第88話。動物系の魔物と対峙する特殊部隊
アルファは、麦芽糖作りを成功させ、
ドラカン集落に、新たな資金繰りの目処が立った。
シガラキがタヌキ族の守護神となり、
タヌキ族に、シガラキ教神職としての道が開かれた事に匹敵する、
アルファの成果であった。
麦芽糖作りの技術を、集落の子供達に引き継げば、
タヌキ族の繁栄に、一役買う事は間違い無いのである。
集落の女性陣は、冒険者になる以外の道が、
集落の子供達に開けた事を、大きく喜んだのであった。
麦芽糖は、酒を造るのに比べ、作るのに手間も時間も掛からない。
それでいて、この世界では、蒸留酒と麦芽糖は、同じ位の価値なのである。
聖女の商人、シュンツは、麦芽糖作りが軌道に乗れば、
隣村の酒造りより、利益が上がるだろうとの計算をしていた。
ドラカン集落は、農産国ライツの極東街道、宿場町イーハンに近い。
イーハンのハーネ商会の倉庫まで、
アルファが、水飴をアイテム収納して、隠して運ぶならば、
片栗粉と大麦の仕入れも、売り物の水飴の出所も、
他所にさとられる心配は少ないと言う。
隠す事も無いのでは?と、アルファは思うが、
公にする事も無いと、シュンツは笑った。
一方、シガラキ教聖女、リリーのレベル上げは、
順調とも言えるが、壁に当たっているとも言えた。
リリーのレベルと、聖女としての熟練度が上がらなければ、
シガラキ教の新たな神職は、生み出せないのである。
10階ボス、クレイゴーレムを倒し11階には行けるが、
11~15階には、虫系の魔物が出ないのである。
虫系が出なければ、これまでのように、
虫毒で楽な戦闘が出来ない。
また、虫系に変わって、動物系の魔物が出る事により、
魔物を倒し切るのに、手数と時間が掛かる様になっていた。
前よりも、防御壁まで辿り着かれる事が増えて、
危険が増しているのである。
アルファ達は、これまでの様に、
全ての部屋の殲滅をしていなかった。
魔力探知で、魔物の群れの構成を調べ、
動物系ばかりの部屋での戦闘を、避けているのである。
当然、前よりも戦闘数も減り、
レベルの上がりも、遅くなっているのである。
アルファは、夜、眠りに着く前に、
自室の小上がりの上に寝転び、考えていた。
動物系の魔物に対する策、その事であった。
俺が、防御壁と、大量の投げる武器を持ち運ぶ事で、
接近戦を拒否し、魔物の攻撃の機会を無くしての完勝。
これに、虫毒のお陰で、
手数が少なくて済んだのまでは良かった。
ゴブリン魔狼コボルト・・・アイツらなんだよなぁ。
あいつら、目が慣れると突っ込んで来るし、
倒し切るまでに、手数が掛かる・・・。
火力か?
あいつらを、少ない手数で倒す火力・・・。
毒か・・・。
毒ガスは、こっちも危ないしなぁ。
蜂毒は、シュンツが言うには、
手に入らなくも無いが、バカ高いらしい。
ふむ・・・。
俺の世界の軍隊なら、どうするんだろうか?
飛行機とかミサイルとか、
ダンジョンごと、ぶっ壊すんじゃない場合。
俺は、戦車とまでは行かないが、防御壁を持ち込み、
機関銃とまでは行かないが、投げ槍、投げ建材w?で、
ダンジョンの魔物相手に、どうにか安全にやって来れた。
命を掛けるのは、イヤなんだ。
復活なんて無い、ゲームじゃないんだ。
リリーは勿論、
前衛、ダンザハチムも危険に晒さず、出来るだけ安全に戦いたい。
軍隊で言えば・・・歩兵の進攻?
いや、少人数の特殊部隊の突入か?
特殊部隊なら・・・。
映画なんかで見るのは、ビルごと電気を落とすとかか?
元々、電気なんか来てないわ、ダンジョン。
真っ暗だわ。
特殊部隊は、防毒マスクで、やっぱ毒ガスか?
暗視装置で、狙撃とか?
