第72話。集落の秘密と商談~集落とハーネ商会とターク神父と冒険者ギルド長とのつながり
俺は、ハーネさんとシュンツ君を連れて、
イーハン南門の外、ドラカンさん達が待つ獣人キャンプに向かった。
シガラキ様の事が、ライツ教ターク神父に知られて居たからだ。
俺の一存では、ターク神父に合う事は出来ない。
ドラカンさん達と相談してから、ターク神父に会うのか、
会わずに逃げるべきなのか、その辺りの事を決めるべきだと俺は思った。
ハーネさんシュンツ君を連れて南門を出ると、
ドラカンさん達は、南門の外、
獣人キャンプでまったりとしていた。
俺は、ドラカンさん達に手を振りながら言った。
「ハーネさんとシュンツ君、連れて来たっす」
ドラカンさんとオーラスさんが、手を振り帰し言う。
「おお、ハーネ悪いだーな」
「二人とも来てくれたのか」
ダンザとハチムも、こちらに向かって軽く手を振っていた。
ハーネさんが、ドラカンさん達に向かって、
歩きながら言う。
「待ってましたのよ?」
シュンツ君は、門番の目を気にしてか、
商人の顔で、後に続いて言う。
「そちらが荷ですね?」
俺は、ドラカンさん達と合流すると、小声で言った。
「シガラキ様の事、ライツ教にバレてるっす」
ドラカンさん達に、一瞬緊張が走る。
ハーネさんが、その緊張を察知して小声で言う。
「大丈夫ですわ、
まだここでは、ターク神父の信頼する者以外、知らないはずよ」
シュンツ君も続ける。
「ターク神父も、今のところ他所には、
シガラキ様の事を知られたくない様です」
俺は、言った。
「俺、そこらの事良く判らないので、
お二人に出向いて貰ったっす」
ドラカンさんが、少し安心したかのように言う。
「そうだーか、ターク神父だけだーか」
オーラスさんが、俺に向かって言う。
「ライツ教の連中はな、大部分が貴族化しているが、
ターク神父の属する派閥は違う。
信頼できるところだ」
ハーネさんが、続ける。
「ええ、私達の商会と、ドラカン達の集落は、
ターク神父のお世話になっているのよ」
シュンツ君が続ける。
「アルファさんは、僕達の事、
どのくらい知ってるんですか?」
ダンザとハチムが言う。
「特に説明してないだーな」
「まだ伝えてないと思います」
ドラカンさんが、バツが悪そうな顔をして言う。
「まぁ、なんだーな。
ちょっと複雑だでな」
オーラスさんが、俺に向かって少し笑いながら言う。
「まぁ、隠し事って訳でも無いんだが、
ハーネも俺達も、ターク神父の世話になってるって所だな」
俺に、そこの説明をして貰っている間に、
シュンツ君が、ターク神父に、
ドラカンさん達が、獣人キャンプに来ている事を伝えに行った。
複雑なターク神父との繋がりに付いて、
要約するとこんな感じだ。
冒険者として立ち行かなくなった、
ドラカンさんオーラスさんハーネさんに、
ライツ教の実戦派閥、ターク神父が仕事を与え、
影で後ろ盾となって居るとの事。
仕事の内容は、2つ。
ライツ教、実戦派閥の秘密の場所に、
ハーネ商会が、極秘に食料や日用品、
武器防具等も定期的に配達する事。
もう1つは・・・。
世間には秘密にされている、
ゲンコツダンジョンの見張りだった。
ターク神父の計らいで出来たドラカン集落は、
イーハンや東村から見れば、
いくらか魔物が生まれる山に住み着き、
魔物を倒してくれる訳だから、
無料のボディーガードって訳か。
実際、ドラカンさん達が住み始めて、
シガラキ様が、ゲンコツダンジョンに邪気を流した訳だから、
地上の野生動物の魔物化は、激減したんだろうしな。
ライツ教の貴族化は、
神職の枠を血縁に、代々継がせる事による所が大きいそうだ。
神職に就けなくても貴族的な血縁者は、
ライツ国を支配しているらしい。
ここらの領主、バップもその口だとの事。
人を守る神職が貴族化し、
魔物の出ない北方で獣人差別・・・。
魔物が居るこの世界で?
頭がお花畑なヤツらだ。
一方、ターク神父は、実戦派閥。
魔族魔物の襲来に備え力を蓄える事が、目的の派閥だそうな。
勿論、獣人差別意識など微塵も無い。
ターク神父は、孤児院の出であり、
獣人と共にダンジョンに潜り、力を蓄えた人だそうだ。
複雑?な、事情説明を俺が聞き終わった頃、
シュンツ君が、ターク神父を連れて、
獣人キャンプに戻って来た。
明らかに、でかい・・・
イーハンの冒険ギルド長、闘牛バイロンさんも連れて。
バイロンさんのでかい声が、こちらに向かって飛ぶ。
「おお、オーラス、久しぶりだな!
