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DESIGN  作者: 鈴木澪人
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時間つぶし2と合流

芙吹(いぶき)達の解散の号令を合図に琥珀(こはく)は何人かに目配せをした後、隣にいた玖琉(くりゅう)


「俺たちも行こうぜ!」


と言いながら歩き出した。

二人とも普通の速さで進むが女性からみるとかなりハイペースだったので目配せした二人は中々追いつくことができなかった。

近づく最後の方は小走りでバタバタと二人分の足音が聞こえてくる。


「ちょっと!アイコンタクトだけして放置しないでよ!」


走ったせいで眼鏡がずれてしまった(むぎ)は琥珀に八つ当たりをする。

その様子がかわいかったらしく、琥珀が麦の頭をよしよしと撫でた。


「麦はいつでもかわいいなぁ~」


せっかく直した眼鏡の位置が琥珀によって再びずれる。


「もう辞めてよ!眼鏡って位置がずれるとちょっと酔うのよ!」


麦が再度眼鏡の位置を調整していると。


「しんどい~。この年で小走りするなんて思わなかった~。」


麦よりも少し小さいやす葉がようやく三人と合流する。


「やす、一度僕たちを見失ってたよね?」


このメンバーで一番背が高い玖琉が笑いを我慢しながら指摘した。

やす葉は苦笑いしながら


「バレたか~。玖琉君がいるから目標を見失う事ってないと思っていたんだけどね。他のメンバーが誰と一緒にいるのか観察していたら見事に見失いました」


フフフと笑いながら正直に答えた。

やす葉の話しの内容に興味を持った琥珀が


「で?どうだった?」


とやす葉に確認する。やす葉は肩をすぼめながら


「残念ながら、いつものチーム分けと同じメンバー同士で絡んでたかな。私たちと同じだよ」


四人は歩きながらやす葉の話を聞いていた。

眼鏡の調子が良くなったのかご機嫌になった麦が


「そうだよね~。久城教官って人を見る目があるのかな?私もこのメンバーが一番楽しいと思うのよ」


うんうんと頷きながら今度は先頭になって歩き出す。


「どちらかというと、このメンバーじゃないと違和感があるぐらいだよな?」

玖琉も麦の意見に同意した。


「違和感ねぇ~」

玖琉の言葉に引っかかりを感じた琥珀は歩きながらも何かを考え始める。


「琥珀の考察時間がまた始まったよ。これが始まると長いんだよね」

やす葉は琥珀の目の前で手を振るが視線が合わない。


「でも、ちゃんと付いてきてるから大丈夫でしょ。それよりも、玖琉の好きなキャラクターの専門店が入っているでしょ?このモール。見に行く?」


麦が玖琉に確認すると少し恥ずかしそうにうんと頷く。

それを麦とやす葉が懐かしいね~玖琉君のこの反応!と喜びながら連れていく。


「このメンバーのチームは最高だけど、玖琉君は珊瑚(さんご)ちゃんが一番なんだもんねぇ~?」

やす葉の爆弾発言に先ほどまでの考察時間だった琥珀が立ち止まった。


「えっ玖琉、お前珊瑚好きなん?」


琥珀の質問に玖琉は「うっ」と唸った後


「...付き合ってる。遠距離だけど...」


と告白した。

琥珀、麦、やす葉は同時に


「「「えええええええ~!」」」


とそのフロア全体に聞こえるぐらいの声量で叫んでしまった。


麦が眼鏡をピッとあげると


「玖琉君、とりあえずキャラクターの専門店に行くのはいったん止めて、ええっと」

麦は周囲を見渡し、休憩コーナーを見つけると

「あそこで詳しく話を聞く時間がこのチームには必要だと思われます!」

と小さく敬礼する。


「私も、麦隊長の意見に賛成でございます!」

とやす葉も小さく敬礼をし


「俺も!なんか負けて悔しいのでからかいたいと思います!」

と二人のノリに付き合って小さく敬礼をした。


玖琉は苦笑いをしながら

「余計な事を言ってしまったなと思いながらも、仕方なく連行されます」

となぜか敬礼しながら了承してくれた。


連行!連行!と言われながら、麦とやす葉にそれぞれの腕を掴まれて休憩コーナーのソファーみたいな椅子に座った。


玖琉に詳しく聞いたところ、同じく海外組の七斗(ななと)と連絡を取っているうちに七斗と珊瑚が同じ大学に通っていて三人でグループ通話をするようになり、今度は七斗抜きで珊瑚と二人で会話することが増え、昔から好きだった事を伝えると珊瑚も嬉しいと言って付き合い始めたと説明してもらった。


