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血と氷のクラゲイン⑬

イグロスは、一段高く突き出た岩の上に立っていた。

190cm声の巨躯が放つ圧力は、まるで見えない壁のように眼下の者たちを押し潰す。

冷たく鋭い視線が、獣人傭兵団の一人ひとりを刺し貫く。

彼の瞳は、闇の底に沈んだ氷塊のように冷え切り、どんな光も受け付けない。


「……と言うことだぁ。てめぇらの初仕事――しっかり役目を果たせぇっ」


低く、腹の底から響くような声が岩場に反響する。


「失敗したら……殺すぅっ」


その一言は、刃のように鋭く、容赦なく彼らの心臓を突き刺した。

背後で控えていたジークをはじめ、男の獣人たちの毛皮が一斉に逆立つ。

背筋を氷柱でなぞられたかのような感覚に、彼らは無意識に肩をすくめ、足元の砂利がわずかに音を立てた。


だが、その張り詰めた空気の中で――たったひとり、全く別の反応を示す者がいた。


キャロライナ。

彼女は胸元に両手を重ね、吐息を荒げていた。

頬は熱に染まり、唇はうっすらと開き、目には妙な光が宿る。

その耳はぴんと立ち、尻尾の先が小刻みに揺れている。


「はぁ……はぁ……旦那の視線……キャロ、興奮しちゃう……旦那、この仕事終わったらキャロと――」


「黙れ」


低い一喝が、彼女の言葉を切り裂く。

最後まで吐き出されるより早く、イグロスの手が彼女の口を覆った。

触れた指先は鋼のように固く、冷たく、そこに込められた拒絶の意志は明確だった。


「余計な口を利くな。きっちり仕事を果たせ……それだけで十分だ。」


イグロスの声音は、山の奥底で響く落石のように重く低い。

その言葉は、キャロライナの胸の高鳴りすら一瞬だけ凍りつかせるほどの威圧を孕んでいた。


キャロライナはわずかに肩を竦め、唇に触れていた大きな手が離れると、苦笑を浮かべた。


その笑みには、挑発と照れが半分ずつ混ざっている。彼女は片手を上げ、指先で軽薄なピースサインを作ってみせた。

それが、彼女なりの「了解」の合図だった。


「……へーい。分かったよ。」


短くそう返すと、キャロライナは視線を仲間たちに流す。

その瞳には妙な熱が宿り、同時に、なぜか誇らしげな光が混ざっていた。


「──じゃ、行くよ。キャロたちの初仕事、しっかり見せてやンないとね!」


ジークが、苛立ちと呆れを半分にした声で口を開く。


「はぁ…キャロ……だから団長は俺――」


「獣人傭兵団、出・陣!」


その掛け声が夜気を震わせるよりも早く、ジークは言葉を飲み込み、代わりに大きなため息を吐いた。


「……はぁ……」


諦めを滲ませながら、一歩を踏み出す。

石畳を踏みしめる靴音が短く響き、その背後を他の獣人傭兵たちが静かに続いた。

彼らの影は月明かりの下で細く伸び、やがて夜の帳に溶けていく。


その歩みに音はない。

ただ、冷たい風が毛皮の間を抜ける音と、遠くで虫が鳴く声だけが闇を満たしていた。


――昨日まで、彼らは敵だった。

だが、その背にはもう「裏切り」の色はない。

あるのは、混沌に仕える者の配下としての矜持。

新たな主に忠誠を誓った獣の瞳が、闇の奥で鋭く光っていた。



―――



そこかしこに、粗末な木造の建物が肩を寄せ合うように並んでいる。

壁板は湿気で黒ずみ、ところどころ歪んだ釘が突き出ていた。

石畳は長年の使用で削れ、靴底にざらりとした感触を残す。


近くでは、魔族の警備兵たちがゆったりとした足取りで巡回していた。

硬い革靴が石畳を叩く音が、乾いた響きとなって路地にこだまする。

だが、その歩みに緊張感はない。

視線は緩み、背中は気安く曲がり、武器は腰でだらしなく揺れていた。


そんな中――ロップイヤーの獣人、キャロライナ率いる傭兵団の姿があった。

先ほどまで死闘を繰り広げていた者たちとは思えないほど自然に、彼らは敵陣の真っただ中へと足を踏み入れていた。

闇の中を動くその様子は、あたかも元からそこに属しているかのようだ。


「おうキャロ!今夜ヒマか?ベッドの上で、一緒に汗流さねぇか…?」


