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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
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或男

作者: 高槻全壱
掲載日:2026/08/19

人を愛する能力が皆目無いと、確信しつつある今日この頃。

女性に対して芽生えた猜疑心。


いや、女性だけではない……。

と言うよりそれだけでは済まなかった、と言った方が正しい。


人間に対して私は、疑念を抱いてしまった。勿論私自身も疑念の対象であり、常にあらゆる事に対して疑いの心がある。これは、はっきり言って末期であると自覚している。全人類に対して抱いてしまった絶望的な疑念を、私は捨て去る事も、忘れ去る事も出来ず、今に至るのだ。


その根本疑念が生まれたのが、中学二年の初夏だ。

生まれの由来を語る気はさらさらないが、それ以来、人間関係、男女の付き合い、更には骨肉の争いに至るまでの元凶になったことは間違いない。


今でも私は独りだ。後悔は無い。むしろ喜ばしく思う。


だが四日前から手足が動かなくなり、体の自由が利かなくなってきた。食事を摂ったのも、手足が不自由になる前にチョコレートを一口かじったのが最後だ……。


空腹も限界に近い。

誰かが訪ねて来ることはまず無いだろう。

先に話した通り、私には誰もいないのだ。知人も友人も、肉親でさえも……。


既に視力は薄れ、呻き声すら出ない。


これまでに感じたことのない唯一の無念が、まさか今わの際に訪れるとは夢にも思わなかった……。

2007/12

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