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私にだって救える世界がある!  作者: 小鳥遊葵
第一章 聖都ヴェストファーレン
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現地調達

 ギガンテスが振りおろした棍棒により、瓦礫やらなんやらが巻き上がって視界がほとんどなくなっていた。

 ギガンテスは再び俺たちを見失ったのか、足音が遠ざかっている。

 力は強いが知能はないのか……


 「アタシを守ってくれる……のよね……?」 

 クリスが俺の袖を掴んで不安そうに見上げている。

 さっきまでの居丈高な態度とは違って雨に濡れた子犬の様な瞳だ。

 微笑んで頭を撫でてやる。

 まったく、自分の甘さには嫌になるね。


 立ち込める粉塵が収まってくると、甲冑を身にまとった降下猟兵に囲まれていることが分かった。

 先程テスラと一緒に戦った兵士と比べると数段手強そうだ。

 そして、ここで俺はあることに気づく。


 ――ヤバい。剣がない……


 身につけていた甲冑、武器の類はすべて僧兵に没収されていた。

 守ってやる、とは言ったものの弱ったな……


 「ォォォォォォオオオ!」

 じわりと額に冷たい汗が伝うと同時に、敵兵の一人が雄叫びとともに迫ってきた。

 手斧のようなものを上段から振り下ろしてくる。

 その腕を掴んで地面にたたきつける。敵兵が腰に提げていた短刀を抜いて奪うと、その背中に突き立てた。

 背を向けた側の兵がこちらに駆け出すのがわかった。俺は落ち着いて、動かなくなった兵士から手斧を奪うと振り向きざまに投げつける。

 命中!顔面にモロに手斧が突き刺さり、その場に崩れた。


 死体から短刀を引き抜いて構える。前方と背後で動く気配を感じる。

 同時に来るか……

 敵は今度は雄叫びをあげない、静かに、だが、すばやく襲いかかって来た。

 姿勢を低くして前方に飛び込むと、敵は間合いを測れずのけぞる。すかさず鎧の隙間から喉を掻っ切る。生暖かい飛沫が俺の半身を濡らす。

 後方からの敵は剣を水平にし、突っ込んできた。俺は始末した奴の襟首を掴んで反転――剣はむくろに突き刺さった。

 敵は剣を骸から抜こうとする。が、それより先に俺の短剣が喉元を貫いた。


 これで剣もゲット!いいね、現地調達ってやつだ。

 倒したばかりの兵から剣を奪い、利き手である右に剣を、左に短刀を持って構える。

 敵は包囲を詰めようとしているが、そこにはほころびがあった。

「こういうのは怯んだら負けなんだよっ!」

 先手必勝――ということで、前方の敵に飛び込み、下から脚を斬り上げる。甲冑の隙間を斬られ、崩れる敵の脳天に一撃。ぶった切る必要はない。鉄塊で脳天を殴られれば兜越しでも戦闘不能になる。

 慌てて左横から切りつけてくる奴を一閃……首元を横一文字に切り裂く。

 右脇の兵が剣を振りかぶっているのが見える。その懐に飛び込み、伸び上がって開いた鎧の隙間――腹に短刀を突き立てる。嫌な感触を感じながら真横に斬り裂くと、後ろに蹴倒した。


 反対側から四体兵が殺到する。

 右二体が大上段、左二体は剣を水平にして突っ込んでくる。

 右端の奴に目がけ短刀を投げつける――命中。喉元に突き刺さり、もんどり打って倒れる。

 生き残った奴の上段からの斬撃を受けとめる。つばぜり合いとなり、ガリガリと金属の削れる匂いを感じる。その間に左側――つまり、現状では背後となるわけだが――から、敵兵二体が俺を突き殺そうと飛び込んでくる。

 俺は組み合っていた兵との重心をずらす。バランスを崩した兵と位置を入れ替えると脚を払い、倒してバリケードにした。

意表を突かれた兵がつんのめるのと、俺がそれを飛び越えて背後に踊り出るのはほぼ同時だった。背後から二体を始末し、起き上がろうとした奴の背に剣を突き立てる。


 あたりは静かになった。どうやら、当面の脅威は全部片付けたらしい。


 「や、やるじゃないの……」

 背後から腰を抜かしたクリスの声が聞こえた。

 「……まぁな」

 血を拭った手を差し出す。少しためらいながらクリスは俺の手を握ると立ち上がった。

 「これからどうするの?」

 「とりあえず、お前を聖王騎士団の本部にでも預けないとな……」


 随分と敵兵が入り込んでいる感じがする。

 本部は城の中にあるし、とりあえずここよりは安全だろう。


 ずしん……


 「どうも今日は厄日らしい」


 ずしん……

 緑色の巨人がゆっくりとこちらに戻ってくる。


 片腕にぬくもりを感じる。クリスがピッタリと身体をくっつけてきていた。

 カタカタと震えているのを感じる。


 「大丈夫だ。俺が守ってやるさ」

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