「キャロちゃ~ん、酒持ってきたぞ! 祝杯だ!一緒に飲もうぜ!」


通りすがりの魔族たちが、陽気に手を振ってくる。

その表情には、傭兵団がすでに裏切ったなどという疑念の欠片もない。

薄暗い松明の灯りに照らされた顔には、油断と酒気が混じった赤みが広がっていた。


「キャロライナ~。俺の股の˝にんじん˝食さねぇか…?ぎゃはは♪」


酔いで足元をふらつかせながら、腰を振り、手にした酒瓶をあおる魔族の男。

キャロライナはちらりとそちらに視線を流し、唇をわずかに噛む。


「…きっ…しょ……まぢで……バカじゃね……?」


その声は低く、押し殺した苛立ちを帯びていた。

「ほんときしょすぎ……旦那を見習って欲しいし……」


その横顔に、ジークがわずかに身を寄せ、小声で囁く。


「ジーク…あいつら…やっちゃう……?」


彼女の両手は頭の後ろへと回され、長い耳が揺れた。


薄闇の中、その仕草は妙に無防備に見えたが――瞳の奥には、獣らしい鋭さが潜んでいた。


「バカ。俺たちには、重要な仕事があるだろ……」


低く押し殺した声で、ジークは隣のキャロライナを鋭く睨みつけた。


その瞳は、獲物を狙う獣のように冷たく、ひとたび命じれば躊躇なく牙を剥く覚悟が宿っている。


「冗談だって~。キャロだって旦那に嫌われたくないし~。必ず成功させちゃうよ。」


キャロライナは肩をすくめ、悪びれもせず軽く笑った。

その仕草は一見すると呑気な小娘のようだが、腰の武器にそっと指をかける動きは、獲物に忍び寄る捕食者のそれだった。


ちらりと視線を横に流し、通り過ぎる魔族に柔らかな声をかける。


「……あ~、後で一緒に酒飲もう~」


その声色は甘く、耳に心地よい調子を装っている。

だが、彼女の瞳の奥に宿る光は、冷ややかで計算高い。

時折、手を振っては笑顔を見せ――『キャロたちは、あんた達の味方』と、巧みに嘘を編み込んでいた。


そんな彼女の隣で、ジークは片手で口元を覆い、気配を殺して耳元へ顔を寄せた。


「油断してる今がチャンスだ。全員、配置通りに動け」

 

その声は、夜風に紛れるほど低く、それでいて聞いた者の心臓をわずかに早鐘を打たせる鋭さを帯びていた。


合図を受けた傭兵たちは一斉に頷き、散開した。

靴底が石畳を擦る音すら残さず、影のように闇の路地へと溶けていく。

彼らの動きは静かで速く、まるで夜に生きる獣の群れが一斉に獲物を囲みにかかる瞬間のようだった。


やがて、町の外れに差しかかる。

そこに姿を現したのは、古びた石造りの収容舎だった。

外壁は長年の風雨で黒ずみ、所々の石は欠け、継ぎ目には苔が厚くこびりついている。

夜気は湿り気を帯び、鉄錆と獣臭が鼻を刺す。


建物の前には、二名の魔族の見張りが立っていた。

――いや、「立っていた」というより、そこにただ存在しているだけ、と言った方が正しい。


一人は石畳の上に腰を下ろし、槍をだらしなく足元に転がしたまま、大きなあくびを噛み殺そうともしない。


「ふぁ~……眠っ……」


もう一人は、遥か先に広がる宴席を見つめている。

松明の炎に照らされたその場所では、仲間の魔族たちが大杯を傾け、肉を頬張り、耳をつんざくような笑い声を上げていた。


「……あいつらはいいよな……酒飲んでて……」


その吐き捨てるような呟きには、任務の自覚など一欠片もなかった。


物陰から様子をうかがっていたキャロライナが、唇をわずかに釣り上げてジークに視線を送る。


「……見張りは二人……ジーク……やっちゃう……?」


囁き声は甘く細いが、その底には鉄の匂いと鮮血の影が潜んでいた。


「いや、下手に突っ込んで仲間を呼ばれると厄介だ」


ジークの返答は、迷いのない即答だった。


「じゃ、どんすンの……?」


キャロライナは、挑発するように片眉を上げながら耳を傾ける。


「俺に考えがある」


ジークはわずかに口角を上げ、キャロライナの長く垂れたロップイヤーに顔を寄せた。

吐息が耳朶をかすめた瞬間、彼女の耳がピクリと跳ねる。


囁かれた作戦を理解した途端、キャロライナは舌で唇をなぞり、ニヤリと笑った。


「……なるほど……おっけ♪」


夜風が二人の間を抜けていく。

 

