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私にだって救える世界がある!  作者: 小鳥遊葵
第一章 聖都ヴェストファーレン
21/33

ジークフリート(3)

 「へぇ、面白くなってきた。」

 ジークフリートは楽しそうにわらっていた。


 「姫、ご無事ですか?」

 しろがねに輝く甲冑に身を包んだ騎士がいた。

 クリスをかばうように両手を広げる。右手には身長を超える2メートルはあろうかという大槍を携えていた。


 「ガブリエルっ!」

 思わず歓声を上げた。と、同時に違和感がーー

 「えっ!?アナタ、翼が生えて……ぇっ?ぇっ!?」

 銀の甲冑の背から真っ白な翼が生えている。


 「……なるほど。君がお姫様の騎士ナイトというわけなんだ?久しぶりだねぇ、ガブリエル。」

 ヘラヘラと笑いながらも目は笑っていない。会話から、ジークフリートはガブリエルと面識があるようだった。

 「ジークフリート、何をしに現れたのですか?」

 ガブリエルが槍の切っ先を相手に向け、鋭い口調で問いただす。


 「何をしに!?今、『何をしに』って聞いたのかい?」

 ジークフリートの口元が歪む。嘲る様な口調で続けた。

 「『殺し』に来たのさ!殺しにきたに決まっているよね、ガブリエル!その子だけじゃない、ここにある『すべて』さ!

 すべててを奪い尽くし、すべててを焼き尽くし、すべてを破壊し尽くし、すべて殺し尽くすんだよ!」

 狂気に満ち満ちた表情で、大げさに腕を振って見せる。

 「だってそうだろう?ガブリエル、ボクらは"選ばれた"んだ。神なんだよ。何だって奪う権利がある。誰だって殺す自由があるのさ!」


 狂ってる……。

 目の前の歪んだ光景に吐き気を覚えた。


 「さぁ、殺しあおう、ガブリエル!君と殺しあうのは何十年ぶりだろう……とても、懐かしいよ。

 さぁ、ボクを楽しませておくれ!ボクをゾクゾクさせておくれよ……。」

 ジークフリートは艶かしく腕を組組むと、大鎌に頬ずりし、恍惚の表情を浮かべて、身体をくねらせる。

 その間にも、じりじりと手下の兵が包囲の輪を縮めている。


 まずい状況……よね。


 無意識にガブリエルの袖を掴んでいた。これから何が起こるのか……不安でしかない。


 「姫、少し離れていてください」

 ガブリエルは微笑みかけると、クリスを後ろに下がらせた。

 同時に三人の手下が斬りかかってくる。それには一瞥もくれず、槍を一閃すると地面には無残な骸が三つ転がっていた。

 「いいよ、いいよ、ガブリエル。その虫でも殺すかのように命を奪う様!ボクはキミのそんな残酷なところが好きだ。大好きだ!切り刻んであげたくなるよ」

 二度、三度と大槍と大鎌が空中で火花を散らす。

 アタシには早すぎて目で追うことができない。

 「黙れっ、私は楽しんでいない。貴方とは違う!」

 「違う?違わないよ!キミだって殺しを楽しんでいるだろう?残虐に魔族を切り刻んで楽しんでるよね?」

 ガチン、と、冷たい金属でできた柄と柄を合わせ、押し合う。

 その時だった、轟音と猛烈な揺れが建物全体を襲う。

 「チッ、邪魔が入ったみたいだね……だから、一つ目(ギガンテス)を使うのは反対だったんだけどなぁ」

 「な、何を?」


 「えっ、何?うそうそ……」

 床がグラグラと波打っている。下の階で何事か建物が大きな破壊ダメージを受けたようだった。

 「姫様っ!」

 刹那、足元の床が崩れ落ちた。


 やだ!?また落ちる――!?

長すぎたので分割

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