翠と橙(みどりとゆず) vol.042 「カラオケなんて、実は…、初めてなんです。」
歌い終わって、拍手喝采の中、マイクスタンドでお辞儀をして、
また元の万美の隣の席に橙。
「凄~~い、ゆずちゃん、歌…上手~~~。」
拍手で橙を招き入れる万美。
真赤な顔をして席に座る橙。
「いえいえいえ。全然だめです、私なんて…。それに、カラオケなんて、実は…、初めてなんです。」
尋音、そんな橙の声に、
「う~~~っそ!!!」
万美、
「えっ…???じゃ…、友達となんかでも…???」
そんな万美の声に、自分の飲み物を飲みながら、右手で、ひらひらとさせて…。
尋音、
「へぇ~~~。」
「だから、今、凄い、楽しくって…。静かな曲しか…歌えないですけど…。」
「ゆずはね。ちっちゃな時から、もの凄い、大人しい子だったんだ。」
突然惇哉。
「ゆずには、お姉さんが2人いるけど、そのふたりとは全く違った性格。とにかく、大人しい。両親に文句なんて言わなかったもんな~~。」
万美、尋音、
「へぇ~~~。」
「…けど…、今は…ちょっと…変わったかな…???なぁ、ゆず…???」
呉羽、千慧、惇哉を見て頭を傾げる。
「ゆず、本当は父親のホテルで働く…はずだったんだ…。けど…。自分の力で、ファッションの道を志して、俺に声を掛けてきた。そして、自分の力でやってみろ。俺からそう言われて、その自分の力を発揮した。」
呉羽、千慧、
「……。」
「今じゃ、この通りに、全く、誰が見ても、みんなと変らない女性だ。」
万美、尋音。
「うん。」
「けど、子供の頃から、大学生まで、とにっかく、地味。全く目立たない女の子。」
万美、尋音、翠、
「う~~っそ!!!!」
「それが今じゃ、ほら。立派なレディだ。かかかか。俺に声掛けてきたとき、俺だって、驚いたくらいだから…。」
惇哉。
「とにかく、ゆず。頑張れ、みんないい人たち、ばっかりだ。」
そんな惇哉の声に橙、
「はい。ありがとうございます。」
菫、千慧、呉羽。そして翠に尋音、万美、笑顔で橙の顔を。
「あれ…???次、入ってないのか…。」
そんな惇哉の声に、一同、
「あっ。」
「んじゃ~~。」
そう言いながら惇哉、上着を脱いで、
「一丁、やるか。ユッキ、いつものヤツ。」
ワイシャツの両袖のボタンを外して腕まくりをする惇哉。
ポテトを食べて、ビールを飲んでいた薫朗、
「あ~~。はい。」
ソファに脱ぎ捨てた上着を手に取り、丁寧に畳む菫、
「ふふ。」
呉羽、千慧、
「ヨッ、永ちゃん。」
そして薫朗がチョイスして送信。
「ボス。入りました~~。」
そしてモニターに登場した画像、一同、
「イェ~~イ。」
橙、
「えっ!!!マネージャー、矢沢…永吉…???」
万美、
「ん~~~、聴いてみなさ~~い。」
尋音、
「凄いよ。」
マイクスタンドでポーズを取って惇哉、パチンと両のサスペンダーを両手で弾かせて、
そしてイントロが始まった途端に右足でリズムを取り、そして…、
「乗ってくれHa~Ha Rocko’n Roll Night Ha~Ha。」
橙、
「凄~~い。おじちゃん、上手~~。」
そして次のフレーズで、一同、
「Ha~Ha」
万美、
「ねぇ~~。凄いでしょ。」
そして薫朗を見て、
「ユッキ。」
すると、薫朗、右手3本立て。
万美、
「矢沢、3曲続くよ~~。」
橙、
「わお。」




