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第73話。悔し涙と武器防具調達~獣人差別とクソ門番

俺達は、荷車2台を動かし出す。

オーラスさんが、シュンツ君に、防具のサイズ合わせに、

ダンザをイーハンに入れたいと説明した。


門番は、獣人キャンプでターク神父達と俺達が、

商談しているのを見ていたし、

教会や冒険ギルド絡みの荷で、今の今なら、

獣人もノーチェックで、荷運びとしてイーハンに入れるだろうと、

ドラカンさんは言う。


シュンツ君も了解して、若手4人で門を抜ける事となった。


ドラカンさんオーラスさんは、

持参した弁当を食って獣人キャンプで待つとの事。


オオカミを載せた重いほうを、ダンザが曳きハチムが押し、

炭や薪を載せた軽いほうは、俺が曳きシュンツ君が押す隊列だ。


俺達は、ターク神父、冒険ギルド長バイロンさん、ハーネさんに、

2分ほど遅れて、ダンザの荷車が先、

俺の荷車が後ろで南門に向かった。


先頭のダンザが南門に付く前に、俺の後ろから、

シュンツ君が門番に向かって言う。

「済みません、荷が重いもので、このまま運ばせて下さい」


南門に立つ門番は、面倒臭そうに言った。

「あ?そのタヌキもか?

獣人は入れないと何度言ったら判る!」


町中の詰め所に座っていた、感じの悪い門番が立ち上がって言う。

「っち、なんだ?教会への荷か?冒険ギルドか?」


シュンツ君は、愛想良く答えた。

「両方です」


外の門番が言う。

「知るか!

お前の商会のヤツを、連れて来れば良いだろうが?」


シュンツ君が、答える。

「ウチの人手が、今、手一杯でして、

神父様達を待たせるのも悪いので、済みませんです」


先頭のダンザは、荷車を曳きながら頭を下げ、

南門を抜けイーハンに入った。


詰め所に居る感じの悪い門番が、

ダンザに向かって歩き出す。


まずい・・・鑑定されるか?


感じの悪い門番は、

ダンザのケツを槍で叩きながら言った。

「っち!教会の荷か。

タヌキが・・・さっさと運んで出て行け」


ダンザのケツが槍で叩かれた、

バシッと言う大きな音が街中に響く。


俺は、カッと頭に血が上った。

体が震え、体中の血液の温度が、

一瞬で下がった様にも感じる。


ダンザが、何したってんだ!

クソ野朗!!

ダンザが、何でこんな扱いをされなきゃならん!?


俺は、悔しさに、目の前がぼやけた。


前の荷車を押すハチムが、

俺に振り向いて、我慢しろと言う目で俺を見る。


俺は、悔しさと怒り、何とも言えない感情が込み上げ、

下を向き、荷車を一層強く曳いた。


先頭でクソ門番にケツを槍で叩かれたダンザは、

普通の声で言う。

「教会に運べばいいだーか?」


一番後ろから、シュンツ君が答え、

門番に挨拶する。

「ええ、教会に。

すぐですから、済みませんです」


俺達は、早足で荷車を押し、

一瞬でも速く南門から離れようとしていた。


ダンザのケツが叩かれた音で異変に感づき、

門番に非難の目を向ける町の人が、チラホラ見える。


非難の目を向ける町の人に、感じの悪い門番が怒鳴った。

「なんだ?!何を見てる!!

魔物から町を守ってやってる俺達に、

何か文句があるのか?!」


門に立っている門番が、街中の人に聞こえるように言った。

「はっ!南の田舎もんは、これだから困る。

獣人風情を街中に入れてやってる、

俺達の温情ってもんが判ってないな」


俺は、歯を食いしばり、

悔し泣きを隠しながら、下を向き荷車を曳く。



クソ門番が!!

俺達よりレベルが低いくせに、何が門番だ!


これが、獣人差別ってヤツか、人間様をタヌキ呼ばわりか!


ダンザを何だと思ってやがる!今畜生共め!!

お前らの方が、よっぽど畜生だ!!チクショウ!!!


これが、クソ貴族化した、

クソライツ教の、クソ神職の、クソ血縁って、クソ野朗どもか!!



