表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
正義  作者: み
2/6

2

前回の続きです。

僕は2年生になり、下級生たちが入学してきた。

2限目の授業が終わり、昼食をとるために食堂へ向かった。食堂につき、今日はB定食にしようなどと考えていると、一人の女学生が目に入った。黒髪ロングで品の良さそうな、明らかに回りと比べて頭が抜けた美人だったが初めて見る顔だった。この学校はあまり在籍学生が多くないため彼女が新入生だということはすぐに予想がついた。

また、彼女は券売機の前にいながらおどおどした様子だった。

何かに困っているなら助けてあげたいと思い話しかけてみた。


「どうかしたのかい。」

「迷っているんです。」

「ええと、何に?」

「お昼ご飯です。」

「お昼ご飯。」

「B定食が美味しそうです。しかし値段は500円。これは高いと思いませんか。A定食なら350円ですが身体に悪そうです。さて、どうしましょう。」

「はぁ。」

「あなたは、どんなお食事をなさるのですか?」

「僕ですか。僕はですね。B定食ですかね。」

「B定食ですか、ハンバーグとお味噌汁、確かに美味しそうですよね。迷います。ちょっと高いですけど。あ、そうだ、せっかくだし一緒に食べませんか。あなたも一緒にB定食を食べてくれるなら踏ん切りも付きます。それに私、お友達居ないので。どうでしょうか。」

「え、まぁいいですけど。」


成り行きで二人で食事をすることになった。


「お名前、なんて言うんですか?」

「長田です。きみは?」

「木島といいます。よかった!この学校に来て初めて友達ができたんだもの。」

「ええと。友達が居ないっていってたけど、まだ新入生なんだから、サークルの歓迎会とかに行ってみたらいいんじゃないの?」

「私、サークルに入る気はないんです。」

「なぜ?」

「私、美人なので。」

「へ?」

「美人だから、モテちゃいます。お母さんから、あなたは美人だから変な人に騙されちゃダメって、口うるさく言われているんです。」

「美人だからか。いいね、自信があるんだね。」

「努力してる女の子はみんな美人なんですよ。」

「素敵な考え方だね。たしかにそうだ。じゃあ頑張っている男の子はみんな美男子なのかい?」

「んー、男の人はちょっと違うかも。」

「なぜ。」

「美男子というより漢になりますね。」


話した感じちょっと変わった子だとわかったし、意外な答えに拍子抜けしてしまった。

しかし事実彼女は美しい顔をしていた。

またそれを悪気もなくあっさりと口にしてしまうのがすごいと思った。


その日は一緒に昼食をとり、自分はその後に授業がなかったので帰宅した。


その日から彼女とは高頻度で遭遇するようになった。

授業はもちろん、休み時間や空きコマ、帰りのバスなどで必ずと言っていいほど遭遇するのだ。

また、本当に彼女は友達がいないようで、いつも1人で行動していた。

あんなに良い子なのになぜ友達ができないのだろうかと疑問に思っていた。


夏休みになるころには、僕はすっかり彼女のことを好きになってしまっていた。

何とか今夏中に彼女をデートに誘いたい。

毎日そのようなことばかりを考えていた。

いつも僕の周りにばかりいるのだから彼氏がいるわけではないと予想できる。たとえ彼女に恋人がいれば、その恋人は僕と彼女の仲の良さを放っておくはずがないためである。

「恋人はいないだろう。」「僕は彼女が好きである。」この二つの事実から早く遊びに誘うべきだということは明確だった。

少なくとも彼女は美人である。ほっておいたらすぐにほかの誰かに取られてしまいそうだ。それは嫌だったため、いっそ明日にでも誘ってしまおうかと思った。


翌日僕は気負って学校へ向かった。

いつものようにしていればどこかで彼女に会えるはず。

彼女は簡単に見つかった。大教室の一角で休んでいた。彼女のもとへ行くべきか、待つべきかを迷っていると、彼女と目が合った。すると彼女は笑顔でこちらへ近づいてきた。


「長田君!おつかれ。」

「おつかれ。」

「あれ、この次の授業取ってたっけ。」

「いや、取ってない。」

「えー、じゃあ私に会いに来たの?」

「うん。探してた。」

「え、あ、そうなの。私に何か用?」

「うん。」

「うん。」

「夏休み、一緒に海に行かない?」

「海、いいね。行こう。でも一応彼氏に聞いてみるね。」

「…」

「…?」

「や、やった。楽しみだね。でも彼氏いたんだね。知らなかった。」

「うん、言ってなかったかな?」

「うん、初めて聞いたよ。」

「そっか、ごめんね今まで黙ってて、2か月前くらいにできたんだ。」

「いやいや、大丈夫だよ。彼氏さんはどんな人?」

「イケメンで高身長で、優しい人。写真見せるよ。」



まさか彼氏がいるとは思わなかった。

悲しい気持ちを抑えつつ、彼女が差し出してきた写真を見た。

本当は見たくはなかったが、その反面、彼女がどんな男性とお付き合いをしているのかを見てみたかった気持ちもあったのだ。

写真の彼は、本当にイケメンだった。

そして僕は彼を見たことがあった。


「本当にイケメンだね。うらやましいや。」

「でしょ。佐々木先輩っていうの。3年生なんだ。」

「へー、先輩なんだ。素敵だね。」

「先輩とは偶然バイト先が同じだったんだ。」


僕はなんとも言えない気持ちになってしまった。

続きもよろしく。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