第八話。集落へ~神作りと登山と酒と農民風情
シュンツ君は、南門の獣人キャンプまで付き合ってくれた。
俺は、ドラカンさんに、残ったお金を返し、
荷車を回りに目立たぬように、アイテム収納した。
俺の革装備姿を見て、
立派な駆け出し冒険者だとマメダが笑った。
お前らドラカン一行も、革装備だろうがい!
元冒険者と冒険者登録もしてないお前らに、笑われる覚えはないわ!
革で悪いか!
金属は高いんだw
リリーは、褒めてくれた・・・超嬉しい。
のびていたダンザは、復活して居た。
バイロンギルド長が、新人Gの連れはどこだー、
稽古付けてやるー、とキャンプに現れたらしい。
斧技は、片手での基本の振り方、
下段切り、カブト割りを教わったとの事。
盾技は、基本の防御の仕方と、シールドバッシュを、
盾で敵を突き飛ばす技だな。
バイロンさんから借りた盾で、習ったシールドバッシュを、
バイロンさんに掛けたら、
ダンザが気を失ったそうだ。
バイロンさんは、貸した盾を回収し、
ガッハッハと笑いながら、去っていったそうだw
バケモノめ。
そう言えば、ドラカンPTからいつの間にか外れていた。
ドラカンPTリーダーから、
二~三十メートル離れたからだそうだ。
俺は、ドラカンさんから、PT申請が来たので入り直す。
荷の売却と、俺の買出しも済み、
イーハンでの用事は終わったのだ。
ドラカンさんが切り出した。
「用事も終わった事だし、そろそろ帰るとするだか。
シュンツ君、色々世話になっただな」
「いえいえ、皆さんイーハンにお越しの際は、
またハーネ商会をご贔屓にお願いします」
「シュンツさん、お世話になりました。
またよろしくお願いしますっす」
シュンツが、商人の顔で俺に言う。
「材木の持ち込みでしたら、今度は三つに切ってお持ち下さい。
急ぎでの金策をご希望でしたら、
ゼンツへの荷運びをお願いをしたく思っております」
「仕事のオファーありがたいっす。
まずはドラカンさんに世話になり、
集落で相談してから身の振り方を考えるつもりっす」
「神作りの件、期待しております」
「神作り?なんだな?」
「ドラカンさん達には、道中説明するっすよ」
「そうか、では、みんな行くだか、忘れ物は無いな?」
ダンザ、リリー、マメダも、
口々にシュンツに別れの挨拶をした。
一行は、東、ドラカン集落への帰途に着く。
空の荷車を押す、俺の頭の中に声が聞こえた。
「アルファ、酷いだな。
バイロンさんにしごかれただ・・・」
「盾技を習う良い機会だったのよ、
きっと山神様のお引き合わせよ」
「バイロンギルド長には、
俺が危うく潰されるトコだったんすよw」
「生け贄を差し出して逃げただな?アルファ」
「それはそうと、アンタ、神作りって何よ」
アルファは、神作りについて説明した。
「教会の礼拝堂で、ここに送り込んでくれた神様と交信できたっす。
で、やはり東の大山に、土地神様、山神様が居るんす」
リリーが、嬉しそうな声を上げる。
「やっぱり、そうなのね!」
「姿、名前が無いので、下級神なのだそうですが、
お姿とお名前を用意し、信仰してお気に召せば、
タヌキ族を守護する神となってくれる、
かも知れないって事っす」
「ふむ・・・山神様がタヌキ族を守護してくださるかも、
・・・お気に召すお姿とお名前だか・・・」
「神様の姿、名前・・・
どうしたもんだか・・・だーな」
「アンタ、なんか無いの?