遠くから響く宴の喧騒は、これから訪れる静かな殺意の前奏曲のように、夜の闇に溶けていた。



―――




夜の闇を切り裂くように、ジークとキャロライナは音を殺して、見張りの魔族たちに歩み寄る。


「おっす~。お仕事ご苦労様~。」


キャロライナが闇をやわらげるように軽い声をかけると、半分夢の中にいた魔族が、だるそうに首を上げた。


「ふぁ……おぉ……獣人傭兵団じゃないか。一体どうした……?何かトラブルか……?」


眠気に引きずられた低い声は、焚き火のぱちりという音と混ざって夜気に溶けた。


「いや、見張りの交代に来た。」


ジークは表情を動かさず、抑えた声で淡々と告げる。


「ん……? だが、まだ交代の時間には早いんじゃないか……?」


もう一人が眉をわずかにひそめ、薄暗がりの中で二人を見つめた。


「確かにな」


短いやり取りの間に、焚き火の火花が弾け、赤い粒が一瞬だけ宙を舞った。


その静寂を破るように、キャロライナが一歩前へ。

芝居がかった笑みを浮かべ、腰に手を当てながら言葉を放つ。


「いやね、逆にトラブルが無さすぎて暇なンだよ。キャロ達。…それに、あんたたちが見張りだと……ちょっと心配だし。変わってあげる。」


口調は冗談めいているが、その眼差しには微かな圧が宿っていた。


魔族たちは、彼女とジークの腕前を知っている。疑念よりも安堵が先に立ったのか、互いに顔を見合わせ、気楽な笑みを交わす。


「……良いのかっ!?」


「もっちろん。キャロたちに任せて、酒でも飲んじゃえ♪」


その言葉に、二人の顔は一気に緩み、少年のような無邪気さが浮かんだ。


「そりゃ助かる! じゃ、よろしくな」


「…へいへ~い。キャロたちに任せてちょうだい~」


手を振る魔族に、キャロライナは大げさに腕を振り返す。

やがて二人の影が闇に吸い込まれ、足音さえも完全に途絶えた時――キャロライナの口元が、ゆっくりと悪戯めいて吊り上がった。


「…はっ…チョッロ♪」


その一言は、夜風に攫われ、静かな闇へと消えていった。


錆びついた鉄格子の前に、キャロライナが音もなく歩み出る。

背後からは、夜の冷気がするりと忍び込み、遠く離れた焚き火の煙の匂いが微かに漂ってきた。暗闇は重く沈み、吐息すら白くならないのに、皮膚を撫でる風は骨の芯まで冷たい。


