表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

97/186

第96話。神の一撃~神の使いの騎士団襲撃

夕方前のドラカン集落に、場面は少し遡る。


集落から非戦闘員と子供達を逃し、

集落に残ったドラカン達と若き6人は、

ターク神父、バイロン、ダフリー夫妻、

孫娘ラリーサ、ハーネ商会ハーネと、

騎士団と対決するかどうかの相談を、

昼食を取りながら、集落前広場で始めところであった。


集落がもぬけの殻であろうとも、

ダンジョン爆破、スタンピートの誘発が、

避けられるかどうかは判らない。


騎士団を捉え、領主共々ダンジョンに捨てるのが、

最善であるとターク神父は言う。


それを行うにあたり、問題は2つある。


相手は、痺れ薬と爆薬を持つ30人の騎士団である事。

こちらより人数が多い。


そして、直接殺してはならぬ事であった。


ターク神父は、殺さねばならぬ場合、自分が手を下す。

殺さぬ程度の戦闘に、集落の者も参加して欲しいと言った。


ドラカンさんとオーラスさんは、

その場合、自分達も手を汚すと言った。


しかし、スタングレネードを使えば、

殺さずに、全員捉える事が出来るかもと、

ターク神父達に進言もした。


俺達は、スタングレネードを実践して見せる為、

もぬけの殻となった元ダンジョン、ドラカン集落に入り、

ターク神父達にスタングレネードを見せた。


スタングレネード、閃光発音弾。

リリーのライトが掛かり、

恐ろしい程の光を発する魔石を、黒曜石に埋め込み砕く。


砕けた魔石は暴発し、

内包する魔力を一気に、さらにまばゆい光と換え、

大轟音を発しながら砕け散るのだ。


スタンを始めて見たターク神父達は、驚き、

これが聖女と神の使いの戦い方かと、感心していた。


ターク神父は、俺とリリーに向かって言った。

「これを喰らって、騎士団が無事に済むとは思えません。

領主を捉え、騎士団を降伏させれば、戦闘は避けられると思います」


冒険者ギルド長バイロンも、太鼓判を押す。

「ガハハ!

アレを喰らえば、俺も危ないぞ!」


ダフリーさんが続けた。

「先に聞かされて、離れて見ててアレだものね。

まさに、神の一撃、神罰だわねw」


孫娘ラリーサも、無邪気に興奮して言う。

「こんなの初めて見たわ!