神の使いなんでしょ?」
「タヌキの神・・・像・・・俺の世界でタヌキの像ったら・・・
一つ思いつくけど、あれは神じゃないのかな・・・」
ドラカンさんが〆る。
「アルファに案があるなら、山神様がお気に召すかどうか、
とにかく試してみればいいだー。
アルファ、荷車はもう収納していいだぞ?」
俺は、空の荷車をアイテム収納し、
東村に向かって、森の中の道を帰る。
下りはマシだったが、こりゃほぼ山登りだ。
村から集落は・・・マジ山登りだな・・・。
村まで荷車無しで一時間強、
その村から集落まで、たぶん一時間強・・・気が重くなる。
なんでそんな山奥に集落作ってるのさ、ドラカンさんは。
しかし、杖がさっそくこんなに役に立つとは・・・山登りに。
町から村まで、半分ほどは歩いただろうか、
マメダが不服を訴える。
「アンタ、もう一度私を鑑定しなさいよ。
『双剣の才』見落としてるんじゃないの?」
「そんな才なかったっすよ」
「無いわけ無いじゃない、
アタシは双剣使いの血を引いてるのよ」
ドラカンさんが、助け舟を出す。
「マメダはな、亡くなったかぁさんが、
双剣使いだったからと言って、
双剣使いになると言って聞かんのだー」
ダンザも言う。
「無いものは無いのだし、弓の才があるそうだから、な。
立派な弓使いになればいいだーな」
「マメダは良いわよ、
私にはなんの才も無いみたいなんだから、
文句を言うものじゃないわ」
リリーは、ちょっとイジけてるのか?
「マメダが赤ん坊の頃、
かぁさんが流行り病で亡くなったもんだで、
マメダは双剣使いにこだわりがあってだな・・・」
「ドラカンさんの奥さんは、
流行り病で亡くなったっすか・・・」
「ああ、俺の兄貴夫妻、ダンザとリリーの両親も、
同じ流行り病で亡くなっただ」
ダンザが言う。
「それで、ドラカンおじさんは、
冒険者を引退して俺とリリーを引き取り、
同じ境遇、流行り病でPTメンバーを失った冒険者の、
オーラス夫妻と集落を作っただ」
「病気は怖いっすね、
医療が発達してない世界のようですし・・・」
「ああ、十分気を付けるだ。
手の施しようが無いだで」
俺は、理解した。
冒険者ギルド長バイロンさんは言った。
死んだら終り、生きて戻って来い。
元Bクラス冒険者の高僧、ターツ神父を鑑定しても、
蘇生魔法は見当たらなかった。
この魔物が出る、剣と魔法の世界でも死んだら終り・・・。
蘇生、生き返る事は無いのだ。
ぬるい様で結構ハードモードじゃないか・・・
ゲームじゃないんだ、当たり前か・・・死んだら終りは。
森の中、田舎道を登っていると、畑が、村が見えてきた。
時刻は、まだ昼過ぎと言ったところか。
「アルファ、そろそろ荷車を一つ出してくれるだか?」
「はい」
俺は、空の荷車を出した。
ダンザが荷車を引いて、俺が後ろから押して行く。
「良し、村で食料の買出しをして、集落に帰るだー」
「父さん、お酒は余計だったけど」
「そうね・・・お酒は余計だったわ・・・」
ダンザが言う。
「まぁいいだな。山神様の使いが来たお祝いだな」
俺も助け舟を出した。
「丸太で儲かりましたし、
赤字になってないなら、いいんじゃないっすか?」
「アンタ、酒飲みなの?」
「大酒飲みじゃないっすけど、まぁいける口かな」
ドラカンさんが興味を示した、どうやら酒飲みだな。
「ほう、アルファ、お前さんの世界の酒はどんな感じだー?」
「色々っすけど、ビール、ワイン、日本酒。
蒸留酒は、焼酎、ウイスキー、ブランデーって感じっす」
「他は大体わかるが、日本酒ってのはなんだな?」
「米から作るワインみたいなもんすかね。
アルコール度数は十五度くらいっす」
「ふーむ、米から酒を造るだか、聞いた事無いだー」
「今から買うのはどんな酒っすか?」
「うーん、芋や麦から作った焼酎だー。
蒸留した純度の高い酒は、地元じゃ飲まないだ。
タルで寝かせて・・・貿易品だーな。
搾りかすから、もう一度蒸留したもんをここらでは飲むだー」
「ウイスキーが貿易品、地元は粕取り焼酎って事っすね」
「ビールやワインもあるだが、ビールは運ぶのが大変だ。」
「なるほど、ワインくらいアルコール度数が無いと、
運ぶ手間賃が高く付くんすね」
「いやーねー、アンタも酒飲みなんじゃないの?