俺達は、南門から離れ、

町の中央公園でもある教会の敷地に入った。


俺の後ろから、シュンツ君が言う。

「アルファさん、我慢して下さい」


ハチムも、俺に振り向き続けた。

「良く我慢してくれました」


先頭を行くダンザが、わざと明るい声で言う。

「あんなもん、何でも無いだーな」


俺は、あからさまな獣人差別を始めて体験し、

悔し涙が止まらなかった。


無言で下を向いたまま、荷車を曳き続ける。


シュンツ君が、俺に向かって言う。

「運悪く、またゴロンに当たりましたね。

あの様子なら、鑑定はされなかったでしょう」


俺は、下を向いたまま、

声を出す事が出来なかった。


シュンツ君が、その様子を見て取り、しみじみと言う。

「アルファさんは・・・良い人なんですね」


ハチムは、振り向いて言う。

「ええ、僕達も子供達も、

アルファさんを慕っています」


先頭を行くダンザが言った。

「ああ、期待のウチの新入りだーな」


暫く進むと、シュンツ君が言う。

「ここまで来れば、南門からは見えません。

左に曲がって、ウチの倉庫に向かいましょう」


俺は、涙を拭い、

前を向いて、荷車を曳き続けた。



2台の荷車を引きハーネ商会の倉庫に着くと、

ハーネさんが倉庫で待っていた。


倉庫の作業員の人払いが既にされており、

俺はアイテム収納から、

売り荷の、HPポーション、毒消し草、魔石などを

作業台の上に次々と出す。


ハーネさんとシュンツ君は、

ポーションと魔石の数に驚いていた。


俺は、トンバーさんから預かっていたメモと手紙を、

ハーネさんに渡した。


畳まれたメモを開くとそこには、シガラキ様の絵と、

裏には、八相縁起が書いてあった。


太っ腹は、冷静さ、大胆さ。


笠は、災難から身を守る備え。


笑顔は、愛想良く。


大きな目は、周囲を注意し良い判断を。


酒瓶は、飲食を足らし人徳を。


通帳は、商売は信用第一。


尻尾は、初めより終りを太く。


金玉袋は、金運。


メモを受け取った、ハーネさんとシュンツ君は、

八相縁起をメモに取り、

このシガラキ様の姿と教えは、

ターク神父に渡すべきだと言う。


もう一方の手紙は、冒険者となり集落を出た、

オーラス夫妻のお子さん達に向けての物だった。


大体の居所が判れば、

冒険ギルドや商業ギルドを通じて、

他所の町にも手紙を送れるそうな。


居場所が変わっていた場合は、

ギルドが追跡して届けるそうだが、

その場合は、別料金と時間が掛かるらしい。


売り荷の査定を、ハーネさんにお願いし、

俺と、ダンザ、ハチム、シュンツ君は、

武器防具の買出しをしてから、

ターク神父の待つ教会に向かう事とした。


イーハンの商店街に向かい、話しながら俺達は歩く。


街中を、獣人であるダンザとハチムが、

荷車も曳かず歩いているが、

町の人には、何でも無い事の様だった。


獣人差別は、北の奴等だけってのは、ホントらしいな。

さっきも、門番の差別に、町の人は非難の目を向けていたし。


どうやら、シュンツ君と、

ダンザ、ハチムは、仲が良い様子。


話によると、ハーネ商会を立ち上げる前、

ドラカンさん、オーラスさん、ハーネさんは、

一緒に過ごしていた時期があり、

ハーネさんは、ほぼドラカン集落の者と思って良い様だ。


その子等である、ダンザ達とシュンツ君は、

幼馴染、兄弟のようなもんだと言う。


ハーネさんも、

流行り病の生き残りと言う事か・・・。


商店街に着くと、

メモを見ながら武器防具の買出しをする。


シュンツ君が居るから、

同じ町の商人同士、顔馴染みで話が早い。


俺達には、まだ手持ちの金が無いが、

前回同様、荷を差し押さえてるからと、

シュンツ君が立て替えてくれた。


まずは、マメダの半弓と矢。


10本以上ある半弓から、俺が鑑定し、

精度と耐久が高いものを2本選んだ。


弓は木だし、張ってある弦は、クモの糸なんだそうな。

値段は大した事は無い、2本買う事とする。


半弓の矢は、一本ずつ鑑定してちゃ時間が掛かるので、

ガバーっと100本纏め買いだ。


元々、10本単位で売っているし、消耗品だ。


先っちょがちょっと鉄なだけで、

後は木の棒と鳥の羽だし、大した値段ではない。


棒の部分まで鉄の、半弓の矢が少し売っていた。


