第82話。商人の復讐~現実的諸問題と丸投げ
俺達は、シュンツの口車に乗って、
ゲンコツダンジョン10階、ボス部屋の扉を開いていた。
ボスの大部屋の奥に、ゴーレムが見えた。
ダンザとハチムと俺は、部屋の奥で扉を守り動かない、
10階ボス、土ゴーレムから、石つぶてを受ける訓練を行った。
ダンザと俺は、まぁ、普通に攻撃を盾で防いだが、
ハチムは、何発か盾で受けた後、
黒曜石の槍を使い、飛んで来る石つぶてを、
槍の柄で地面に叩き落した。
見学も予行演習もしたし、さて帰ろうと言う段で、
ダンザとマメダが、舐めた事を言い出した。
ボスを倒せば、11階に向かう階段と、
直接外に向かう、抜け道があると言う。
抜け道通って、帰らないか?って話だ。
シュンツのLv上げに来たのだし、
さっき約束したろ?戦わず帰るって。
初ボス戦は、元冒険者の力を借りるのが、俺の予定だ。
これだけは、譲れない。
シレっと、シュンツは、
自分のレベルが、十分上がっている事を訴えるが、ダメだ。
これだけはダメ。
俺と、ハチムとリリーの反対で、
俺達は、来た道を戻る事にする。
ダンザ、マメダから、そう文句は出ないし、
シュンツは、風向きを読んで、
早々に、来た道を戻る派に舵を切ったw
俺達は、避けられない戦闘だけをこなし、
最速でダンジョンの外に向かう。
ダンジョンを出て、広場で休憩に入ると、
シュンツが、少し意地悪な表情で言った。
「今日の儲け、僕は良いですよ」
マメダが、意地悪な表情で言い返す。
「バカじゃないの?
こっちこそ、Lv上げの護衛料、
タダにしてあげるわよw」
俺達は、そのやり取りを聞いて、笑って居た。
シュンツは、俺の方を向き、結構、真面目な顔で言う。
「いや、まぁ、冗談ですけどね。
でも、これから先、お金の事もちゃんとしないと、
PT崩壊の原因、第2位と聞いてますから」
俺は、1位が気になって尋ねた。
「一番は、なんなの?」
シュンツは、少し笑いながら言う。
「色恋らしいですよ」
ダンザハチムも、マメダリリーも、
俺達、私達には関係無いと口々に言った。
そうね、兄弟姉妹、従兄弟だものね。
第2位のお金の揉め事についても、
俺達はPTである以前に、集落の一員と言う共通認識もある。
俺達の儲けは、ドラカン集落の儲けと言う感覚だ。
HPポーション作りやら、投げ武器作ったり補修したり、
実際、裏方として集落全体に、世話になってるし。
シュンツは、今はそれでもいいが、
麦芽糖で一儲けが上手く行ったら、
そうも言ってられないと言う。
PTの儲けは、集落から分け、PTメンバーだけに分配して、
麦芽糖の儲けも、俺と集落で、しっかり分けるべきだと言う。
俺は、そこらの事が良く判らないので、
ドラカンさんに一任すると言ったら、
シュンツは、ドラカンさんと、
取り決めを交わす算段を始めた。
まぁ、金の事でモメるのはイヤだし、プロにお任せするか。
俺達PTの分配、集落との分配比率、シガラキ教としての儲け、
色々とシュンツは口にするが、俺には判らんw
ダンザ、ハチム、リリー、マメダも、
チンプンカンプンな表情で、シュンツの呪文を聞いているw
聖女の商人、シガラキ教の金庫番か・・・。
シュンツを全面的に、信用していいだろう。
俺、金勘定とか、そんなん不得意だし、
当然、ダンザハチム、リリーマメダも、
得意とは言え無そうだ。
シュンツが居てくれて良かったと、マジで思いだした。
恐ろしい才覚だもんな、シュンツの商才。
俺達は、しばし休憩し、
虫毒草を採取しがてら、集落に戻った。
集落では、平和な日常が待っている。
ハズなのだが・・・。
晩飯を食いながら、シュンツが、
シガラキ様の宣伝活動の準備をするべき、
と言い出した。
そりゃぁさ、信徒を増やせば、神職枠が増え、
シガラキ様のボーナスが付くタヌキ族が、
冒険者として、神職として、引っ張り凧となり、
結果、栄えるのは判るけど、そんなに急ぐ事かいね?
