14/71
罪と饅頭の重さ 0
「山の物売りか……」
クワクワと鳴く野鳥の籠と、山菜がたっぷりつめこまれた籠のふたつを両側にさげた馬の手綱を持って、少女は内町へと入るための門の前に立っていた。
門番の軍人は、許可証をじっと見つめた後、彼女の顔をジロジロと眺めた。
そんな男に、少女はにこりと微笑み返す。
思わず、門番が頬を赤らめてしまうほど、清清しい笑みである。
「よ、よし……入れ」
気恥ずかしさを隠すためか、男は許可証を突っ返しながら、ぶっきらぼうに少女を門の中へと促した。
ぺこりと会釈をして、彼女が足を踏み出そうとした時。
「ちょっと待て」
男は、もう一度少女を呼び止める。
首を傾げて振り返る彼女に。
「その馬は、大層いい馬のようだ……荷運びだけなら、もっとしょぼくれた馬でもいいだろう。町で売れば高値がつくぞ?」
軍人は、親切心かそんなことを教えてくれた。
「ありがとうございます、考えてみます」
彼女は、ぺこりとお辞儀をしてから、ゆっくりと町へと入っていったのだった。