128話
ブロロロー!
「この車すごい勝手に動くぜ」
「燃料も日光と空気中の魔力を使っているから補給無しなのね」
「冷房も効いてて食べ物もあって快適だぜ」
しかしその背後に迫る魔王あり!
「パカラッパカラッパカラヒヒーン!」
「馬の鳴き声だぜ!」
窓から振り返ると下半身が馬で首部分から人間の上半身が生えている魔王が追いかけていた!
「ヒッヒヒーッン! 俺は魔王ケンタウロス!」
ドカン! 魔王ケンタウロスは自動運転輸送トラックに体当たりした!
「ギャッ! 揺れるぜ」
「戦いましょう! ……あら?」
すると自動運転輸送トラックの底面からガトリング砲が出る!
「パカラッ!? 待て俺はマジックカンパニーの……」
ガガガガガガガガガ! マシンガンが火を吹いた!
「ギャアーアアアアア!」
魔王ケンタウロスはチーズあるいは蜂の巣じみて穴ぼこだらけになって死んだ
「おそろしいかがくりょくだぜ……」
「良い物を拾ったわね」
そしてダルスたちを乗せた自動運転輸送トラックは山脈地帯に進んでいった……
「オヤブン! 重い金庫を見つけたでありんす! でも開かないでありんす!」
「だったら金庫ごともらっておけ!」
「ヒヒー! 死体に宝石なんぞいらないだろうからもらっておいてやるぜ!」
誰なのだろうこいつらは! この無法者が盗みを働いているこの場所は、少し前に巨大な怪物が破壊尽くしたあの街である
つまり火事場泥棒! こいつらは機械軍から逃げつつ機械軍に破壊された町で盗みを行うハイエナあるいはハゲタカじみた邪悪集団である!
「オラ、さっさと盗むもん盗め! 機械軍が来る前によぉ!」
ボスが部下に命令する
「でもオヤブン、溶けたり壊れたりでダメなのも多いでありんすよ」
「ウルセー! 破損の少ない家とか死体とかから漁れや!」
「ワカリマシタ!」
部下たちが散らばり、ボスと思わしき男はつぶやいた
「チクショー現金ならいくらでも落ちてんのによ、機械軍のせいで通貨価値が無くなっちまってなければ……今まで溜め込んだ分も……」
その時だ!
「ウギャギャーッ!」
悲鳴!
「ババババーッ!」「グゴゴゴゴーッ!」
「くっ機械軍か!?」
「ボス助けてーッ!」
「待ってろ今……なっ足が!」
ボス魔王は動こうとしたが足が動かない! 足にいつの間にか白い糸が巻き付いており地面にくっついていたのだ!
「なんだこら! クソッ取れねえ!」
「こんにちは、魔王スパイダーです!」
突然頭上から声! 見上げると頭のすぐ上に六つ目の顔が迫っていた!
「ああ!? この野郎が!」
即座にボス魔王は頭突きを繰り出すがおちょくるように顔は上に上り躱した!
「ハハハハ!無様! あなたに恨みはありませんが死んでもらいます!」
その魔王は腕4本足4本の異形の魔王であり体から伸ばした糸を建物に絡めて逆さ吊りになっているのだ
「てめぇなめやがって! 降りてこいぶっ殺す!」
「ハハハハハハ! ハハハハハハ! 野生動物のように喚く姿、滑稽なり! ……あっ」
「ああっ!?」
ボス魔王の頭が首からぼとりと地面に落ち、血が噴水のように吹き出し死亡!
「貴様はおしゃべりが過ぎるぞ、スパイダー」
赤黒い西洋貴族じみた服を着た背の高い男は剣の血を拭き取ると、鞘に収めた
「せっかくのハンティングなのに! もっと遊ばせてくれても良いでしょう! エクスキューショナー!」
「タイムイズマネーだ、時間を大切にしろ……ゴロツキどもの掃除は終わった」
「ハイハイ! 調査の仕事ですね!」
魔王スパイダーは糸から飛び降り八本の手足で着地した
「社長によれば、怪物の死骸が残っている可能性があるらしい」
「私の蜘蛛感覚にかかればそんなもの一瞬で見つかりますよ……おや、近いぞ……近づいてくる……?」
「グシャーッ!」
「ギャアーッ!」
突如何かに魔王スパイダーが食いちぎられる!
「スパイダー!」
魔王エクスキューショナーは瞬間的に抜刀し断頭剣で襲撃者に斬りかかる!
「グシャア!?」
襲撃者の首が飛ぶ!
「ゲホッゲホッ! クソッ腕2本と足1本が持っていかれた」
「こいつが怪物か? まだ生きていたのか?」
「だが今死にましたよ! ざまあみろだ!」
魔王スパイダーは襲撃者の生首を踏み潰そうと近づく
「んん? コイツガキか? 女の……」
「危ないスパイダー!」
「エッ」
生首が突如飛び跳ね魔王スパイダーの頭を食いちぎった!
「ギャギャギャーッ!」
魔王スパイダーは死亡!
「グシャアアアア……ニクゥゥゥゥゥ」
少女の胴体がひとりでに動き、首を拾い上げると元の位置に戻し何事もなかったようにくっついた
「貴様、ゾンビか? ならば魔王ネクロマンサーの失敗作か何かか?」
「ワカラナイ……デモオナカスイテルカラタベル……シャアアアアア!」
「知能が無いようだな! 貴様は死刑だ!」
魔王エクスキューショナーは飛びかかるゾンビ魔王を冷静に見極める……まず狙うべきは足、そして距離をおきつつ再生不能になるまで切り刻む!
魔王エクスキューショナーは空中のゾンビの足を狙い、剣を振りかざす!
「グシャー!」
その時ゾンビの体から虹色の糸が放たれ剣に絡みついた!
「何! これは! スパイダーの能力を……」
「イタダキマス!」
「グワーッ!」
そして魔王エクスキューショナーは食われた!
「ムシャムシャ……」
魔王エクスキューショナーの腕をフライドチキンじみてしゃぶり、その腕に握られていた剣を拾い上げた
「ナンダカタベレバタベルホドツヨクナルゾ! アノニジイロのニク……アレガヨカッタノカナ」
そのゾンビ……魔王ビザールは魔王の腕を放り投げ、メインディッシュの脚肉に手をのばす……
「ハッ! コノニオイハ! アノニジイロニクノニオイダ!」
魔王ビザール自体は気がついていないが魔王スパイダーの超感覚によるものだ!
「ゴチソウダーッ!」
魔王ビザールは跳躍! 虹色の糸を腕から出し、建物に絡みつけ高速で飛び移る!
「アーアアー!」
虹色の蜘蛛糸を撒き散らす魔王ビザールの視線の先には山脈!
一方その頃ダルス
「この四角いブロックおいしいぜ……むっ!」
「ダルスどうしたの」
「むー、何かを感じるぜ……遠くから……しかしこの食べ物はおいしいぜ」
「そうだね! 貰えるだけもらっていこー」
「もうダルスもルーノンも油断しないの!」
迫る危機とおいしさ……