翠と橙(みどりとゆず) vol.039 「ユウマって呼ばれてたんでしょ。」
そして、いよいよ橙の歓迎会もお開きに。
ゆずは他のスタッフたちには知られないように、ただただ、大人しく振る舞い、
スタッフたちからも歓迎されていた。
呉羽や千慧、そして惇哉に菫たちから囲まれてしばしの会話。
そんな中で、それほど気にはしてはいなかったが…翠、
それでも、自分の身近の友達も気になっているのが遊馬巽と言う男性。
丁寧にジェシカのスタッフたちに挨拶しているルッポラの店員。
万美が店員に、
「ご馳走様でした~~。凄い美味しかった~~。まさか、あの会費であんなに料理。凄いよ。」
紫乃、
「はい。いつもお世話になってますから、しっかりとサービスさせて頂きました。」
「あ~~~。やっぱり~~~。ありがとう~~。」
そして、その店員の隣りの巽に、
「ねね、巽くんって高校生の時、ユウマって呼ばれてたんでしょ。」
巽、
「えぇ。」
「変な事訊くけど…、高校時代に病気かなんかで、病院に入院してたって事実、あったりなかったりしない…???」
尋音がレジで貰った割引券を参加者ひとりひとりに配っている。
巽、そんな女性に、
「へっ…???僕ですか…???」
自分の顔に自分で指差して巽。
「…えぇ。高校の時に一度だけ、足を骨折して、1ヶ月ほど入院した事、ありますけど…。」
その事を聞いて万美、目を真ん丸にして、
「う~~っそ!!!」
「はいはい、万美~~。割引券。」
万美の右二の腕をポンポンと叩いて尋音。
「な~~に話してるかな~~。お客さん、私たちだけじゃないんだから。店の人に迷惑よ。」
そして、
「み~~んなもう、外に出ちゃってるから、ほぃほぃ、私らも出るよ。」
万美の右腕を引っ張って、尋音。
「あ~~。ちょっとて…、尋…。」
半ば強引に右手を引っ張られてその場を後にするしかない万美。
仕方なく、女性店員と巽に左手をひらひらと…。
そんな女性客に丁寧にお辞儀をする柴乃と巽。
店の入り口の植樹の傍に設置してあるぬいぐるみを見ながら笑顔の奈都、そして翠。
「な~~んで、こんなに可愛いんだろ、ねぇ~~。」
「ささ、みども奈都も、行くよ~~。みんなもう外、出てる~~。」
「これから、マネージャーの奢りで、二次会ですか~~。」
礼人。
「こ~~ら、礼人~~。調子に乗らない。」
千慧に笑顔で睨まれる礼人。
そんな千慧に、もの凄い縮こまりようの礼人。
「すぃません。」
「かっかかか。この体格で、こんなに縮こまると…ほん~とに可愛いよね~~、礼人は~~。ほぃ。」
と、ペンと礼人の背中を叩く呉羽。
その瞬間、いきなり爆笑するスタッフたち。
「よ~~し。カラオケなら、いいぞぉ~~。」
いきなり惇哉。
女性スタッフ、一気に盛り上がり、
「キァハ~~~。やった~~。ご馳走様で~~す。」
千慧、小さな声、
「ボス…。」
惇哉、そんな千慧に、
「かかかか。いいの、いいの。菫だって、久し振りにみんなの顔見られて嬉しいってのに、歓迎会だけでさよならじゃ、帰ってから、俺が怒られる…からさ。ねぇ~~。奥様…。」
菫も菫で、そんな夫と後ろの千慧を交互に見ながら、くすくすと可笑しそうに、
「そのようで…。ふふ。」