「それじゃ、さっさと仕事終わらせちゃお♪ ジーク、見張りよろしく」


軽やかな声が囁くように響く。だがその瞳の奥には、今まさに仕留めるべき獲物を見据える猛獣の光が宿っていた。


ジークは無言で頷くと、視線を巡らせ、耳をわずかに動かす。

獣人特有の鋭い感覚が、闇の中を走るわずかな風の音や遠くの足音までも拾い上げる。


キャロライナはゆるりと腰のポーチに手を伸ばした。


指先がつまみ出したのは、細く頼りなさそうな一本の針金。月光をかすかに受け、冷たく鈍い銀色の光を吐き、まるで蛇が舌を覗かせたように見えた。

彼女は一度、檻の頑丈な錠前を見据え、唇の端を上げる。


「これで……よいしょっ……」


針金が鍵穴の奥で小さくきしみ、カチャリカチャリと金属が擦れ合う音が、静寂を切り裂くように響いた。


しかし、錠前は無感情な鉄の塊のまま、びくともしない。


「……ムカッ……」


額にわずかな皺が寄る。次の瞬間、キャロライナの耳がぴくりと動き、表情が凶暴に変わった。


「壊れちゃえ──とッ!」


鋭い回し蹴りが放たれ、空気を裂く一閃の後、靴底が錠前を直撃した。


ドォンと低く重い衝撃音が闇の中に轟き、火花が一瞬だけ散った。

金属がひしゃげる不快な悲鳴を上げ、頑丈そうだった錠前は無様に外れて地面に転がる。


軋む音とともに、鉄の扉がゆっくりと開いた。

中から吐き出されたのは、長年閉ざされていた湿気と石の匂い。古びた壁が蓄えてきた冷たい空気が、足元を這うように広がる。


「ふふんっ…キャロちゃん天才じゃン…?」


胸を張り、にこりと笑うキャロライナ。

その姿は無邪気な少女そのものだったが――背後に漂う空気は、確かに獰猛な気配を孕んでいた。


「へいへ~い。皆~、大丈夫…?」


キャロライナは、あくまで軽い調子の声を響かせながら、錆びた鉄格子の扉を押し開いた。軋む金属音が、冷たい空気を震わせる。


中は薄暗く、鼻をつくのはかび臭い湿気と、長らく人が押し込められた場所特有の、重い呼気の匂い。


石壁の隅には、寄り添い合うようにして膝を抱える影がいくつもあった。痩せこけた人間の少女、角が欠けた魔族の子供、腰の曲がった老人たち――その目は怯えで濁り、キャロライナの姿を一瞬見上げても、すぐに逸らしてしまう。


クラゲイン領から連れ去られた者たちの姿もあった。かつての誇りを刻んだはずの肌や髪は色を失い、肩は絶えず震えている。囁き声のような、押し殺した声が空気を震わせた。


「……たのむから……もう、やめてくれ……」

「こんどは……誰を連れていくんだ……」

「もう…嫌…もう…」

「た、助けて下さい……」


すすり泣きが、湿った石壁に鈍く反響する。

だがキャロライナは、その重苦しい空気をまるで自分だけ無関係のもののように受け流した。むしろ唇の端を吊り上げ、片目をつぶってウインクを投げる。


「落ち着きなって。キャロたちは、あンたたちを助けに来ただけ。…旦那…じゃなくって…イグロス様が命じてくれたンだよ」


その名が落ちるや否や、檻の奥でかすかなざわめきが広がった。


「イグロス様……!?」


「本物の……クラゲイン家の……」


膝を震わせながら、ひとりの魔族がゆっくりと立ち上がる。

古びた鎧の胸には、かすれながらも確かにクラゲイン家の紋章が刻まれていた。


「イグロス様が……っ!ここまで来てくださったんだ!!」


その声は、堰を切るきっかけとなった。


檻の中は押し殺した歓喜の声で満ち、頬を濡らす涙を誰も拭おうとしない。

それは、絶望と恐怖に押し潰された長い日々の果て、ようやく差し込んだ光に触れた者たちが流す――温かな安堵の涙だった。


クラゲイン家の名を騙る魔族どもの暴虐は、幾度となくこの檻の中の人々を蹂躙してきた。

それでも彼らは、わずかな希望を手放さなかった。

――本物の当主は、こんな連中とは違う。必ず自分たちを救ってくれる、と。


「それじゃ、ここから出るよ」


軽やかな手の音が、湿った空気を切り裂くように響いた。キャロライナは腰に手を当て、明るく言い放つ。


「外にキャロの仲間の獣人がいるけど、騒がないでよ…?騒いでまた捕まりたくないっしょ…?」


「わ、分かりました」


恐怖の影を瞳に残しながらも、人々は互いに顔を見合わせ、小さく頷いた。


「さぁ、キョロについてこい♪」


キャロライナは迷いなく歩き出し、手際よく檻を開け、一人ずつ外へと導いていく。

石造りの通路は天井が低く、壁には冷たい水滴がつたっていた。湿った土の臭気に、どこか生臭い血の匂いが混じる。足音ひとつ立てるだけで、反響が奥まで響くほどの静寂が支配していた。


そのとき、キャロライナの動きがふいに止まった。


「ん…?」


彼女は首をわずかに傾け、そのまま足を向けた。


「ねぇ、あンた──」


呼びかけられた魔族が振り返る。

その顔は憔悴しきり、肌は青白く、唇は乾ききっていた。だが、疲弊の奥に宿るのは、消えかけの灯火のような警戒心と、かすかな誇りだった。


「はい…何ですか…?」


キャロライナの声色が、すっと低く落ちる。

「…ちょっと聞くンだけど……小さい白うさぎの獣人の子……知ンない…?」


その瞬間、男の目が大きく見開かれた。

驚きが走り、心の奥に押し込めていた記憶が波紋のように揺らぐ。やがて、ためらいがちに彼は頷き、絞り出すように言った。

 

「……います。確か名前は、ミレル、という名の子です。ただ……どこにいるかは…分かりません。」


「──なるほど…良い情報ありがと♪…」


キャロライナの瞳が、獲物を捕らえた猛獣のように光を帯びる。


そのとき、彼女の中で何かが音を立てて定まった。


「じゃ、やること、あと一つ──だね」


振り返ったその顔には、迷いというものが微塵もなかった。

目指すはただ一つ。奪われた命を、この手で取り返すために――。



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