巨人との対決
目の前に巨大な1つ目の巨人――ギガンテスが迫っていた。
一人でならば逃げる事もできるだろうが、女の子を連れて、となると微妙なところだ。
また降下猟兵に襲われ、そこをギガンテスに攻撃されたらひとたまりもない。
やるしかない――か。
剣を水平に構えるとそのまま緑の巨体に向けて疾走した。
鈍重なヤツは先ほどと同じように棍棒を大きく振りかぶり、勢いよく振り下ろした。
どすん、という重低音と衝撃波が当たりを襲う。
俺は難なくそれを躱す。
力を込めすぎたのか、ヤツは地面にめり込んだ棍棒をなかなか引き抜けないようだった。
だん、と跳躍し地面に突き刺さった棍棒に飛び上がる。と、同時にギガンテスが棍棒を持ち上げ始めた。
棍棒の上を駆け抜け、巨人の腕を駆け上がる。
ひじの辺りに差し掛かった時、俺は再び跳躍した。
「うぉぉぉぉぉおおおっ!!」
周囲の空気を震わせる程の喊声とともに――
ズンっ――と、鈍い手応えが腕にのしかかる。
飛び上がった勢いに任せ、巨人の大きな目に剣を突き立てていた。
柄の手前まで深く、深く、突き刺さっている。
巨人は目を見開き声にならない叫び声をあげた。
「ざまぁ!」
剣を引き抜き、空中で一回転して勢いを殺し、地面に降り立つ。
我ながら完璧な勝利。
視力を失った巨人はもんどり打って転げていた。
「やるじゃない!」
クリスがご褒美をもらえた犬のように瞳を輝かせて走り寄ってきた。
出会ってほんの少しだが、表情豊かな少女だな。
怒ったり、不安がったり、笑ったり。
よく見れば、かわいいところも……
「さすが、私の下僕二号ね」
……ないわー……
「うぉぉぉぉぉおおお!!!」
刹那、低い悲鳴が鳴り響く。
視力を失ったギガンテスがクリスの声をめがけて腕を横薙ぎに払う。
「伏せろ!!」
咄嗟にクリスを突き飛ばす。
よし、俺は飛び上がって逃げ……だめだ。
ギガンテスの手のひらが地面をえぐり始めていた。
俺は回避できてもクリスは地面ごと吹き飛ばされる。
……仕方ない。
剣を地面に向けて下げ、刃のついていない表面に左腕を添える。
受け止めるしかない。
あの質量を防げるか……まぁ、やってみなくちゃわからないさ。
自分に言い聞かせて身構える。
接触。
息もつけないほどの衝撃——
必死に両足で地面を掴む。
硬いギガンテスの肌と剣が火花を散らしている。
上に力を逃がすんだ……
下半身をフルに使い、左腕を支えに巨大な腕を上に振り払う。
抜けた!!
ほとんど横倒しの体制からなんとか一撃を上に逸した。
と、同時に衝撃波が襲ってくる。
クリスは無事だろうか……そんな言葉がふと頭によぎりながら、俺は鈍色に染まりつつある空を見上げながら宙を舞った。