「何それ~」

「高校の時から片思いだったの?」


麦とやす葉は玖琉の恋の話に終始驚きっぱなしだった。


「それにしてもきっかけが七斗だったなんてすごいよな~」

琥珀が本来ならこのチームにいるはずの七斗を思い出しながら玖琉に話しかける。


玖琉もうんうんと頷く。


「玖琉ってあまり口数が多くないし、人見知りだし。多分七斗じゃないと話すきっかけとか無かったよな?」


「そうかもしれない...。」


玖琉はそういった後、


「そして、この話はこのメンバーだから話すことにした。珊瑚の方は自分のチームに言ってるかどうかは分からない。」


その言葉に他の三人は「確かにな...」と思った。

玖琉がこのメンバーを大切にするのと同じように珊瑚も自分のメンバーを大切に思っているからもしかすると報告はしている可能性あるのだと。

しばらくの沈黙の後、琥珀が立ち上がると


「とりあえず、この話はここで終了な!せっかくこんな賑やかな場所に来たんだし、さっき言ってた玖琉の気になる店も見に行こうぜ」


と言いながら、近くにあるフロアマップを先に一人で確認しに行った。


「そうだね~」


「玖琉君の推しキャラも確認しなくちゃね~」


と麦とやす葉も玖琉を立たせながら琥珀の場所まで歩いていった。



※ ※ ※



「ええと、確かこのフードコートで待合せだったよね?」


玲麗は仁に確認をとる


「うん、そうだよ。少し時間もあるし、何か飲む?」

仁はスマホで時間を確認した後、玲麗に尋ねた


「そうだね~。あっここの新作飲んでみたかったんだ!」


玲麗が有名なコーヒーチェーン店を指さすと


「んじゃ、買いに行こうか?」


と仁に誘われたので玲麗は頷いた。


玲麗は気になる新作を仁はアイスカフェラテを購入し近くの席に座って一息ついた。


「教官全然変わってなかったね」


玲麗は新作を飲みながらおいしぃ~けど甘っとツッコミながら飲んでいる

仁も久城を思い出しながら


「そうだね~。変わってなかったね~」と同意した。


二人はしばらく黙っていたが、


あの子達(いちなとルーク)、これから関わってくるのかな?」


仁は玲麗に質問した。

玲麗は、う~んと唸りながら


「私は、職場が同じになりそうだから一番接触はあると思うけど、仁は呼び出されるタイミングでしか会わないんじゃない?」


と模範解答も頂いたので仁は思わず苦笑いをした。

そして


「ゲートの時みたいに『実は以前から知ってました!』みたいなのはなしにして欲しいんだけど」


とさっきのゲートでの話をぶり返した。

玲麗は笑いながら


「ごめん、ごめん。でも本当にあの二人は仁と同じタイミングで会ったから内心驚いたよ」


「そっか...」


仁は玲麗の言葉を聞いてカフェラテを一口飲んだ。


「でも...。」


と玲麗は飲み切ったカップを捨てるために立ち上がると


「何かは始まるとは思うよ...」


そう言いながらフードコートのゴミ箱にカップを捨てる。

その姿を見ながら仁も残りのカフェラテを飲み干すと


「やっぱり、情報量が違うのか...」

と玲麗には聞こえない声で呟いた。


「あっ!玲麗~!仁君!」


二人は声のする方を見るとちょうど集合場所に集まろうとしていた芙吹を筆頭にクラスメイト達が続々とフードコートに向かって歩いてきた。


玲麗は手を振りながら芙吹の方に向かっていく。

仁も仲の良いメンバーを見つけるとそちらに近づいていった。

琥珀班

 五番 琥珀

 六番 麦

 七番 七斗(海外組)

 八番 やす葉

 九番 玖琉


最後までお読みいただきありがとうございました。

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