ジークフリート(3)
「へぇ、面白くなってきた。」
ジークフリートは楽しそうに嗤っていた。
「姫、ご無事ですか?」
銀に輝く甲冑に身を包んだ騎士がいた。
クリスをかばうように両手を広げる。右手には身長を超える2メートルはあろうかという大槍を携えていた。
「ガブリエルっ!」
思わず歓声を上げた。と、同時に違和感がーー
「えっ!?アナタ、翼が生えて……ぇっ?ぇっ!?」
銀の甲冑の背から真っ白な翼が生えている。
「……なるほど。君がお姫様の騎士というわけなんだ?久しぶりだねぇ、ガブリエル。」
ヘラヘラと笑いながらも目は笑っていない。会話から、ジークフリートはガブリエルと面識があるようだった。
「ジークフリート、何をしに現れたのですか?」
ガブリエルが槍の切っ先を相手に向け、鋭い口調で問いただす。
「何をしに!?今、『何をしに』って聞いたのかい?」
ジークフリートの口元が歪む。嘲る様な口調で続けた。
「『殺し』に来たのさ!殺しにきたに決まっているよね、ガブリエル!その子だけじゃない、ここにある『すべて』さ!
すべててを奪い尽くし、すべててを焼き尽くし、すべてを破壊し尽くし、すべて殺し尽くすんだよ!」
狂気に満ち満ちた表情で、大げさに腕を振って見せる。
「だってそうだろう?ガブリエル、ボクらは"選ばれた"んだ。神なんだよ。何だって奪う権利がある。誰だって殺す自由があるのさ!」
狂ってる……。
目の前の歪んだ光景に吐き気を覚えた。
「さぁ、殺しあおう、ガブリエル!君と殺しあうのは何十年ぶりだろう……とても、懐かしいよ。
さぁ、ボクを楽しませておくれ!ボクをゾクゾクさせておくれよ……。」
ジークフリートは艶かしく腕を組組むと、大鎌に頬ずりし、恍惚の表情を浮かべて、身体をくねらせる。
その間にも、じりじりと手下の兵が包囲の輪を縮めている。
まずい状況……よね。
無意識にガブリエルの袖を掴んでいた。これから何が起こるのか……不安でしかない。
「姫、少し離れていてください」
ガブリエルは微笑みかけると、クリスを後ろに下がらせた。
同時に三人の手下が斬りかかってくる。それには一瞥もくれず、槍を一閃すると地面には無残な骸が三つ転がっていた。
「いいよ、いいよ、ガブリエル。その虫でも殺すかのように命を奪う様!ボクはキミのそんな残酷なところが好きだ。大好きだ!切り刻んであげたくなるよ」
二度、三度と大槍と大鎌が空中で火花を散らす。
アタシには早すぎて目で追うことができない。
「黙れっ、私は楽しんでいない。貴方とは違う!」
「違う?違わないよ!キミだって殺しを楽しんでいるだろう?残虐に魔族を切り刻んで楽しんでるよね?」
ガチン、と、冷たい金属でできた柄と柄を合わせ、押し合う。
その時だった、轟音と猛烈な揺れが建物全体を襲う。
「チッ、邪魔が入ったみたいだね……だから、一つ目を使うのは反対だったんだけどなぁ」
「な、何を?」
「えっ、何?うそうそ……」
床がグラグラと波打っている。下の階で何事か建物が大きな破壊を受けたようだった。
「姫様っ!」
刹那、足元の床が崩れ落ちた。
やだ!?また落ちる――!?
長すぎたので分割