神のお使いは凄いのね!!」


ハーネさんも、耳を押さえて、頭を振りながら言った。

「まったくね。

こんな武器を隠し持ってたなんて」


いやいや、

昨日作って試したばかりの、新兵器なんすけどねw


これが、人にどの程度効くのかは、

実践してみなければ正確には判らない。


しかも、屋内ではなく、野外となると、

閃光と轟音の効果は、薄まってしまうかも知れない。


それでも、スタンが使えるんだ、やらない手は無い。


もしダメでも、その後やる事は同じ、

全員で、騎士団を襲う事に、変わりは無かった。


そこからは、スタンで先制攻撃を入れる、騎士団襲撃計画を立て、

基本戦術が決まった。


闇に乗じ山中に隠れ、行軍中の騎士団に、

俺、マメダ、ドラカンさん、ニックさんで、スタンを撃ち込む。


俺は、黒曜石つぶてとして、他3人は矢の先に仕込んで弓で撃つ。


もっと初手で、スタンを撃ちたいが、

スタンで遠距離攻撃を出来るのは、この4人だけだった。


もし、スタンが騎士団に効いた場合。

俺が、魔力探知内まで距離を詰め、荷車ごと爆薬や痺れ薬などを奪う。

その後は、殺さぬように捉え、ダンジョンに捨てるか、降伏させる。


スタンが効かない、もしくはあまり効かなかった場合は。

・・・それでも、襲うしか無い。

出来る限り殺さぬように・・・。


騎士団襲撃作戦の大枠が決まった頃、

マメダが、湖畔から来る人の気配を察知した。


近づいてくるのは一人。

隣村の若者、自警団員であった。


その若者から俺達は、隣村に領主バップと騎士団が到着し、

夕方前に、こちらに向けて出立するとの知らせを受け取った。


若者は、知らせを終えると、

トーシさん達と合流する為、森の中に早足で去った。


俺達は、騎士団襲撃計画の詳細を詰める。


ターク神父は、スタンで戦闘不能に出来、爆薬を奪えれば、

戦闘を避けられると言う。


そりゃそうか。

爆薬が無ければ、戦闘で使われる危険が無くなり、

ダンジョン爆破も出来ないもんな。


ターク神父は、続けて言った。

爆薬さえ奪えれば、後は、

ターク神父、バイロンギルド長と奥さんダフリーさんで、事を治めると。


集落の者や、ハーネさん、お孫さんのラリーサは、

騎士団に姿を見せないほうが、事を治めやすいとの事だった。


ドラカンさん、オーラスさん、ニックさんは、

それでも、ターク神父達と共に行動すると主張したが、

爆薬が奪えれば、後は政治的な問題として話しをつける。


集落の者がこの件に関われば、逆に面倒な事になる。

治まるものも治まらなくなると、ドラカンさん達を説得した。


爆薬が奪えれば、俺達は戦闘に参加しない。

奪えなければ、俺達も戦闘に参加する。


これで、大まかな騎士団襲撃作戦は、決まったのである。


襲撃場所は、湖畔。

湖畔の脇の森の中で、騎士団が湖畔を通る所を待ち伏せする。


俺達は、湖畔を通る騎士団を襲いやすく、

騎士団から発見し難い場所を探し、

そこに陣取って、騎士団を待った。



マメダが、またも人の気配を察知した。

俺達に、緊張が走る。


騎士団が来たか?

日が落ちてまだ間も無い・・・斥候か?