・・・俺達には、そんな技術は無いな。
やっぱ、火力・・・。
手榴弾を投げ込んでから、魔物が居る部屋に突入?
俺の炸裂弾じゃ、火力がショボ過ぎる・・・。
逆に、火力の高い、手榴弾的な物が作れても、
ダンジョンの床や壁を大きく破壊したら、
スタンピートの恐れもあるな。
火炎放射?
火炎瓶?
アルコールはある訳だし、出来ない事も無いか?
いや・・・ダンジョン内、構内で火炎放射なんて、
こっちも危ない。
こっちも、焼け死ぬかもだし、煙で窒息だってありそうだ。
毒ガスと変わらんな・・・。
暗視装置・・・。
俺は、魔力探知範囲なら、魔物の位置を正確に掴めるけど、
扉開けたら魔物は、こっちに突っ込んで来るもんな。
こっちの明かりを消して、俺たちだけ狙撃・・・?
出来ないよなぁ。
リリーのライトの魔石で、目潰しが出来てるだけ、まだマシなんだ。
先手が取れてるし、目が慣れるまで時間が貰えてる。
俺の世界の軍隊。
特殊部隊。
屋内への突入。
毒・・・。
防毒マスク。
手榴弾。
火炎。
暗視装置。
俺達に出来そうな事は・・・。
炸裂弾。
魔力探知。
防御壁。
投げ武器。
弓。
リリーのライト。
目潰し。
シガラキの笠。
石盾。
黒曜石。
ぬ?
あれ?
電気、特殊部隊・・・。
俺は、小上がりから体を起こし、
考えを纏めながら呟いた。
「いけるかも?」
俺は、小上がりから飛び降り、
自室を飛び出て、集落入り口の詰め所に向かって走った。
・・・いける、いけるはずだ。
リリーが居れば、いける。
俺は、誰も居ないキッチンと広間を駆け抜け、
詰め所に入り、夜の番をしているドラカンさん達に、
唐突に言った。
「ゴ!ゴブリン!
楽に倒せるかもっす!!」
詰め所では、
ドラカンさん、オーラスさんが、黒曜石の槍の手入れをし、
ニックさん、ダンザ、シュンツは、ベッドに入って眠っていた。
ドラカンさんが、何をあせっているんだ?と言う表情で言う。
「なんだーな、アルファ。
こんな夜中に、何を言い出しただー」
オーラスさんも、作業の手を止めて、俺を見て言う。
「ゴブリンを楽に倒す?
なんだい?藪から棒に」
ニックさんとシュンツは、ベッドから体を起こし言った。
「どうしたアルファ?」
「何があったんですか?」
俺は、ピンと来ていない、みんなに向かって言った。
「いけるハズっす。
動物系の魔物、あいつらに食らわしてやる事が出来るっす。
今より、安全にあいつらと戦えるっす」
それでも、急な話に戸惑うドラカンさん達に、
俺は、思いついた事を興奮しながら説明する。
「ゴブリン、魔狼、コボルト、アイツラなんす。
アイツラに、食らわしてやるんす」
俺は、興奮しながら、説明を続けた。
説明を聞いた、ドラカンさんは、天辺ハゲを撫でながら言った。
「ふむ・・・悪くないだーぞ」
オーラスさんも、おれを見ながら言う。
「俺は見ていないが・・・」
ニックさんは、目を擦りながら言った。
「あれなら出来るのか?」
シュンツは、首をかしげて言う。
「そんな事が?」
俺は、詰め所の皆に、ニヤリとしながら言った。
「出来るハズっす。
いや、出来てたんすから。
明日、朝一番で試すっす」
アルファは、動物系の魔物に対する、思いついた手段に付いて、
詰め所で夜の番をする元冒険者達に、細かく説明する。
元冒険者と、シュンツは、半信半疑でその説明を聞いていた。
が、ただ一人。
ダンザは、ベットで眠ったままだった。
さらっと、斜め読みでも、読んで貰って有り難いっす。
いいねやら、感想やら、ブックマークやら、レビューやら、
星5やらw頂きたいっす。
反応無いと、便所の落書きだものねw
こんなん出ましたけど?




