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書いてみていい?

作者: かめの

文机でお母様が今日も書き物をしている。私はお母様のしたためる物語が大好き。だって主人公の君は帝の御子で和歌もお上手、そして女性たちにとても優しい。もちろん私もこの君の虜。私も紫の上のように愛されてみたい、などと思ってしまう。


お母様の物語は館の女御たちをも虜にしているの。もちろんお母様がお仕えしている中宮様もこの物語は大のお気に入り。続きはいつできるの?と催促なさる。


私はお母様の物語を次々に書き写してはほかの館の女御にも渡すようになった。いまは大勢が楽しんでいて、太政大臣となられたあの方にも一揃えお渡ししている。


「あの場面のあの方、どういう名前で書いたかしら?須磨?それとも明石?ちょっと調べてくれないかしら?」とお母様が聞いてくることがある。長編になってきたから、お母様も記憶が追い付かないことがあるみたい。私はずっと読んでいるからすぐに分かったけれど、確認のために手元に残った本を繰り、その場面を探し出す。


「お母様、その章なら明石がとお書きになっていましたよ。また明石が登場されるのですか?」

「ふふ、まだ内緒よ。楽しみにしていてね。」

お母様は笑いながらまた筆を進める。


ねえ、いつか私もお母様みたいに書き物をしてみたいな。お母様の物語の続きを書いてみるのもいいかもしれない。舞台はやはり京かしら、でもこの間訪れた宇治の里も趣があったわ。あそこに帝のご落胤がお住まいになっているのはどう?そして、その娘とお母様が書いている君のお子とが出会うの。ねえお母様、いつか書いてみていい?

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