翠と橙(みどりとゆず) vol.022 「可愛くって…、仕方ないんでしょ。」
柴乃、
「可愛くって…、仕方ないんでしょ。ゆずちゃん。…付き合って…、4年…???」
そんな柴乃に巽、
「ですね~~。」
「早く結婚して赤ちゃん見せてよ。」
「えぇ~~。」
「かっわいいぞぉ~~。赤ちゃん。はははは。」
「ですよね~~。柴乃ちゃんの綾乃ちゃん見てたら、分かりますよ。」
「でしょう~~。」
柴乃には2歳になる女の子がいる。
たま~に、柴乃が勤務の休みの時に姉の琴乃と一緒にルッポラで食事しているのである。
「はい。ありがとうございます。またどうぞ~~。お越しくださいませ。」
珂帆、カウンターで。
そんな女性に手を振りながらドアに向かう女の子に、珂帆も手を振り、
「ばいば~~い。」
遊馬巽、4年前に木葉橙と出会う。
巽自身、女性と深い関わりになったのは、橙でふたり目。
10年前に、ある女性と出会い、女性の優しさを生まれて初めて味わう出来事に遭遇する。
巽が高校時代の頃、一度、足の骨折で病院に入院している。
サッカーの試合の時に、ゴール直前での相手チームの選手との激突による事故である。
入院して数日後、外の空気が吸いたくて病院の屋上に。
その時、ひとりの女性と出会う。
それからの凡そ1ヶ月の入院の日々に、
「こんな子と、いつまでも一緒にいられたら…。」
けれども、最後には、自分の思いを伝えられずに退院する事になる。
実は巽には既に、両親の下で将来を約束された幼馴染の女の子がいたのだった。
だが、しかし…。この女の子が、あろうことか両親の知らない内に、
ある男性と恋仲となり、妊娠してしまう。その女の子19歳の時。
それを知らされた巽の両親は大激怒。
将来の約束もその件で破断となってしまったのだった。
その後、女性を信じられなくなった巽が、再び女性の事に興味を持ちは始めたと言うのが、
木葉橙と言う自分より2歳年下の女性と出会った事からである。
遊馬巽20歳。木葉橙18歳。
巽は某大学に在籍中に既にレストラン、ルッポラで、アルバイトをしていた。
ルッポラは都内に数店舗ある、チェーン店である。
橙はこの頃、丁度東大の受験真っ最中。
そんな橙が、試験場に向かう途中で、時間ギリギリで、通りを駆けていた時に、
いきなり風が橙の顔を直撃…。その時に目の中にゴミか何か…。
その瞬間に、すれ違う人とぶつかり、肩に掛けたバッグが肩から外れて地面に。
オマケにバッグの中のものまで路上に…。
その時、すれ違った男性から、「気を付けろ!!!」と、怒鳴られ、
その男性に謝って、路上に散らばった道具を拾い上げ、また駆け出す橙。
その数秒後にその場所を歩いて巽。足元に落ちている紙切れ。
それを拾い上げて、
「…???なんだ…???東京大…受験票…???…って…、おい!!!」
いきなり顔を上げて、あちらこちら…。
すると…。数メートル先の横断歩道を走る女性。