ほどほどにしてよね、お酒は高いのよ」
男二人が、反論する。
「いやー、ここらは穀倉地帯だで、
南のゼンツに比べたら四分の一か、それ以下だー」
「ニボガッツさんが作ってる、
地元用の安酒を直接買うんだから、最安値だーな」
女二人は、納得がいかない様子。
「そんな事言って、ついこの前もお酒買ったじゃない。
無駄遣いなのよ」
「そうよーアルファさん。
お酒は、ほどほどにお願いしますね」
「ははは、俺は、大酒のみじゃないっすよ。
たしなむ程度っす」
農道を、一台の荷車と犬を連れて進むドラカン一行。
三人組みで犬を連れた農民が、
少し遠くから手を振って、声を掛けてくる。
「おードラカンさん達。
どうだな?新入りさんは町に入れたかい」
田舎だ。
ちょっとした事がニュースとなり全員に知れ渡るようだ。
農道を進みながら、ドラカンさんが愛想良く答える。
「あーい、お陰さまで、ギルド登録できただー」
「おーそうかい、そりゃ良かった。
ニボガッツがいつものを、東門に用意してたよ」
犬を連れた若い農民が、
トマトが一杯に詰まったカゴを抱えて言う。
「リリーちゃん、マメダちゃん、
町行ってたんだってな。トマト持って行きな」
「いいのーいつも悪いわね」
「あら、おいしそうなトマトね。
遠慮無く頂きます」
リリーはともかく、失礼小娘マメダも人気があるのか、
田舎だな!糞ド田舎だ。
カゴから荷車に、ゴロゴロとトマトを載せ、若い農民が言う。
「まだ早いけど、今年のトマトは出来がいいだよ」
リリーとマメダが、荷台のトマトを手に取り齧った。
「この時期にしては甘いし大きいわね」
「ホントねーおいしいわ、ありがとね」
若い農民は照れている。
トマトあげたくらいで、
俺のリリーに褒められるとは・・・
なんというスケベ野郎だ。
ふざけるなよ!
マジふっざけんなよ!!
ニケけやがって!!!
お前の様なド田舎の農民風情が、
何を思って我が女神に気安く声を掛けてやがるんだ!
身の程を知れ!
ばちが当たるぞ!!
ばちが!!!
天罰が下されるぞ!!!!
・・・つーか、犬!
俺のリリーを嗅ぐな!!
飼い主が飼い主なら、飼い犬も飼い犬だ!
畜生め、マジ畜生めが!
俺の女神に近づくな!
このバカ犬め!!
犬は犬同士仲良くやってろ!!!
地上に舞い降りた、
我が女神様の匂いを嗅ぐとは、
なんたる不遜・・・。
あっちいけバカ、
バカ犬!!
石ぶつけんぞ!!!
ドラカン一行とアルファは、
村の東門に向かい、ニボガッツから買い物を終えた。
彼らは、イーハン東村より、さらに東にある集落に向かって、
広大な畑の農道から、森の山道に進んでいく。
時刻は、昼過ぎ、夕方前だった。
さらっと、斜め読みでも、読んで貰って有り難いっす。
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星5やらw頂きたいっす。
反応無いと、便所の落書きだものねw
まだ集落に着かない・・・。