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勇者は何も語らない  作者: 真地 かいな
第1章 旅の準備
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背後を憂う



夏も終わりに近づく季節。

それでもコムル村の住民達は、残暑を気にすることはない。村付近にある海岸から潮風が吹いてくるというのも理由の1つ、風の樹海から風が吹いてくるというのも理由の1つ、気温が高くともそれを感じさせない環境にあるのだ。その分、冬は寒くなるのだが。


「えいっ!!」

「たぁぁ!」

「やぁ!」


そんなコムル村の中で、勇ましい掛け声が響いていた。


「…くそっ! だぁぁ!」

「当たらないよぉ〜」

「リオン兄ちゃん、もっと手加減してよ!」

「ぁぅあぅぅ…」


コムル村の広場ーーといっても、未知のモンスターの襲撃を受けた後、瓦礫の撤去を行った為に、村のほとんどが広場になっているのだがーーその広場で7人の子ども達を相手にリオンが剣の稽古をしていた。

過去、コムル村の人口が100を超えていた頃、村の中心だったこの場所は村人達の憩いの場であり、収穫祭などの祝事や住民総出の集会が行われた場所であった。



自分達はいずれ村を去る。


それを念頭においているティム達は、旅立ち後の憂いを少なくする為に自分達が出来ることをしていた。この稽古もその一環で、子ども達に自己防衛の基礎を教えているのである。

もちろん、まだまだ剣を握る事も出来ないような幼子はこの稽古には参加していない。


「おわっ」

「…くそ〜ダメだぁ〜」

「むぅぅぅ」


リオンの稽古は模擬試合形式だった。

リオン自身の稽古も含んでいる為に、7人の子ども全員を相手どって実戦さながら戦うのだ。元々、リオン自身も剣の振り方を誰かに教わった訳ではなく、ティムと2人で日が暮れるまで剣を振るっていた。そんなリオンが出来る教え方は、“習うより慣れろ”の精神で自分達と同じように剣を降り続けさせることだけだった。


「僕達じゃ樹海のモンスターに勝てないよ…」


稽古が始まってしばらくした頃、1人の男の子が自分の無力を嘆くように呟いた。どうやら、自分達の実力に自信が持てないでいるようだ。


しかし、リオンの目から見れば子ども達は十分に成長している。手強いモンスターを1人で討ち取るといった事は出来ないであろうが、大抵のモンスターなら十分以上に戦えるだろう。さらには手強いモンスターが相手でも、数人がかりで戦えば自分の命を守りながら逃げるだけの力はある。だから、自信なさ気な男の子にリオンは告げるのだ。


「大丈夫」


頭を撫でられても嫌がる様子も見せない男の子は、リオンの手の感触を楽しむように目を細めていた。


そんな様子を見ていた1人の女の子が、男の子の軟弱な心を咎めるように睨みつける。


「ビリー! アンタは甘えてばかりだから弱いままなのよ。もっと死ぬ気で訓練しなきゃ、強くなんかなれないんだからね!」


突然の怒鳴り声に、ビリーと呼ばれた男の子はビクリと体を震わせた。そして、少しオドオドとした声色になりながらも、必死に反論するのだった。


「でっ…でも…そんな事言ったって、フモールだってリオン兄ちゃんに1度も剣を当てられた事なんてないじゃないか」


そう、実は子ども達が自信を持てないでいる1番の理由はこれだった。

7人がかりで挑んでも、リオンに勝てないのはもちろん、攻撃を当てることすら出来ないのだ。稽古を始めて2年は経とうというのに、未だにそんな状態では自信を持てという方が無理がある。


それでもまだリオンの稽古は良い方でティムに至っては自分の稽古を優先するあまり、子ども達が何かをする前にものの数分で全員をブチのめすのだから、より無力感が大きくなるのだろう。


