144話
ここはウィザードアジト地下深く、危険な被験体を隔離するためにあるデンジャールーム、その手術室である……
「魔王ビザールの作り出す糸は相当な強度と粘着力を持っています! ロボは可動部分に糸を巻かれ動けなくされています!」
「なるほど、鋼の装甲を直接破壊するための体力を節約するため足止めに徹するか、意外と知能が高い」
医療班魔王と魔王ジェスターが進入する魔王ビザールの様子を見ている……
その時だ!
「覚悟ーッ!」
突如天井からセーレが現れジェスターにハルバードを突き刺ささんと落下!
「ウワーーッ!」
医療班魔王が驚いた!
「我が術を脱したか」
しかし魔王ジェスターは表情一つ変えずに一歩下がって避けるとセーレのハルバードの柄を掴んだ!
「くっ!?」
ハルバードは刺さった斧の刃か槍の穂先からエネルギーを送り込み肉体を爆破する武器! それ以外の部分は意味が無い!
セーレはハルバードを持ち宙吊り状態に!
「良い武器だな」
魔王ジェスターは恐るべき握力でハルバードを手先だけで回転させた!
「ううっ」
セーレはハルバードから振り落とされ床に叩きつけられた! ペガサスなしのすり抜けの能力はハルバード無しでは不可能なのだ!
「では死ね」
ジェスターはセーレの頭を踏み潰そうと足を上げた!
「させるかーっ!」
ドラゴンが扉を粉砕しジェスターを突き飛ばした!
「ウワーーーーッ!?」
医療班魔王が驚く!
「ぬうっ」
ジェスターはドラゴンを蹴り反動を利用しダルスのいる手術台に飛んだ! そしてもう一人の侵入者を蹴り飛ばした!
「ウウアアーーッ!?」
ミリアンが吹っ飛んだ! 壁に叩きつけられる!
「ミリアン!」
セーレが叫んだ!
「この場に居るのはこの三人か」
ジェスターは分析する
「カドゥケウス、リザレクション、クワック・サルヴァーよ、ダルスとラプチャーを守れ」
「は、はい!」
ジェスターがドラゴンに向き合った
「私について来い」
「言われた通りにすると思うのか?」
「早く私を殺さねば、他の仲間と再び戦うことになるぞ」
「ぬうううう……いいだろう」
ジェスターの狙いは当然ダルス、そしてその中の魔王ラプチャーに手を出させないことである……
そしてジェスターに連れられ壁全体が白い壁に覆われた広間に来た……当然敵が有利になることは承知のうえである
「この部屋は制作したロボや魔王をテストする部屋だ」
ジェスターは言った
「知性モンスター、女神の力、神話の武器を持つ魔王、多様だな」
不意にジェスターはハルバードをセーレに投げ渡した
「……何を考えているのですか?」
セーレは訝しんだ
「当然、洗脳による同士討ち狙いだ」
言い放つ
「その武器は貴様と半ば同化している、私が使うより殺傷力は上だ」
「……」
セーレは無言で睨み返した……はたして敵の言葉は真実か?
「でははじめよう」
魔王ジェスターはゆっくりと動き出す……
「来るぞ!」
「勝ってみんなを助けましょう!」
3人は構える!
「まず初めの顔は、これだ」
魔王ジェスターの顔が変化する……
一方その頃手術室では医療班魔王が話していた
「精神状態はブレ幅15%、正常範囲内です」
「しかし予想より時間がかかっています」
「ラプチャーさんは大丈夫でしょうか」
ダルスから伸びるケーブルは電子機器に繋がれ、その精神状態を表示している
「彼女は魔王世界1の精神操作能力を持っています、信頼してよいでしょう」
「それよりジェスターさんが居ない今、ゾンビの侵入者のほうが心配です」
「ソレッテワタシノコトカ?」
「エッ!?」
医療班魔王が驚愕した! 魔王ジェスターが立っていたのだ!
「いつの間に!?」
「アーイマダヨ、イマ……トニカクワタシハ、ハラガヘッタ! ロボハクエナイカラナ!」
医療班魔王は恐怖する……あのロボ軍団を突破する魔王に自分たちは勝てるか?
彼女の狙いはなんだ?
「ダケドオマエタチハウンガイイ、ソコデネテルヤツノニクヲクエレバワタシハソレデイイ! ダカラドケ!」
その言葉は医療班魔王に取って死刑宣告に近い! ダルスだけは守らなければならないのだ! 仮にここで逃げれば彼らは処分されるだろう!
「リザレクション……クワック・サルヴァー……やるぞ」
医療班魔王の一人、魔王カドゥケウスが言った
「ううう……逃げたい」
「俺たちならできる!」
弱音を吐くクワック・サルヴァーをリザレクションが励ました
「ソオカ、タタカウカ! ソレモイイ……タタカエバハラガヘル、オマエラヲタベテプラスマイナスゼロ!」
魔王ビザールは野生の獣のような戦闘態勢を取った!
「グシャーッ!」
魔王ビザールが襲いかかってきた!