がはははは!!」
隣を歩くターク神父が、バイロンさんをたしなめる様に言う。
「お前は・・・。
内緒話が出来ない男だからな・・・」
シュンツ君は、ターク神父とバイロンギルド長の後ろで、
少し笑って言った。
「お待たせしました、ターク神父に来て頂きました。
ターク神父が、ギルド長もと言う事で、
バイロンさんもお連れしました」
ターク神父は、荷車のところまで来ると、
俺に向かって小声で言った。
「先だっては失礼いたしました。
改めまして、ライツ教で神職を頂いている、タークと申します。
神の使いと直接お会い出来るとは・・・。
門番の目がありますので、平伏はご勘弁下さい」
俺は、ビビりながらも小声で言った。
「あ、いや、平伏なんて、そんな、
あ、アルファっす」
ダンザが、少し笑いながら小声で言う。
「アルファに平伏なんてw
ターク神父、こいつにそんな必要はないだーなw」
バイロンギルド長が、いくらか殺した大声で言う。
「ガハハ、G。
お前がそうだったのかw
神に見放された世界から来たとの噂だか、そうなのか?」
ターク神父は、バイロンさんのケツを叩きながら言う。
「お前は・・・外にバレたら面倒な話と言っただろう?
少しダマって居ろよ?」
バイロンさんは、首をすくめながら言った。
「うー、女房が出ててな。
細かい話は判らん」
オーラスさんが、問う。
「ダフリーさんはどちらに?」
ハーネさんが答えた。
「奥様は、お孫さんを迎えに、
南のゼンツに行ってらっしゃるのよ」
ターク神父が、ドラカンさんとオーラスさんに笑顔で言う。
「良かったな、タヌキ族を守護する獣神、
シガラキ様の加護を得たそうだな」
ドラカンさんとオーラスさんは、頭を下げ言った。
「有難い事だー」
「有難う御座います」
バイロンさんとその奥さんダフリーさんは、
若い頃からずっと現役を引退するまで、
ターク神父とPTを組んでいる仲だそうだ。
冒険ギルド長、バイロンさん夫妻も、信頼して良いのだろう。
俺は、気になっていた事を、ターク神父に尋ねる。
「それっす、なんでライツ教の本部は、
シガラキ様の事を知ってるっすか?」
ターク神父は、俺の方を向き答えた。
「本部と言う事ではありません。
ライツ様の導きを受ける神職者が、ライツには何人かおります。
その内の一人、我が派閥の高位神職者に、
ライツ様より導きがあったのです」
全員、ターク神父の説明に耳を傾ける。
ターク神父は、続けた。
「その方より、私は手紙を受け取りました。
数日前の事です。
そこには、東山にタヌキ族を守護する獣神、
シガラキ様が光臨なされた。
南のゼンツ様と同じく、ライツ神と友好的な神である、
と書いてありました。
つまり、ゼンツ教と同じく、
友好的にシガラキ教と関係を築けとの命です。
しかし、問題があります。
ここが、バップと言う、獣人差別をする領主の地である事です。
領主の一派は、この地でドラカン達が、
獣神の加護を得たと言う事を、
面白く思わない可能性が高いのです。
今、ライツ教会上層部に、
その問題について極秘に手を打っている所です。
具体的には、2つ。
イーハンより東の地を、ライツ教会直轄地に、
我が派閥の地にすると言う事です。
もう1つは、
バップの首を、我が派閥の者に挿げ替えると言う事ですが、
2つとも、今しばらく時間が掛かるのです」
オーラスさんが言う。
「それまで、シガラキ様の事を、世に隠すと言う事ですね?」
ターク神父が、俺に向かって答えた。
「そう言う事情なのです。
どうか暫く、数ヶ月の間、
シガラキ様の件、口外なさらぬよう、
お願い出来ませんでしょうか?」
ドラカンさんが、安心したように言う。
「ターク神父が、良い様に計らってくれるだー。
これで一安心だーな。
アルファ、それでいいだな?」
話しを聞くにどうやら、
ターク神父は、信用して良いようだ。
俺は、答えた。
「この世界の政治について、俺は全然判らないっす。
ドラカンさん達に、俺は従うっす」
オーラスさんが、頷きながら言う。
「では決まりだな。
俺達はターク神父に、
お任せするしかないのだから」
ハーネさんが言う。
「状況が整うまで、シガラキ様の件、隠し通すで宜しいわね?」
その場の全員が頷き、大枠の方針が定まった。
バイロンギルド長が大きな声で言う。
「あー、話はついたな?
細かい話は面倒でいかんな、ガハハハハ」
シュンツ君が、商人の顔で受ける。
「いやぁ、今回も良い商売が出来ましたよ」
ターク神父も、言った。
「では後は、荷を中に運んで頂くと言う事で宜しいですね?」
ハーネさんが答える。
「はい、後は中で、もう少し細かい話と致しましょう」
ドラカンさんとオーラスさんは、商談が上手く行った体で、
ペコペコと頭を下げた。
ターク神父が言う。
「では、後ほど教会でお待ちしております」
バイロンさんが、大声で言う。
「俺はもういいな?
女房がおらんと、細かい話は判らんからなw
ガハハハハ」
ターク神父とバイロンギルド長とハーネさんは、
商談が終わった体で、南門を通りイーハンの中に戻る。
残ったドラカン集落一行とシュンツ君は、
荷を中に運ぶ準備を始めていた。
さらっと、斜め読みでも、読んで貰って有り難いっす。
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星5やらw頂きたいっす。
反応無いと、便所の落書きだものねw
また事情説明だw
かったるいね。