「…うるさいっ」


フモールと呼ばれた女の子は、ビリーの言葉に一瞬目を泳がせた。強気の発言をしているフモールにしても、7人の腕前はドングリの背くらべ程度であることを自覚しており、自分が突出して強いと思っているわけではない。本当の事を言えば、フモールも自分の実力に自信が持てないでいるのだろう。

ビリーは全員の代弁をしただけで、フモールはその弱気な気持ちを払拭しようとしただけなのだ。それでも言い負けるのが嫌なのか、ビリーに対して言い返すのだが。


「でもよぉ、未だにリオン兄ちゃんにかすり傷1つ負わせられないんじゃ、モンスターと戦える訳ないだろ? なんせ、樹海のモンスターの中にはリオン兄ちゃんよりも素早い奴もいるって話じゃないかよ」


地面に胡座をかいてビリーとフモールの言い争いを見ていた男の子が、自分の知っている情報を述べる。


樹海に入ったことのない男の子が何故そんな事を知っているのかと言うと…もちろんティム様英雄譚が原因だ。

胡座の男の子は、ティムから樹海のモンスターの話を聞くたびに、どれだけ練習しても自分の腕では樹海中でも強いといわれるモンスターには立ち向かえないだろうと感じているのだ。

だからか、最近では剣の稽古を行う事すら無意味に思い、目に見て分かる程に手を抜いていた。今も、剣を放り投げてビリーとフモールの言い争いを眺めて、自分の発言で言い争いを長引かせて今日の稽古が潰れてしまえばいいという打算があった。


「バミルは黙ってなさい! 出来る出来ないじゃなくて、やるのよ!」


そんなバミルの打算に気付いていたフモールは、強気に、というよりも、やる気のなさに若干の怒りを滲ませながら反論した。

ビリーとフモールで言い争いをさせようと思っていたバミルは、自分に矛が向いたのを面倒くさそうに受け止める。

まぁ、フモールの牙が自分に向いても稽古が潰れるなら良いか。そんな思いでバミルが微笑を浮かべた。


「ホント、威勢だけは良いよな」


そんなフモールの怒りを煽るような発言が放たれる。バミルの浮かべたバカにするような微笑も相まって、フモールの身体から怒気が発生するが、バミルはどこ吹く風で受け流す。


「どういう意味よ」

「言葉の意味もわからないほど馬鹿なのか?」

「…良く分かったわ」

「へぇ、思ったよりは利口だったんだな」


フモールは腰に下げていた鞘を握りしめた。


一触即発


そんな空気が広場に流れ始めた。

すでに、子ども達の自信どうこうといった話は忘れられたかのように、全員の目がフモールと、面倒くさそうに頭をボリボリと掻いているバミルに向けられている。


稽古の場所から1人で精霊魔法の訓練をしていたミオが、空気の変化を敏感に察知してチラリと目を向けると、子ども達に稽古をつけていたリオンが渦中の2人を見ながら事の成り行きを楽しむかのような表情を浮かべていた。


「バカね…」


呆れたようにミオが呟いた。

何があったのかまでは知らないが、リオンの様子を見て、ただの子どもの喧嘩だと理解したのだろう。危険な状況であればリオンが黙って見ている筈がないからだ。


「バミル! アンタの訓練態度にはずっと腹が立ってるのよ!」


フモールが鞘から剣を抜いて叫んだ。


「そうか…そりゃこっちも同じだな! いちいち上から目線で暑苦しいこと言いやがって」


バミルは胡座を組んだままだが、いつでもヤッてやるという瞳を携えて叫び返した。


嵐の前の口上前戦とでもいうように、2人は雑言を叩きつけ合う。

2人の周囲を取り巻く子ども達はどっちが勝つのだろうと騒ぎ始めた。


ここまで熱くなった2人がやる事はいつも同じーー決闘だ。もちろん、用いられる武器はフモールが今も手にしている刃を潰した稽古用の剣ではあるが、子ども達の中でも技量の高い2人の決闘は見ている者に興奮を与えてくれる。自信のなさから生まれる鬱憤とした心情も、この2人の決闘ならば発散させてくれることだろう。


