138話
時は少しだけさかのぼる……
「突然の牢屋から逃げる俺だぜ!」
「よくわからんが俺たち魔王ウィザードの捕虜はあの男を捕まえなければならない!」
迷路じみている牢屋をダルスは考えなしに駆け抜ける!
「恨みはないが死ね!」
「出るために死ね!」
前と後ろから捕虜魔王が現れた!
「挟み撃ちというわけだぜ! なら魔法コマンド・ダブルダイレクトサンダーボルト(前と後ろに電撃を放つ必殺技)で……アッ魔法機械がないぜ!」
そういつの間にか回収されていたのだ!
「どうしよう!」
ダルスは混乱だ!
「馬鹿なやつだ! 死ね! アチョォォーッ!」
「邪魔をするな俺が殺るのだーっ! シャバババッパーッ!」
後方の魔王キッカーの両足飛び蹴り! 前方の魔王バーバーも踏み込み髪の毛を無数の槍に変形させ突く!
「ウワー!」
ダルスは思わずしゃがみ込んだ!
「ヌアーッ!」
魔王キッカーは串刺しになり死亡!
「さあ今度は貴様の……グフアアピボボーッ!?」
魔王バーバーは突如八つ折りになって死亡!
「出るのはこの魔王フォルダーよ!」「いや魔王アンブレラ、この俺だ!」「哀れな……この魔王デフォリアントなのですよ……」「マミムムムメモモモメメッマームーム!(無実の罪で投獄された恨みを晴らすチャンスがついに来た! 脱出するのは魔王ノーブル、私だけだ!)」
気が付くと続々と捕虜魔王が集まってきた!
「ヒー! やばいどうしよう助けて誰か!」
ダルスは絶望だ……そのとき彼の脳裏に過去の記憶がよみがえる……
『文明の利器に頼っていては本当の力は得られん!』
「ハッこの記憶は……なんか……修行する……谷? 山? とかで……ルーノンの……師匠? 祖父? とか……そういうので……魔法機械使わない修行……修行? 特訓? そういうアレの……やったような……」
思い出すのだ……
「隙だらけだ! 殺せーっ!」
魔王が一斉に襲いかかってきた!
「ハッ思い出した魔法機械の補助がなくとも魔法は使えるんだった! メガファイヤー! 普段機械に頼りきりだったから忘れていたぜハハハ……ギガダーク!」
炎や闇の力が放たれ魔王を一掃した!
「でもパワーが落ちるぜ……魔力も自前だから疲れるのなんの」
そしてでかくて筋力自慢の魔王セージ、両手両足が頭でつまり頭が5個ありつまり五倍頭が良い魔王ペンタグラム、巨大バッタの魔王アバドンなどを退けて走っていった
「しかしどこに行けばいいんだろう出口がないぜ」
「出口はあーるーよー! でもカードキーがいーるーんーだーよー! ホォーーーッ!」
太ったシルエットのピエロの魔王が笑いながら言った
「メガアクア! メガサンダー! 鉱石アタック!」
水流と電撃と岩が出て魔王を襲うがすり抜けてしまった!
「なんだぜ!」
「ホォッホォーーー! それは幻だよーん!」
「くっカードキーをよこせ!」
「いいよ☆ じゃあはい」
ピエロはカードキーを渡した
「ありがとう!」
しかしカードキーは手に触れる直前に爆発しピエロのでかい顔の立体映像が飛び出した!
「ぎゃー! 騙された!」
ダルスはびっくりして後ろに倒れた!
「ええいブリザード!」
しかしピエロの魔王をまたしてもすり抜けてしまった!
「フゥゥゥゥッゥゥゥゥ! 馬鹿だねー!」
「くっ一体どうすればよいのだ! 考えるぜ」
ダルスはかつて無い窮地に陥ったことで考えるようになっているのだ!
「ハッそうか俺自身が幻影! つまり立体映像的な影分身的なやつを作って俺の意識をそれに会わせているとかそういう感じだぜ!」
そう、魔法攻撃もただの映像だったため効かなかったのだ!
「そういえば後ろの壁とかもなんともないしそういうことなのだ!」
「なにぃー! 馬鹿な! 気づかれただと!」
ピエロは狼狽した
「だっだが! 気づいたところでどうすることもできまい……できないんだよーん! フゥゥゥゥゥゥー! 本物の自分がドコにいるかもわからないでしょー!」
「フッピエロのキャラクターは作り物だったようだな! 一度剥がれたメイクはもう戻らないぜ!(調子に乗っている)」
ダルスは調子に乗っているのだ!
「魔法コマンドワープ!」
ダルスの前にもう一人のダルスが出現した! ワープなら自分の視界内範囲なら問題なく瞬間移動できるのだ
「やっべぇ! 逃げろ!」
ピエロは踵を返そうとした
「逃さないぜダークアンドライトブラスター!」
「ギャボォォォォピィィアアアア!」
ピエロ……魔王クラウンは光と闇の相互作用で死んだ
「うーん……敵は弱かったが……ワープはただでさえ魔力食うのに生身でやったもんだから疲れたぜ……」
ダルスは座り込み、眠りに誘われていった……
一方その頃その様子を眺めていた魔王ラプチャーは
「よーし、だいたい予定通りだね」
「見事な手際でございます」
満足気に笑う魔王ラプチャーの傍らでもう一人の魔王が言った
「捕虜300人弱と魔王クラウンをダルスの体力を削る捨て駒にするとは」
「あれの中の神の果実を回収するには私が精神世界に干渉するしかないからねー、安全に行かないとさー」
「そのとおりでございます」
大仰に頷くこの魔王はカラフルなまだら模様の服を着た男である……陽気な服装とは裏腹にその表情は無い
「それじゃ手はず通りダルスをデンジャーフロアに持って行こうか、ジェスター」
「かしこまりました……」
そしてダルスは拘束されどこかの部屋に連れて行かれた……