表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
私にだって救える世界がある!  作者: 小鳥遊葵
第一章 聖都ヴェストファーレン
19/33

ジークフリート(1)

 まったく、話にならない!

 クリスは再び自分の部屋に閉じ込められていた。


 「なんでアタシがこんな目に合わなきゃいけないのよ!?」


 部屋から逃げ出そうと、シーツを引き裂いてロープを作ったまではよかったのよ。

 だけど、そのロープが切れ、下に落ちちゃった……そしてその下には……


 信じられない!

 男にお尻を触られた――しかも、頬ずりされたのよ!?

「普通、女の子が落ちてきたら抱きとめるでしょ!」

 そういって手元にあった枕を床に叩きつける。


 変態男の身柄を僧兵たちに引き渡すところまでは良かったわ。だけど、その後は案の定、元の部屋に連れ戻されてしまった。

 『あまり無理はなさいませんように』だって、あのガブリエル!!微笑んでまた、アタシを閉じ込めたのよ。

 窓辺にあった大理石のテーブルも撤去されたし、シーツは歯と手を使ってでは到底引き裂けないような毛織物キルトに変えられた。同じことはするな、ということね。まったく……


 窓辺に立って下を見ると、恐ろしく高いところから降りたものねと、自分の行動力にびっくりする。

 「こんな高さから落ちて無傷だったのね……。少しはクッション(あの男)に感謝した方が良かったのかしら?」

 ぽつりと呟いて、反対に空を見上げる。魔物騒ぎで上空を旋回していたものとは違うものが見える。大きく羽ばたきながら近づいてくるものが見える。

 「鳥……にしては大きいわね。ひぃ、ふぅ…みぃ――」

 全部で4羽の大きな鳥がこちらに向かってくる。

 それらは見る間にふらふらと下に落ちていくようだった。

 何かに引っ張られている……ううん、懸命に何かを引き上げようと羽ばたいているように見える。

 「こっちに……来る?」

 そのうちにカン、カン、カンと鋭く金属製のバケツを叩くような音が響いてきた。音源は一つ、また一つ、とだんだんに増えていく。


 びぃぃーん、と空気を切る音がそこかしこから聞こえる。鳥に向けてあちらこちらの塔や城壁から矢が射られている。

 黒く細い筋が空に向けて幾筋も吸い込まれていく。


 急激に高度を下げた四羽の鳥はアニメや絵本に出てくる大きな竜にそっくりだった。四頭の竜が何か大きな塊をぶら下げ、こちらにむけてふらふらと近づいてきた。


 ドカッ―――、ガラガラ――――

 ぶら下げた巨大な塊が向かいの尖塔を直撃し、屋根を破壊した。その衝撃で竜と接続していたロープが外れ、屋根瓦を何枚か割って破片を飛び散らせた。

 大きな竜は近くの住宅に突っ込み、それを瓦礫に変えると、ぐおぉぉぉんと、悲しそうな声を上げて力尽きる。体中に無数の矢を浴び、ハリネズミの様になっていた。


 「な、なにが起こっているの!?」


 この世界がファンタジーな異世界だってことは分かっていたけど、目の前の光景は飲み込めない。

 窓から後ずさったその時だった。

 窓ごと壁が吹き飛び、衝撃で部屋の端まで吹き飛ばされる。


 「痛った〜……何が――」

 よろけながら見上げると、先ほどまで壁であったところに竜が首を突っ込んで、アタシをを睨んでいた。外から見ると、ちょうど啄木鳥が気の中の獲物をついばむように塔にへばりつき、首を穴に突っ込んでいるかのように見えるだろう。


 竜の首を伝って五人程の人影が部屋に乗り込んできた。

 人を降ろすと竜はそのまま飛び去って行った。そして、竜が飛び去った後、大きく穴の空いた壁に一つの人影が見える。その人影には翼がついていた。

 悠然と二、三度翼をはためかせると、床に着地する。そして、ゆっくりとこちらに近づきながら微笑みかけてきた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