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翠と橙(みどりとゆず) vol.029 街を歩いていても、周囲から笑われなくなった橙。

そして、巽が引っ越した、その一週間後に橙が、巽の部屋の隣に。


龍興、

「ほぅ、ほぅ、ほぅ…。中々いいとこじゃないか~~。良くこんな良い物件、見つけたな~~。」


紅葉も、

「ふん。ここなら…何だか安心できそう。」


橙、

「…でっしょう~~。私もここ、気に入ってる~~。へへへ。」



かくして、橙の一人暮らしが始まった。

そして、自然的に、巽がアパートにいる時は、巽の部屋で食事をするパターン。



「しっかし…。良くゆずの両親、アパート暮らし、許してくれたよな~~かかかか。」

巽。


「もぅ~~。何回も同じ事~~。」

「いやいや。だって、驚くじゃん。いきなり、私、私、私、住む~~。な~んてさ。」


「なんだか、あの時、頭の中で、いきなり閃光が走ったの。」


巽、

「閃光…???」


「うん。…で、私、自分でも気づかない内に、ここ、住むって、言ってた。…もぅ、止まんなかった。」


そんな橙の声に巽、

「え~~っへへへへ…???」



そして、それから徐々に、街を歩いていても、周囲から笑われなくなった橙。



巽、

「ゆず~~。」


橙、

「んっ…???」


「おま…。変ったよな~~。」


橙、そんな巽に、

「え~~~???へへへへ…。」



巽、現在のレストランルッポラ渋谷店で勤務。

それから数か月後に、店にも橙が出入りする事となる。

それからは橙もルッポラの店長や店員にも好かれる人物となる。


そして橙、大学卒業。既に、この時点で、父親の敷いたレールよりも、

自分の力を試す道へと舵は切っていた橙。

さんざん父親を無視して、自分の進むべき道を。

それが…ファッションの道だったのである。

好都合で自分の叔父らが参画して数年前から立ち上げられたアパレル会社に打診。

大学時代に、専攻以外にも勉強を続けたファッションの道に自分からダイブ。



逆に、母親の紅葉が、

「おとうさん。もしかしたら、今までの…ゆずじゃ~~。なくなっちゃったんでしょうね~~。あんなに、私たちに甘えっぱなしの…。」


龍興、

「…ったく、すっかりと、親をコケにしおって。折角、将来すら約束されていると言うのに…。」


「あの子…。変りましたもの。あの頃から…。」

「ん~~???」


「おとうさんは、気付きませんでした…???ゆずが大学入って、半年も経った辺りから…。」

「はぁ~~???」


そんな夫に紅葉、

「…ったく…。だから…男親は。って、言われるんですよね~~。」


「何を言っとる。」

「今まで、大人しくって、地味だったあの子が…。華やかに、そして、明るくなったんですよ。」


「何の話しだ。」

「あの子の中で、何かが、起ったのかも…、知れませんね~~。…そして、変ってくれた。」


「私は知らん。…ったく、勝手にしろ。何があっても知らんぞ。」

「な~~に、言ってるんですか~~。そんな事、口にすること自体、目に入れても可愛い末っ子を~~。ふふふふ。上のふたりとは…違いますもの…。ゆずは…。」





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