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捨てられた元王妃は国を逃れて、隣国王子に溺愛されながら、幸せ薬師ライフを送ります!  作者: たかたちひろ@『巻き込まれ転生幼女』2/28 発売!
二章

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第27話 隣国王子とともに、魔石を採掘していると?


「……これって」

「魔石の採掘ができる洞窟だな。もう少し上流のほうにあるかと思っていたが、いつのまにかこんなところにまで来ていたとはな」

「魔石の採掘ですか……」


魔石といっても、いろいろな種類がある。


基本的には魔道具等の動力源や、武器の一部として使われることが多いが、中にはポーションや丸薬などに使われる種類のものもあって、そういったものが気にならないかと言えば、嘘だ。


そうした採掘もしてみたいと思っていたし、妃だった頃には、憧れてもいた。


ただまぁ、今回の目的とは異なるし、あまり目移りしていてもしょうがない。


「ここはまた別日に来ましょうか」


と、私はルベルトに投げかける。

それに彼は一つ頷いて、先々引き返そうとする。


そんななかでも、少しだけ後ろ髪をひかれる思いがあって、最後まで未練がましく見ていたら、


「……時間的には問題ない。中を見ていくか。魔物も出る場所だが、そう強くはないと聞いている」


後ろからこう声がかかった。


「でも、採取する道具とか持ってませんし」

「それなら、俺が持ってきている。なにに使うか分からないからな。行きたいなら行っておこう。次がいつになるか分からない」


たしかに、そうだ。

自分一人ならともかく、彼が一緒に来られるタイミングはそうあることじゃない。


「じゃあ、お願いしてもいいですか」

「……構わない。行こうか」


ルベルトはそう言うと、私を置いて、先々、洞窟の中へと入っていく。

もしかすると、私が遠慮しているのを察して、そう振舞ってくれたのかもしれない。


「ありがとうございます」


その優しさに感謝をしながら、私も洞窟の中へと入る。


天井の高さは、身長の約二倍とそれなりの余裕はあった。

しかも、中には魔導灯までところどころに吊るされていて、管理されているのが窺える。


だが多少暗かったから、私は指先に火を灯した。


「……やはり二つ使えるのはいいものだな」

「まぁ生活魔法程度にしか使ってませんけどね」



私たち二人は先へと進む。

その途中では、何人かの冒険者が壁をハンマーで叩いているのにも、途中で遭遇した。


「ここは、うちの領土内では有数の魔石採掘地だ。冒険者たちもよく訪れているし、彼らによって、管理もされている」

「……みたいですね。かなり安全かも……」

「そう思ってくれて問題ない。よし。このあたりで採掘に入ろうか」


ルベルトは、洞窟の突き当たり、比較的周りに人が少ない場所を見つけると、ハンマーとピッケルを取りだして、それらを床に置く。


それから、採掘の手順について、細かに教えてくれた。

やみくもに色々な箇所を叩くのではなく、少し削って当たりをつけてから叩くのが、コツであるとのことだ。


実際、やってみると、結構に難しい。

力任せにやってもうまくいくものではないし、かといって、ある程度は力も必要になる。


が、こうして悪戦苦闘する時間は嫌いなほうではなかった。


苦難の末、やっと魔石の一部が壁の表面に露出する。


それを慎重に取りだそうと、小さなハンマーで叩いていたら、「少し力が入りすぎているな」との指摘が後ろからある。


「この石と壁の隙間に入れるイメージだ」


そして、だ。


彼は後ろから私の手を取り、サポートに入ってくれた。


いつのまにか、ほぼゼロ距離まで、身体が接近していた。しかも、手はがっしりと掴まれている。


息遣いを感じられるほどの距離感だった。


それを意識してしまえば、体温が一気に上がっていくような感覚になる。

むしろ、身体が硬直していく。


ただの指導だと思っても、だめだった。

まともに恋愛をしないまま、結婚をして妃になったがゆえに、あまりこういうことには慣れていないのだ。


「えっと、離してもらえますか」


と、どうにか絞り出す。


「……悪い」

「いえ、そういうつもりじゃないのは分かってますから」


一瞬、微妙な空気が流れるが、それを気にしないためにも、私はひたすらハンマーを振り下ろし続けた。


そのうち、ようやく魔石の全貌が見えてきて、揺すってみると、ぐらつくようになる。

それで、少し力をこめて、魔石を掴んでみたところ、思わぬことが起きた。


突然にぐらぐらと、あたりが揺れ始めたのだ。


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