そんな周囲の期待感に応えるように、フモールが剣をゆっくりと持ち上げる。まだ剣すら握らず胡座姿のバミルの眼前に剣を突きつけて、全員に聞こえるような声で宣誓する。


「私、フモール・ルモレーラは父であるマイカー・ルモレーラの名に誓う。宿敵バミルに決闘を挑み、腐りきったその根性と共に一刀に伏すと」


フモールの口上に、周囲の子ども達から喝采が挙がる。子ども達は、次いでバミルに視線を移す。


この口上にバミルが応えれば決闘の始まりだった。

もちろん、フモールの口上通りに命まで奪われるようなことはない。そうなりそうなら必ずリオンが止めるからだ。これはある意味、本物の決闘と決闘ごっこの中間のようなものである。リオンから見れば真剣に行われる模擬訓練のようなものだった。


「…ふぅ」


バミルが溜め息を吐きながら、地面に放り投げていた訓練剣をゆっくりと拾い上げる。そのまま流れるような動作で立ち上がり、フモールと同じように切っ先を眼前に掲げた。


周囲から浴びせられる期待の視線を楽しむかのように、バミルは周りを見回す。子ども達からは、早く始めろと声が掛けられるが、バミルは焦らすように、ゆっくりとした動作を止めることはない。


そして、一言、一言を噛み締めるかのように追口上を述べ始めた。


「俺の名はバミル・ルモレーラ。父マイカー・ルモレーラの長兄にして、生き残った一族を束ねる使命を帯びた者だ」


バミルはここで口上を区切り、周囲の反応を伺った。

ワザワザ焦らしてくる行為に、そんなことは知っていると周囲から野次が飛び出すが、バミルはそれすらも心地いいというように目を細めた。


「我が一族の不肖の妹、世間知らずで夢見がちな妹、フモールの…」


バミルの言葉はそこで唐突に途絶える。

今度は焦らす為ではない。ただ、横槍が入った為に、止まらざるを得なかっただけだ。


「だめぇぇ!!」


不意に叫ばれた大声に、広場を覆っていたルモレーラ兄妹の熱が霧散する。

兄妹は互いに突きつけ合っていた切っ先を下げ、声の主の方を見やった。


「あぅあぅ…けっ…決闘なんて不毛なことは止めて下さい!」


いきなり全員の視線が集まり若干動揺しながらも、女の子は決然とした瞳を備えたままに言葉を連ねる。


「…マメル」


声の主の姿を捉えたフモールは、バミルにたぎらせていた怒りが鎮まり、優しげな表情を浮かべる。自分を本当の姉のように慕ってくれる諍いが嫌いな優しい女の子がいたからだ。

それは、7人の中では1番の幼い女の子の声だった


「じ…慈愛神様は仰いました。生きとし生ける者は皆兄弟だと。そ…それ故に、争ってはいけないのだと。て…手を取り合って生きていかねばならぬのだと」


自分に視線が集まることを意識すると、気概が削がれそうになるのだろう。マメルは何度も吃りながら、それでも神の意志は伝えたい、伝えなければならないのだと言っているようだった。


「御二方は正に、覆すことの出来ない血の繋がりを持った兄妹ではありませんか、ならば何故争うのです。なっ…何故手を取り合って生きようとしないのですか」


ルモレーラ兄妹の決闘を楽しみにしていた子ども達はマメルの横槍でお流れになりそうな雰囲気を感じ取る。

眉を顰めて残念そうにしているかと思えば…逆にこの状態も面白い。技量の高い2人が1番歳下の女の子に言いくるめられようとしているのだから。そんな様子を見守るのも一興だとニヤけた微笑を浮かべる者もいた。