気配は、トーシの差し向けた、隣村の若者であった。


若者は、湖畔に沿って茂る森の中を、

あまり音を立てず、早足でこちらに向かって居た。


俺達は、若者を森の中で捕らえ、情報を受け取る。


騎士団は、小さな草原の中ほどに、

荷車と共に集結していると言う。

今、集落とダンジョンに斥候を出したところだった。


俺達は、湖畔の森の中で、

集落を偵察に来た斥候2人をやり過ごした。


しばし待ち、斥候が本隊に戻るのを待ち行動に移る。


騎士団は、草原で時を待つつもりだ。

夜が更けるまで草原で待機し、集落を襲う。


つまり、それまでは戦闘準備をしていない。


チャンスだ。



俺達は、集落を探った斥候が草原に戻るのを、

斥候の後を付けるように森の中を進み、見届ける。


村の自警団の若者が、小声で言った。

「この先、

左の山の中でトーシさんが、本隊を見張ってます」


俺達は、山の中に静かに入り、トーシさんと合流した。


トーシさんが、小声で言う。

「今、2人ダンジョン方向に向かってます、探りでしょう。

それ以外は、あそこで待機中です」


バイロンさんがしゃべろうとするのを、止めたダフリーさんが、

トーシさんとターク神父に小声で言った。

「ご苦労さんだよ。

揃ったところに、神の一撃を見舞うかい?」


ターク神父が、小声で答える。

「そうだな、

今のうちに距離を詰めて置くぞ」


トーシさんが、小声で聞き返す。

「神の一撃?」


ダフリーさんは、小声で答え、音も無く草原に向かって動き出した。

「まぁ見てれば判るよ、アンタ達はここまでだ。

手を出すんじゃないよ?」


俺達は、トーシさんと若い自警団員2人を残し、

山の森の中を、静かに騎士団が居る草原に向かって下った。


アルファ達は、湖手前の草原の脇、南側の山中で、

焚き火に集る騎士団を監視しながら、

ダンジョンに向かった斥候の戻りを待っていた。


マメダが、小声で言った。

「帰って来たわ」


それを聞いたリリーが、後ろを向いて体で魔石の光を隠しながら、

黒曜石に仕込まれた魔石にライトを掛け、

スタングレネードを用意し始める。


もう、日は暮れている。

俺の目には、草原に戻って来た斥候の姿が、はっきりとは見えない。


ドラカンさんが、弓にスタン魔石を付けた矢を番いながら、

小声で俺に指示を出した。

「アルファ、お前さんの弾速が一番遅いだー。

合図で先に、焚き火に向かってスタンを撃つだーぞ?」


ニックさんが、続ける。

「斥候が、合流した瞬間だな?」


マメダも、スタンの矢を番いながら確認する。

「アルファが撃ったら、撃つのね?」


オーラスさんが、小声でカウントを始めた。

「スタン用意・・・5、4」


カウントが始まると、

スタンの矢を番えた3人は、弓を引く。


「3、2、1」


俺は、オーラスさんのゼロに合わせて、

スタングレネードを、70mほど先の草原の焚き火に向かって撃った。


一瞬遅れて、俺の耳に、弓の鳴る音が3つ聞こえる。



ヒュッ・・・。

カシャ、バババーーーーーーーーーーン!!!!



騎士団員達の至近距離で、

4発のスタングレネードが、ほぼ同時に炸裂した。


カミナリの直撃の如き閃光と轟音が、

山の中の草原を突如襲ったのだ。


70m程の距離があり、

スタンと判っていた俺達でも、少し目が焼け耳が痛い。


ターク神父とバイロン夫妻、ドラカンさん達も、俺達も、

それを合図に、草原に走り下る。


計画通り、リリーを残しての行動である。

リリーは山を駆け上り、トーシさん達と合流する手はずだ。


走りながら、ターク神父が言った。

「効いてます!

アルファ様!荷車を!!」


俺は、ダンザとハチムに続き、

山中の森を駆け下り、草原に出た。


まだだ・・・まだ魔力探知範囲に、荷車を捕らえられない。


前方の騎士団員達は、頭を抱え、へたり込んで居た。


良し!

あと少し、あと少しだ。


俺は、ダンザの後を追いながら、

探知範囲に一番近い荷車を捕らえた。


その瞬間、荷車をアイテム収納しながら、

次の荷車を捕らえんと走る続ける。


俺は、荷車を3台、

草原に持ち込まれた荷車全てを、アイテム収納に収めた。


それを確認したターク神父から、指示が飛んだ。

「下がれ!

後は私達が片付ける!」


俺の前を行くダンザは、足を止めた。

一番近い騎士団員まで、後20mホドの所だった。


バイロンさんの大声が草原に響く。

「神の一撃を食ったな!

ガハハハハ!!」


騎士団員に反応は無い。


至近距離で4発のスタングレネードを喰らい、

完全に視覚と聴覚を奪われているのだ。


ダンザは、ドラカンさん、オーラスさん達が、

森に向かって走り戻るのを、横目で確認を取ると、

俺に振り返り言った。

「俺達も引くだな!急げ!」


俺は、その声を途中から背中に聞きながら、

先ほどまで居た、山に向かって走っていた。


俺達は、ターク神父とバイロン、ダフリー夫妻を草原に残し、

山の森の中に飛び込み、草原から姿を隠した。


振り返り、焚き火の周りの騎士団と、ターク神父達を見つめる。


騎士団達は、スタングレネードのダメージから、

立ち直る事は出来て居なかった。


へたり込んだままの者、頭を抱え這い付くばる者、

立ち上がり目を押さえ、片手を前に出し、フラフラと歩く者。


草原に居る騎士団は、完全に戦闘能力を失っている。


その騎士団員達を押しのけ、

ターク神父は、一人の老人の襟首を掴み、立ち上がらせていた。

さらっと、斜め読みでも、読んで貰って有り難いっす。


いいねやら、感想やら、ブックマークやら、

星5やらw頂きたいっす。

反応無いと、便所の落書きだものねw


別視点っす。


リアル事情により、更新頻度が落ちるかもです。

ちょいと、外伝的短編とかも書くつもりっす。

気長にお付き合い下さい。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