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「あっ、レノンみーっけ!!」


「セレナか…私今生物学の勉強中だから。」


「生物学?それってどんなのーーって、あっー!!それエ○本じゃないのー!!」


「何をいうか、これもりっぱなぐぇっ!!」


w殴wらwれwたwしかも鳩尾をwww


昼になり午後、図書館で数式と語学の本を一通り読み終わり、生物学(笑)の本を読んでいると、セレナが来た。


セレナは部活を終えるといつも迎えにくる。


どんだけ私のこと好きなのよwwwって思ってる奴、違うぞ。セレナの本当の目的は私じゃないぞ。


「あ、あのさ…実は明日学校でテストあるんだけど、数学教えてくれないかな?」


上目遣いとお願いポーズのコンボですと!?

これを断っては男がすたる!!


「しょうがないなwww私がサクッと教えてやんよwww」


「ありがとう。じゃあさっそく!!ここなんだけど…。」


「えーなになに?プッ、お前こんな簡単な問題も解けねぇとかwwwまじパネェッスセレナたーーあべしっ!!」


殴られた…、顔面が死ぬ…。




「終わったぁ~!!」


「ったく毎回毎回こんな簡単な問題で頭抱えやがって…。そろそろ帰るかーww」


「うん、そうだね。」


図書館を出て二人で歩き始める。いつもと変わらない道、変わらない空。


私はセレナに、ふとこんな質問を問いかけてみた。


「なぁセレナ?なんで空って青いんだろうなwww」


「えぇーと…。きっと神様は青い空が見たかったんだよ!!」


「なんだよそれwwwあー、でもそうかもしれねぇなwww」


「もしレノンが神様だったら、何色にしてた?」


「俺?んーそうだな…やっぱり私も青色にしてたかもしれない。セレナだったら何色にするんだよ。」


「私?そーねぇ…私だったら太陽みたいな赤色にするかな。」


「何それww赤色とかウケるwww」


「もう、レノンは常識に捕らわれすぎだよ。もっといろんな可能性を見なきゃ。数字の本ばっかり読んでないで、たまには物語とかも読んでみなよ。」


「なぁ、知ってるかセレナ?数字は絶対に嘘つかないんだぜ?」


「そうだけど…。あ、じゃあこれ!!もし時間が余ったら読んでみて!!」


「これは?」


「えへへー、実はそれ私が書いたお話なの。私ね、将来作家になりたいんだー。」


「文字とか間違えまくるお前がか?www」


「もー!!がんばるもん!!あ、レノン家着いたよ。じゃあまた明日!!読んでよねー。」


セレナはそう言いながら隣の自分の家に入っていった。


私も入るかー。きっと誰もいないのだろうけど…。


ガチャ。


「ただいまーーって親父!?帰ってきてたのか!?」


誰もいないとドアを開けると、いつもは仕事で家にはいない父が晩ご飯の支度をしていた。


「おかえりレノン~wwちょっと仕事が落ち着いたんでなww今日は俺の手料理だぞ~?」


父の職場は首都にある研究所で、この町からは少し遠い。だから父はたまに帰ってくるという形で、仕事をしている。いわゆる単身赴任だ。


「親父の手料理美味いんだよなwww」


私の母は何年も前に他界しているため、普段家事は自分でするのだが、私は料理の才能が皆無で、いつも炭が出来上がる。


だから夕飯はいつもパンやカロ○ーメイトなど、調理いらずのものを取るのだが、父が帰ってきた時は、こうしてちゃんとした食事を食べることができる。


「ふぅ~、ご馳走さんwww」


「皿は流しに持ってけよーww」


「へいへい。」


私は流しに皿を置き、父の座っている向かい側に座る。


「で、今回はどんな研究してるんだ?」


私は父の研究の話が大好きだ。父はいつもそれを楽しそうに語ってくれる。


ところが、今日は何かが違った。


「ふふ、今回はちょっと言えないなぁwww」


「ええー!!何で!?いいじゃんかー。」


「いや、今回はほんとにゴメン。その代わりもし、成功したら最初にレノンに報告するから、な?」


「…わかった。」


私はしぶしぶ身をひいた。


きっととても大きな研究をしているのだろう。それを無理矢理聞きだそうとするほど私も強情ではないからな。


それにしても、私に話してくれないとはよっぽど大きな研究なのだろう…楽しみだなぁww


「明日の朝から首都に行くのか?」


「いや明日は少し家で研究を少ししてから行くとするさww」


「親父にしては珍しいなwwじゃあ朝ご飯も任せたぜww私は先に部屋にいくから、おやすみ。」


「おう任せとけwwじゃあおやすみ…。」


私は部屋のドアノブに手をかけた。


「レノン…寝る前に一つだけいいか?」


「なんだよ改まっちゃってww」


「妄想や幻想なんてものはな、確かに曖昧すぎて不確かなモノが多すぎる。でもな、俺が今調べてる研究で一つ分かったんだ。時には数字だけじゃなく、曖昧なモノが必要な時があるんだってこと。レノン。常識に捕らわれたらダメだぞ?それだけだwww」


「…わかった、常識なんか私が覆してやんよwwwじゃ、おやすみ~。」


バタン。


珍しいな…。父があんなことをいうなんて。


そういえばセレナも同じようなことを言ってたっけww


私はカバンから少しはみ出しているノートに目をやる。


セレナが私に物語だといって手渡してくれたノート。


形状がノートであることから、おそらく授業中書いていても気づかれないだろうと思ったのだろう。


「まったくwwこんなことするから毎日私に勉強教わらないといけないんじゃないか?www」


授業中に、先生に見つからないように必死にこのノートに文字を書くセレナの姿が想像できて笑える。


ノートの表紙に目をやると、『勇者と魔王』と書いてある。


その内容は、世界を恐怖に陥れようとする魔の王、『魔王』を選ばれし正義の人『勇者』が倒し、世界を平和にするという話。


小学生のラクガキみたいな黒いマントに身を包んだ人物、おそらくコイツが魔王かな?と、剣を片手に持って魔王に向かっていく人物、多分勇者が描いてあった。セレナ絵下手www


しかし、魔法やらペガサスやら、ほとんどが空想のモノで描かれた"セレナの世界"はとても私を魅了するものがあった。


なるほど、面白い。今度からは物語にも少し手を伸ばしてみようかな、などと考えているうちに私の意識はベッドの中に落ちていった。


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