普通のとは値段が段違いだ、

結構するが・・・攻撃力も耐久も段違い・・・、

10本だけ買う事にした。


シュンツ君は、マメダが双剣をあきらめ、

弓に鞍替えした事に驚いていたw


俺用の鉄の槍の穂先も、同じ店で簡単に手に入る。


これも俺が鑑定し、大体規格が揃ってそうな、

小さめで軽いヤツを5本選んだ。


でかくて攻撃力の高いものもあったが、

俺には扱えそうも無い。


やはり、柄まで鉄の槍は高価だった・・・。


ハチムの細槍の予備も欲しかったが、

ハチムがしっくり来る槍は無かったので、

今回は見送りとする。


俺とリリーの予備の杖も、目ぼしい物は無い。

こちらも今回は見送りだ。


武器購入は、シュンツ君がちょっと値切って、

合計で大銀貨1枚、小銀貨3枚。


13万円と言ったところか・・・

高いのか安いのかまったく判らん。


大体が、俺の世界は、

100円ショップで鉄の包丁が買える世界だ。


俺が今買った、小さめの槍先と包丁、

どれほどの差がある?

何が違う?


今になって思うと、俺の世界の方が、

頭が狂っている様にも感じるw


100円玉1枚で、鉄製のそこそこの大きさの包丁売って、

商売が成り立つってなんだ?w

いかれてるなw


どう言う仕組みで利益が出るんだかww

大量生産、大量消費にも程があるわ。


武器店を出て、防具を扱う店に移る。


ラッキーな事に、

ダンザがしっくり来る鉄カブトが一つあった。


ハチムのサイズは普通なので、

いくつもある鉄カブトの中から、

俺の鑑定で、防御力が高く、耐久が高いものを選び、

ハチムが試着をして決めた。


鉄鎧は、高い・・・。

鉄を使っている量が多いからだw


シュンツ君の概算では、鉄鎧を2つ買うと、

たぶん、今日持ちこんだ売り荷の値を、

超えてしまうそうだ。


ハチムサイズの鉄鎧は、いくつもあるんだが・・・

次回だな。


ダンザもハチムも、鉄の胸当てをいくつか試着する。


鉄の胸当ては、

肩から鳩尾ぐらいまでの大きさで、革紐で装着する。

前だけ鉄板、後ろは何も無い。


鉄鎧の1/5ぐらいの鉄の使用量であり、

値段もそれに比例して安い。


シャツの上に装備し、

その上から革のジャケットも装備できるそうな。


ハチムはすぐにサイズが合い、それを買う事に決まるが、

ダンザは、今一しっくり来ない様だった。


少し大きめのヤツを、しょうがないから買う事にする。


鉄の小手は4つ品揃えがあったが、

ハチムは重いから使えないと言い、

ダンザには、サイズが合わない。


木に薄い鉄板を貼り付けた小盾があったので、

ハチム用にそれも買う。


ダンザの中盾は、鉄板が張ってある物が無く、

木に厚めの革が張ってある物を、

ダンザが気に入ったので、それも買う。


鉄の靴?ブーツなど、足の鉄防具は何も無かった。

防御壁があるし、下半身は後回しでもいいか。


防具の値段は合計で、

シュンツ君が端数を値切って、大銀貨5枚小銀貨6枚。


小銀貨が1万円だから、56万円か・・・、

高いのか安いのか・・・またも判らん。


武器と合わせて、大銀貨6枚小銀貨9枚、69万円。


HPポーションだけでも100万円を超える皮算用だから、

赤字では無いな。

悪くない買い物のハズだ。


ポーションサイズの小瓶は、

雑貨屋に寄ったが、大した量は無かった。


あるだけ150本ほど買い、

イーハンに流れて来たら、貯めて置いて欲しいと、

雑貨屋にシュンツ君が交渉してくれる。


元々、流通はしている訳だし、

ターク神父の教会にも卸しているから、

構わないと店の人は言って居た。


今日は、教会から分けて貰えば良いし、

今後は、ハーネ商会としても、

ポーションサイズの空き瓶を集める。


最悪、粘液瓶でも買取をするから、

瓶問題は何でも無いと、

シュンツ君は、笑って言った。


鉄の武器防具を手に入れ、

買い物を済ませたアルファ達は、

ライツ教実力派閥、

ターク神父の待つ教会に向かって歩き出したのであった。


季節は春、時刻は正午前。


麗らかな春の日差しが、

楽しそうに笑いながら歩く4人の若者達を、

優しく包んでいた。

さらっと、斜め読みでも、読んで貰って有り難いっす。

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