「今はそんな事を行っている場合ではありません。ティム兄様やリオン兄様が私達に剣技を授けて下さっているのは何故ですか? その理由を思い出して下さい!」


しかし、周囲で見物を決め込んでいた子ども達の好奇の目が、マメルの言葉にピクリと反応する。


「ティム兄様達、御三方は旅立つのですよ!? ならばその後はどうするのです? このコムル村の安全は誰が守るのですか? 今まで兄様達が獲ってきてくれていた獣肉は誰が獲ってくるのですか? 全てをハンス様やミレーヌ様に投げ出すのですか? 私達自身の安全さえも?」


ガヤガヤと楽しんでいた子ども達も、マメルの言葉を聞いた途端に押し黙る。



ティム達がいつか旅立つ。



子ども達もティム達がいつか村を旅立つことは知っている。それ故に、ティム達が言葉にしなくともこの稽古の意味には気付いていた。

ティム達が不在の村を、ハンスやミレーヌを支えながら樹海のモンスターの脅威から守るのは自分達だとも理解している。そして、それに見合う力量を手に入れようと努力している。

しかし、7人がかりでもティムやリオンとマトモに戦えたことが無いのだーー子ども達は、最初に抱いた不安が再度募ってきたのを感じていた。もはや、マメルの言葉はルモレーラ兄妹だけに向けられた言葉ではない。自分達にも説いているのだ。


「今こそ、私達は手を取り合って結託せねばならぬのです。この村で本当の兄弟姉妹のように育った私達ならば、それが出来ない筈がありません! さぁ、稽古を続けましょう」


マメルはそう締めくくった。

拍手などない。

目を背けたい現実を理路整然と説かれても、感心も感激も出来る筈がない。強さが必要になることは自分達で十分過ぎるほど理解しているのだから。

すでに抱いた不安と戦っているのだから。


子ども達は地面に視線を向けたまま動かない。結局は最初に戻ってしまったのだ。自分達は強くなっているのだろうか。稽古を続けて意味があるのだろうかと。


周囲が静まり返る中、バミルはうやむやの内に稽古が終わりそうだったのに、それを軌道修正したマメルの存在に舌打ちする。そしてまた面倒くさそうに地面に胡座をかくのだった。


熱気を持って道を説いたマメルは、奇妙な沈黙が漂いだしたのを感じて、他の皆と同じように下を向いてしまう。そのまま、自分の無力さに脱力し、ストンッと腰を下ろした。


「大丈夫」


リオンの囁くような声が呟かれたが、子ども達が安堵の表情に変わることはなく。漂う陰気が消えることもなかった。


そんな時だ、沈黙を破るように軽快な声が響く。


「リオン! 新しい訓練剣を打ち終わったぞ。使い物にならなくなってきたヤツがあったら手入れするから貸してくれ」


亡き父親の鍛治場で武具を製作していたティムが数本の刃引きした剣を持って広場にやってきた。


ティムは、モンスターに襲撃された後でもなんとか使用出来る状態で残されていた鍛治場で予備の武具を作っていた。

父親が他界するまでに鍛治の基本を教わっていたティムだが、もちろん鍛治の技術は父親に遠く及ばない。それでも、自分がやらなければ他の誰にも出来ない事だからこそ…この村の武具供給や金物供給を行う為には、相当の試行錯誤があっただろう。

数年に渡って行われた鍛治仕事で、なんとか形になってきたその武具の量は十数人規模の村で貯蓄している量とは思えないほどの在庫がある。もちろんこれも旅立ちを見据えて行っている事だった。


「…なんかあったのか?」


あまり空気を読むことを得意としていないティムであっても、今の広場を包む空気には違和感を感じたようだった。無表情のように見えても、見慣れた者にだけわかるリオンの困った顔を見たからかも知れないが。

ティムは珍しく自分の場違いさを感じ取り、困惑の色を浮かべていた。答えを求めるようにリオンの顔を見るが、リオンからはマトモな言葉が出てきそうにない。それなのに、子ども達からは助けを求めるような無言の視線が向けられて、ティムの困惑はさらに増す。


