翠と橙(みどりとゆず) vol.015 「心、救われた人に出会ったてな~~。」
「私のお父さん、事故で亡くなったって言ったでしょ。」
翠。
橙、
「うん。」
「実は、その時、私も重傷だったんだ。」
「えっ…???」
「みど、高校の時、バレーの名セッター。そして、その時のバレー部の監督が、みどのお父さん。」
万美。
橙、
「へっ…???」
「試合の帰りに車、みどのお父さんが運転で、みどは助手席、場所は交差点。右折しようとして…。でも、その時、右側からダンプ。制限速度…だったんだけど…、居眠り運転に信号無視。」
尋音。
「ブレーキの跡、なし。そのままみどさんのお父さんの車にドカ~~ン。」
絃。
「はい、御新香~~。」
橙、
「う~~~っわ!!!」
「その後、救急車で…。」
少し思い出して雅樂、
「助かる訳ねぇじゃねぇか…。正面衝突でぃ……。ってぇ~~ぃ。救急車の中で…。」
橙、
「チーフ。」
「みども重体で運ばれて、意識不明。2日は、目ぇ、覚まさなかった。そして、目を覚まして、父親の死を知って。こいつ、てめえのせいでもねぇのに、てめぇ…呪って…。あんときゃ、散々だったよなぁ。こいつ…、心…死んでたわ。」
少し目を潤ませながら翠、にこっとして。
「はは。」
「まっ。でも…、その病院で、心、救われた人に出会ったってな~~。」
そんな雅樂の声に翠、
「うん。」
橙、
「えっ???ええええ…???」
万美、そして尋音、共に口指を、
「シッ。」
万美、口パクで、橙に、
「初恋の人…。」
「まっ。私の…初恋。…っかな~~。かかかか。今はもう…。どこで何してんのか…。」
橙、
「へっ…???でも、名前は…???」
「…と、思うでしょ。」
「あっ。そっか…、病院…、名前…分かんない…か…。」
「個人情報…。ただ…。みんな…からは…、ユウマって…呼ばれて…いた…。らしい…。私も…そう呼んでたから…。」
「ふ~~ん。チーフの心…、救った人…かぁ…。」
「いや。それにしても、びっくり。」
万美。
翠、尋音、
「へっ…???」
「ゆずちゃん。何と、ユッキの中学の同級生。」
翠、尋音、
「うそ―――――――っ!!!」
雅樂、
「…ん…???」
そして、少し離れた場所で絃、
「……。」
その瞬間、橙、
「……。かずみ…さん…。」
翠、
「うそうそうそ。ユッキと…、中学…同級生…。…って…、はれ…???どっち…???最初の…、それとも…後の…???」
万美、
「…ん…???最初…???後…???」
翠、
「うん。ユッキ。中学の時、転校してるから…。」
万美、尋音、
「初耳――――――――っ!!!!」
「杉浦くん…。ユッキって呼ばれてるんですね。…えっと…。最初の中学校の時…。一緒のクラス。もぅ~~。今日、会社で会ってびっくり。」
万美、
「…でしょうね~~。何年振り…。」
橙、
「…10年…。」
「か~~。じゃあ~。変ったでしょう~ユッキ。」
尋音。
その尋音の声に橙、
「はい。」
にっこりと笑って。
「変りました。」
くすくすと。翠、万美、尋音。そして、近づいて来て、絃。
尋音、自分の隣で尋音の左肩に凭れている絃に、
「かかかか。」
「だって、お互い、名前聞いて初めて分かるんだもん。び~~っくり。」
雅樂、
「かかかかか。違ぇ、ねぇやな~~。」