シュンツ曰く、
シガラキ様の姿を版画で量産し、
裏書に、リリーが八相縁起を直筆で記す。
それと、シガラキ様の像をセットで、布教に使うそうな。
これは、東山が見える程度に近場の、
ライツ教とゼンツ教の教会に、送り付けちゃえばいいと言う。
商売の神でもあるし、近場の商人は欲しがるかも知れないとも。
恐れ多いぞ、聖典作戦?
リバーシを改造し、シガラキ様と魔物のマークの裏表にし、
商業ギルドを通し、商売の神のゲームとして広める。
これも、宣伝布教に使うとの事。
おもちゃ作戦?
イーハン隣村のニボガッツと組んで、
シガラキ様のラベルを貼った、酒を売り出す。
ちょっと、高級にして儲けも生み出すそうな。
酒の神様なんだから、のんべぇ達に人気が出るだろうとの事。
酒飲み作戦?
ドラカンさんも、オーラスさんも、シュンツの案を聞くたび、
さすが商人だの、お前が居てくれて助かるだの、
シュンツを大絶賛していたw
もう、俺は知らんw
会計だの布教だの体外政治だの、俺には無理だ!
プロにお任せするw
全て、シュンツ様、この商才イケメンに丸投げするww
俺は、晩飯を食いながら、色々な相談を聞いていたw
俺は、明日のボス戦に向けて、
元冒険者の付き添いを頼む程度しかできん。
付き添いは、オーラスさん、ニックさんに決まった。
火力重視で、出来るだけ速く倒すためだ。
ダンザ達、若手でやりたい派から、軽く文句が出たが、
これは譲れない、俺はPTリーダーで、慎重派なんだ。
無意味なリスクは、全て排除だ。
俺は、晩飯が済むと、トイレへの水汲みを済ませ、
詰め所に行き明日の準備を始める。
まぁ、黒曜石と石から、
槍先とダンザの盾形大投石を、作るだけの話だが。
朝の襲撃を交わす大作戦も、同時に進行中だ。
ドラカンさんやオーラスさん、リリーも、
聖水や、HPポーション、虫毒草などを詰め所で作っていた。
しばらくすると、シュンツが詰め所にやって来て言った。
「アルファさん、リリー、
明日は大一番なんですから、自室でゆっくり休んで下さい」
俺は、何か言い返そうとしたが、
作業をしながら、ドラカンさんが先に口を開いた。
「そうだーな。
アルファはもう休むのがいいだー」
オーラスさんも、作業から顔を上げ、俺達を見て言った。
「シュンツは気が利くな、
アルファ、もういいぞ?今日は、ゆっくり休め」
リリーも、俺を見て笑顔で言った。
「そうね。
私も、聖水を作り終えたら、ゆっくり休ませて貰うわ。
アルファ、お休みなさいね」
俺は、出鼻をくじかれ、何も言い返せなかった。
シュンツは、俺を見て、ニヤリと笑い言った。
「アルファさん、お休みなさい」
翌朝の目覚めは、いつも通りだった。
俺は、扉の前で騒ぐおチビ達に、
起きたよー、居るよーと声を掛け、
扉に向かい、通路に出ると一番のおチビをだっこし、
おチビと犬を連れ、キッチンに向かう・・・。
俺は、キッチンの女性陣に朝の挨拶をし、
湧き水から水をアイテム収納し、トイレに向かう。
水の補給と、用足しを済まし、
おチビと犬達を連れて、外に向かった。
詰め所では、シュンツ達がぐっすりと眠っていた。
起さぬように気を使い、静かに外に出る。
出口の脇にある長椅子では、
ドラカンさんオーラスさんが、寝転んだまま、
俺に朝の挨拶をした。
いや、これが日常、これが平和、これが幸せと言うヤツだ。
俺は、自分に言い聞かせ、
今日のボス戦に向けて、気を引き締めた。
シュンツより、ボスの方が、やり易い相手に思えた。
さらっと、斜め読みでも、読んで貰って有り難いっす。
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反応無いと、便所の落書きだものねw
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復讐怖いねw




