポポを倒したぜ」
そう偽ダルスが意識を補ったことで反応できたのだ
「クク、傍目には一人芝居にしか見えないね……」
しかしポポは傷ついた身でよろよろと立ち上がった
「そしてもう遅いよ、社長の完全融合はもう済んでいる! アクセラレイターシステムのリミッターを解き特異点突破はもう待ったなしだ!」
「くっそうだった! とにかくあの巨大ロボットを倒すぜ!」
「そんなことは不可能さ、シンギュラリティと融合した社長の強さは計算上私の1億倍強い! 魔王世界の神を取り込むとはそういうことなのさ」
「なにっそれはやばすぎる……どうしよう……」
ダルスが諦めかけたその時であった!
ガラスが割れるような音があたり一面から鳴った!
何かある空間も何もない空間も関係なしに金色の光の亀裂が入っていく! 亀裂に触れた物体が消えていく!
「なっなんだぜこれは! もう臨界点とやらが来ちまったって言うのか!?」
しかしポポは無表情にその光景を見ていた
「空間の歪み……? 魔王ゲートキーパーのものか? ギャラクシーがしくじったのかな」
しかしその時、ポポの背後に次元の裂け目が生まれた!
「しまッ! くっアァァッ!」
ポポが裂け目に吸い込まれ消えてしまった!
「ポポ! これは一体全体なにが起きているんだぜ!」
何か……