「この子達、どうやら自信がないみたいよ?」

「おぉ! ミオ、何か知ってんのか? 何でこんな状況になってんだ。俺にはサッパリだよ」


それまで広場の隅で、精霊魔法の訓練をしていたミオが状況を見かねて近付いて来た。

ティムは思わぬ助け舟の登場に笑顔を浮かべる。リオンもこういう時ぐらいはしっかり喋って欲しいものだと言うように肩を竦めたティムは、ミオに説明を促した。


「この子達も私達と稽古を始めて大分たつでしょ?」

「おぉそうだな見てても、大分腕が上がったってのが良くわかる」


ティムの言葉で子ども達がざわめく。ティム達に褒められたのは、実はこの言葉が始めてだった。


「それで、何だ? 調子に乗ってリオンに怒られたのか?」


子ども達が何でざわめいたのかも気付かないティムは、眉を顰めて、勝手な推測で憤りだした。


自分の強さを過信すれば、尊大な態度になってしまうものだ。そんな感覚に、身に覚えのありすぎるティムだからこそ、その危険な兆候に敏感なのだろうーー今回は全くの検討違いなのだが。そしてティムは、剣を放り出して胡座を掻いている、明らかに態度の悪いバミルを睨み付けた。


いきなり睨み付けられたバミルは、慌てたように姿勢を正し、ミオへと助けを求める。


「違うわよ。だから、アンタが怒っても意味ないのよ……だから! 止めなさい!!」

「痛っ!」


樹海のモンスターの恐ろしさを知っていながら、リオンの指導を受けられないヤツは、その根性を叩き直してやる。そんな勢いで持ってきた予備の訓練剣を振りかぶったティムの背中をミオの蹴りが襲う。ティムは体勢を崩してよろめき、批難の視線でミオを睨んだ。


「何すんだよ!?」

「逆よ、逆!」

「なにっ? 前か!」


実は攻撃を仕掛けたのは、背後にいたミオではなく前方に居た誰かだ! …ミオの言葉をそんな風に受け止めたのだろう。ティムは即座に振り向き直す。

そして、ミオが再びティムの背中を蹴り飛ばした。


「バカっ、違うわよ。リオンやアンタとまともに戦えないから、モンスターとも戦えないって、ベソかいてんのよ」

「そんなことっ!! …あぁそうなのか」


視界外から2度も蹴りを入れられ、犯人探しに熱くなっていたティムはミオの言葉を脳内処理するのに時間がかかった。が、よく考えれば納得の出来るミオの説明に、その熱を下げていく。

強くなったと言っても、まだまだな腕前の7人がリオンを軽視出来る程に圧倒出来る筈がないからだ。リオンへのーーミオに対しても同じだがーー大きな信頼が、それを容易に納得せしめた。


ちなみにティムの頭からはすでに、ミオから受けた蹴りやバカ呼ばわりの事は消え去っている。そんな、いい意味で単純なティムの姿にミオは苦笑を浮かべていた。


「何だよ、そんなことか」

「そんな事じゃないわよ。このまま私達が旅に出たら、大変な事になるわよ?」

「そんなもんは、そんな事だよ。モンスターと戦う自信がないなら、戦ってみれば早いじゃないか」

「いや、そんな訳には……ん、でも…そうねっ!」


ティムの提案にミオが歪な笑顔を浮かべて同意した。


「「えっ!?」」


「僕達が樹海に入るの?」

「ついに戦えるのね!」

「…面倒くせぇ」

「ふぇぇ…慈愛神様」


話の流れを見ていただけの子ども達は、いきなり下された決定に思い思いの声をあげる。樹海のモンスターに対して過大な恐怖を抱いていた者達には、その時のミオの顔が悪魔の微笑みのように見えたそうだ。


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