167話
そして戦艦は地に降りた
「元気満点だぜ! そしてここはだいぶ栄えているな」
そこは街で、石や木が原料の、丸みを帯びた建物が並び、人々が盛んに行き交っていた……よそ者であるアクセラレイターたちは怪訝な目で見られた
「この街では今も魔王を信仰していて儀式も盛んに執り行われているそうだよ」
この街は寺院が多く、多数の腕と顔を持つ魔王の石像が多いのだ
「魔王を信仰するなんて、魔王の俺からすると変な気分だな……まあいいやさっさと倒しに行こう何処だ?」
「私の資料によると、あの前方に見える巨大な寺院から魔王ユニバースの魔王結界に入れるはずだよ」
そして行くと、警備僧兵に囲まれた
「なんだ貴様らは! 一体何の用があって来た!」
「魔王を殺しにきたんだけど」
僧兵は怒りに目をギラつかせた!
「発狂者か! 王の怒りを受け永遠の苦しみでギャオオオォォォォ!」
僧兵は突然全滅した! アクセラレイターが数百人の僧兵を気絶させたのだ
「行こう」
寺院を進んでいくと、狂信者戦士や経典使い、ヨガファイターなど神秘的な敵が襲いかかってきたがアクセラレイターの敵ではなく瞬殺した
「おお、これは超巨大魔王ユニバース石像! 本来なら試練をクリアするという儀式が必要なんだけど私の魔法機械でちょちょいと……」
ポポは魔法機械を操作した……デジタル上で儀式をエミュレートし現実に投射させるのだ!
すると石像のアルカイックなほほ笑みを浮かべる口が開き、階段が出てきた
「ニンゲンヨ……7ツノシレンヲヨクゾノリコエタ……クルガヨイ……」
「これは正直入りたくないな……」
しかし入ると、そこは異様な魔王結界であった
「周囲は炎の川が張り巡らされ、空中を美女が歌い、踊っている!」
階段を登って行くと座禅を組み浮遊する巨大な魔王が佇んでいた
「我は魔王ユニバース……人の子よ……何を望むか……」
「別に神ぶらないでいいよ、私達はマジックカンパニーと言って君を殺しに来た」
すると魔王ユニバースは恐ろしい形相になった
「我は滅びの時より世界を創造し人を救」
「いいからアクセラレイターやっちゃって」
「おう」
アクセラレイターが襲いかかった! 魔王ユニバースの背後に瞬間移動し首筋に手刀!
「喰らえ……おお!?」
アクセラレイターが後方に引きずられた! 何が!?
「パォォォォォォォォ!」
ラッパめいた咆哮! 巨大な象の顔だ! 鼻からバキューム吸い込みだ!
「アクセラレイター!」
ライブラリが叫ぶ!
「心配ありませんよ!」
アクセラレイターは目にも留まらぬ速度で象の長いお鼻を固結びした!
「パオオオオオオ!」
象は吼える! アクセラレイターはその脳天にチョップを叩きこもうとしたが、象の目が彼をとらえた!
「パォォォォォォォォ! シネ!」
象の牙が射出! アクセラレイターは躱すが背後より巨大質量に叩きつけられた!
「グオオオーッ!」
魔王ユニバースの破壊的殴打だ!
アクセラレイターは危機的ダメージを受け、精神を高速化させる!
彼の目に広がる光景が鈍化していく……!
「もう一発食らったら死ぬな」
彼は状況を確認する…10メートルはある巨大な4本腕の魔王と、同じく4本腕の象……そして厄介なことに魔王の方は特殊な力を持っているだろう……
「とりあえず魔王ユニバースの方を倒せば象もなんとかなるだろ……くそ、やってやるよ……」
魔王アクセラレイターは空中で身をひねり、撃ちだされた象牙を飛び石に魔王ユニバースの前に移動!
ユニバースは4本の腕でアクセラレイターを払いのけようとするがその前に!
「行くぜ高速モード!」
主観時間が鈍化したまま、アクセラレイターの動作の速度が上がる! 時間からの離脱!
「オラーッ!」
キック! チョップ! パンチ! そしてキック!
並の魔王どころか相当な実力の魔王の首ならば一撃で切り落とす威力の技を無数に繰り出す!
時間から抜けだした攻撃を敵は理解することなく死ぬのだ!
「ウララララーッ! 死ねぇ!」
そして魔王ユニバースの首がもげた!
時間の鈍化が解除された……
「ガアアアーッ!」
呻き! しかしその声はユニバースではない……アクセラレイターだ!
「そんな! なにが!」
魔王ライブラリは状況を確認せんとする!
突如魔王ユニバースの首が吹き飛んだと思ったら、アクセラレイターがユニバースの2つの拳に掴まれていたのだ!
「愚かな……たかが魔王が神たる我に敵うと思ったか……」
おお、見よ! 魔王ユニバースの首元からメキメキと新たな顔が形成されたのだ!
「肉体など単なるモノに過ぎぬ……我にとってはな」
「アアアアアア!」
アクセラレイターが苦しむ!
「ポ、ポポ……さん! 助けに行きましょう!」
「そうだねぇ、でも……これはどうしようか?」
「ああ!」
一瞬のことであった……ポポ、ライブラリ、アブソーバーの三人の周囲に何体もの人型の異形が現れたのだ!
青い肌と赤い服の巨人!
「グワッハッハッハー! 我が名はヤマ! 死を司るのだ俺は! 地獄で死ね!」
魔王使いのような猿のような!
「ウキキキキー! ウキキハヌマーンウキーッ!」
燃える少年!
「ヒヒ、燃やす燃やす俺はアグニで燃やして焼いて全滅イヒヒヒ……」
「フゥム、ユニバースの能力で創りだされたのか……前のクラフツマンといい、傾向が見えてきたんじゃないかい?」
ポポはライブラリに言った
「そんな悠長な! 戦いますよ!」
ライブラリは戦闘態勢に入る!
「私は所詮は無力な人間だから戦闘は任せるよ」
ポポは動かない!
「グワハハハハハーッイ!」
青い悪魔は全身に半透明なオーラを纏い殴りかかる!
「魔王結界!」
ライブラリの背後の空間に裂け目が生じ、そこから無数の書物が流れ出る!
「ぬう!」
書物の奔流に押される!
「自動呪文詠唱!」
ライブラリが唱えると、浮遊する本のページが独りでにめくられ、3体の怪物の周囲で円を描く!
怪物たちは動けない!
「光闇氷!」
それぞれ光魔法攻撃! 闇魔法攻撃! 氷魔法攻撃!
「ギャーッ!」青い悪魔は蒸発!「グワアアアァァァァ助けてくれぇぇぇぇぇぇ! ウキー」猿は消滅!「寒いぃぃぃぃぃぁぁぁぁ!」炎はカチコチに凍って死に、地面に倒れるとバラバラに砕け散って死んだ
「おおー」
拍手するポポを気にせず、アクセラレイターを見た!
「ああ!」
そこには腕が一本切り落とされた魔王ユニバースから脱出する彼の姿が!
「やった……アクセ
ラレイター……え?」
彼女の視界には、数百体の怪物の死骸と、切り離された何十本もの巨大な腕と顔の山に呆然と立ちすくむ傷だらけの魔王アクセラレイターの姿であった……
「エ……エ?」
何が起こった?
「アクセラレイター……?」
彼女の背後ではポポが微かな笑みを浮かべていたが……?