181話
少し時はさかのぼり……深夜の人間世界、マジックカンパニービルの下に広がる町では
「そんじゃ、さっさと始めっとすっかよ」
僧兵くずれチャイナ服風少女魔王が気だるそうに言う
「ガッハッハッハ! 他愛無いわ! それでなにをするのだ?」
黒い甲冑を着、数十本の刀に剣、槍斧槌杖弓銃などの武器や楽器みたいなのとか本とかその他色々数百の武器を身につけた男の魔王!
「ちゃんと話聞いとけ馬鹿! これはだな……」
彼女は説明をする……
お忘れだろうか! 少女の名は魔王モンク、男の名前は魔王カタクラフトである!
彼らは魔王ウィザードに幽閉されていたところを魔王ネイチャーに解放され、彼の仲間に加わっているのだ
そしてダルスらと魔王ビザール、魔王ラプチャーとの戦闘を遠くから見ていたネイチャー達だったが、ダルスが敵魔王をかけらも残さず吹き飛ばしたところ、ネイチャーがこういったのだ
「んっんー……ビザールが戦線離脱しちまうとウィザードを倒せる確率が減っちまうだよなぁ……」
黒い長髪、不健康そうな痩身でシャツとジーンズを着た魔王ネイチャーは違法薬物タバコを吸いながら悩む様子だ
「よっし、モンクとカタクラフト! ゾンビを回収してくれ」
モンクは怪訝な顔をした
「回収だ? ありゃもう完全に死んだだろうが」
「イヒヒ、ゾンビは死んでるからゾンビなんだぜ? 死んだくらいじゃ死なねぇよ」
「ふうん……なんであんなのを取り入れたいんだ?」
「ヒヒ……お前らも似たようなモンなんだが、ウィザードを倒せる体質つーか運命つーかな、そういうのを持ってるんだよ」
モンクは呆れたような顔をした
「ラリってるのか?」
「ヒッヒヒ、俺は毒耐性持ちなんだぜ? ま、言う通りにすりゃウィザードを殺せるから信頼しな!」
「できねー……わかったよ、仕方ねぇ」
モンクは寝ていた魔王カタクラフトの頭を掴み、ビル屋上の柵に足をかけた
「あ、待ってモンクちゃん」
ゴーレムじみた白い石の鎧の魔王、ゲートキーパーが呼び止めた
「僕とネイチャー君は先に魔王世界に行くから、コレを」
ゲートキーパーは白く丸い石を投げ渡した
「コレに魔力を流せば門になるからね」
「おメエがやりゃ早そうなもんだがな……」
モンクはカタクラフトを掴んだままビル屋上からジャンプした!
……
「そんでゾンビを探しに来たんだよ……よく考えりゃお前寝てたな」
「つまり俺様は悪くないわけだな! ナッハッハッハ!」
「寝言は寝てい」
「グシャーッ!」
その時何かがモンクに襲いかかってきた!
「いきなりおでましと来たもんだ!」
モンクの足がエネルギーで光り、背後に回転キック!
「グバババーッ!」
何かが悲鳴を上げ吹き飛んだ! それは3分の1程度が欠けている生首であった
「うぇっ嫌……再生途中だったのか」
「口ほどにもないわガッハッハ!」
「黙れ!」
モンクは転がった頭部を拾おうとした……その時である!
「グシャーッ!」「タベル!」「グチュア……」「ガギッガギギ!」
全方位より奇声!
「んなっ!」
モンクは驚き振り向く! 街中に数十体の人影……ゾンビ! 老若男女でいろんな人種ゾンビ!
「おいおいおいどういうことだ! なんで増えてんだ!」
「グワハハハハハ! 多勢に無勢よ! 我が1000刀流を受けてみよーっ!」
魔王カタクラフトが両手は背負った武器をショットガンじみて投擲!
「ギャンババババーッ!」
ゾンビ全滅!
「……増殖能力持ってるなんて聞いてねぇ、とりあえずゲート使って戻るか?」
「ゾンビに噛まれるとゾンビになる……これ常識! つまりかたっぱしから倒していけば本物という算段よ!」
見ると、遠くの道や家屋など街中にゾンビの影! 唸り声が大合唱している!
「ったく、めんどくせぇなぁ……じゃ、俺がこっから南な」
魔王モンクの中心に龍のエネルギー体が渦巻く
「しからば俺様は北! 」
カタクラフトは両手に10メートルほどの長刀と棍棒を構えた!
「ガッハッハ祭りよ!」
二人の魔王は駆け出した!