翠と橙(みどりとゆず) vol.008 「巽~~。仕事、終わった~~。ルッポラ行く~~。」
店に戻ってきた巽、
「お疲れ様で~~す。今、戻りました~~。」
「おつかれ~~。どう…、初めてのデリバリー???」
店長の本条珂帆。
そんな声に巽、
「ん~~。結構、お客さんたち、親切そうで、良かったですよ~~。ちょっとだけ…、緊張しましたけど…。」
「うん。そう。とにかく頑張って~~。料理も出来る、ウェイターも出来る。…んでもって、デリバリーも、出来そうな人、巽君しか…、いないから…。」
そして、
「今って、デリバリーもかなり…人気あるから~~。手放せないコースなのよね~~。」
「はい。了解です。」
店の客を見渡しながら、
「あっ、店長、本条さん。」
「…ん…???」
「今、回ってきたところもそうなんですけど…。初めてのトコ…なんですか…???」
「んんん…、お得意さんよ。ウチ…、贔屓にしてくれてる企業さん…。」
その声に巽、
「ふ~~ん。そっか、そっか。」
ドアを押してふたりの女性が入って来る。
「いらっしゃいませ~~。」
そして、客たちを見て、
「社会人、1年生。頑張れ、橙。」
夕方、
「巽~~。仕事、終わった~~。ルッポラ行く~~。」
巽のスマホに橙からLINE。
「おぅ。お疲れ、どうぞ、どうぞ、ご来店、お待ちしております~~。」
そして数分後、ドアを押して店の中に入って来た橙に、
「はい、お疲れ~~、ゆずちゃん。仕事、終わったんだ~~。」
珂帆。
「ただいまです~~。珂帆さん。お腹空いた~~。」
空いている席に着くなり、
「かかかか。巽~~。ゆずちゃん、来たよ~~。」
「おっと。巽の大事な彼女~~ってね~~。はい、いらっしゃ~~い。」
ウェイトレスの堤柴乃、橙のテーブルに水の入ったグラスを置いて。
「ふふ。」
珂帆。
橙、
「柴乃さん。ありがとうございます。」
厨房から巽、
「おぅ、橙、帰ったか。今、作ってるから、待ってろ。」
橙、
「はい、巽~~。うん。ありがと。」
そして、巽の作った料理を食べながら橙、
「うんうん。さっすが~~。美味し。」
数分後、食べ終わって橙、
「ごっちそうさま~~。」
巽、
「おぅ。」
「ごちそうさまでした~珂帆さ~~ん。…さて。帰ります~~。」
そう言って橙、
「じゃ、巽~~。先、帰ってるね~~。」
巽、
「おぅ。」
紫乃、椅子から立ち上がる橙をカウンター内で見て、
「アパートで、隣同士…ってか~~~。」
珂帆、ドアの向こうでまた店の方に向かって右手を降る橙に、
「ふふ、かっわいいね~~~。」
「へへ。ありがとうございます。」
巽、テーブルを拭きながらも照れながら…。
「あっ。そっか。昨日から、橙ちゃん、社会人なんだ。…で…???」
「あ~~。」
巽、
「昨日から…、橙のオジサンが勤務している、アパレルの会社に…。」
珂帆、
「ふ~~ん。何て言う…???」
「アンジェリーナって、アパレルメーカー。」
「アンジェリーナ…???わぁ。ウチのお得意様~~。」
その声に、巽、
「はい???」




