翠と橙(みどりとゆず) vol.014 「遊馬…巽(あすまたつみ)って言います。」
そんな万美の声に、スタッフ注目。
巽、いきなり照れて、
「はははは。僕ですか…。」
頭を掻きながら、
「遊馬…巽って言います。」
「あすま…たつみ…。…なんか…、凄い、珍しい名前。」
尋音。
万美も奈都も…、
「うんうん。」
その傍で橙、優しく頷きながら。
巽、
「じゃ、僕、そろそろ、次…。」
万美、
「あ~~。ありがと、うん。またお願い。」
巽、
「まいどで~~す。」
休憩ラウンジで先に弁当を食べている翠。
「へぇ~~。そうなんですか~~。」
万美に応えている橙。
そして、翠のテーブルに近づきながら…。
「ふん…???」
翠。
「短大出で入社。入社1年目で一気に、フロアチーフに抜擢。…って。今、ゆずちゃんにみどの事、話してたの。」
万美。
「そして、そのチーフ殿、ただいま、焼き鳥屋さんに居候~~。にっしっしっし。」
尋音。
「な~にバカ言ってんのよ、そんな事まで~~。」
翠。
「でも、そう言った方が、雅樂じぃや絃ちゃんなんて、喜ぶでしょ。」
「まっ、そりゃ~~。ねぇ~~。お店が繁盛してくれたら、私も嬉しいし…。まっ。私のお父さんかおじいちゃんみたいな人だから…。」
その声に橙、
「えっ…???」
「みどに…お父さん、いないから。」
万美。
橙、
「うそ。」
尋音、
「みどのお父さん、みどが高校の時に、事故で亡くなったんだ。」
橙、
「逢坂チーフ…。」
「短大出て…、すぐにコバちゃん、今の矢萩呉羽ブランドリーダーね。スカウトされて、ここに入社。…って、言うか、ブランドリーダー、もともとその焼き鳥屋さんの常連客だったの。」
「…ってな訳で、まぁ~。みどは、俺の孫みたいなもんだわな。かかかか。」
雅樂。
お昼の話しに橙がいきなり、焼き鳥屋に行ってみたい。
その一言で、万美も尋音も、「行こう、行こう。」と、なったのである。
「みどのおじいさんが、俺の兄貴でな。」
橙、
「ふ~~ん。」
「ここに店出して、すぐに常連客に、院瀬見。その院瀬見が連れてきた女性が、呉羽。」
「えっ???そうだったの…???」
万美。
「おぅ…。」
翠を見て万美。
「いやいやいや…、私だって、その頃の事なんて、聞いた事ない。」
右手を振りながら翠。
「へっへへ。別に…話す事でもねぇしな…。聞かねぇし。」
雅樂。
「…って、言うか、知らないもん、訊ける訳ないよね~~。」
尋音。
「くぉう~ら、尋。」
尋音、
「ニシ。」
「…ったくよぉ~~。そんな可愛い顔で、やられたら、怒れねぇだろ。かかかか。」
「それで…チーフが短大卒業して、すぐにここに居候。」
橙。
「あぁ~~。あの頃、呉羽が、誰かいい人、いない~って、冗談で俺に言っててな。そんじゃ~~って、みどを紹介したら、次の日、スカウトよ。かかかか。相当、みど、呉羽に気に入られて…。短大卒業したら、すぐに私のところに来てって。なぁ~みど。」
翠、
「うん。何かしら…、打ち込めるもの…、見つけた時だったもん…。」
橙、
「打ち込めるもの…???」




