第71話。天網恢恢疎にして漏らさず~町への潜入
ドラカン、オーラス、アルファ、ダンザ、ハチムと言うメンバーで、
ドラカン集落から極東街道宿場町イーハンに向けて出発した。
集落に溜まりに溜まったHPポーションを売り、
鉄の防具や武器を手に入れ、
10階より深くに潜り、リリーのレベル上げをする為である。
ドラカン達には、獣神シガラキが神聖国ライツに知れると、
タヌキ族集落がどうなるか判らないと言う不安があった。
しかし、ドラカン達は何食わぬ顔で隣村に寄り、
商人ニボガッツと、食料を帰りに買う約束を取り付けていた。
イーハン隣村では、鑑定されシガラキ教徒である事が、
バレる可能性が低いからである。
一行は、隣村を過ぎ山中の道を進み、
イーハンの周りの畑が見える距離まで、着いた所であった。
先を歩くドラカンさんが、俺に言う。
「そろそろ、イーハンが見えるだー。
アルファ、荷車を2つとも出してくれるだか?」
俺は、アイテム収納から荷車を出しながら言った。
「隣村もそうっすけど、結構畑が広いっすよね・・・。
俺の収納量隠すためとは言え、荷車押すのきついっす」
ダンザが、口をへの字にして言う。
「お前は押すだけだーな。
曳く俺は、もっときついだーぞ?」
オーラスさんが、少し笑いながら言う。
「ちょっと前までの事を思えば、少しの距離、
人目がある畑の中だけの事だw」
ハチムは、少し緊張して言う。
「アルファさんだけ町に入れば、
シガラキ様の事バレませんよね?」
ドラカンさんが、ハチムを安心させる様に軽く言った。
「そうだーな。
俺達獣人が町に入ろうとしたら、門番に鑑定されるだーが、
アルファだけなら問題無いだー」
オーラスさんも、続ける。
「ああ、いつもの様に南門近くで待って、
ハーネに連絡が取れればそれでいい。
俺達が町の中に入る必要は無い」
ドラカン一行は、イーハンを囲む畑の道に入った。
魔狼2匹とオオカミ10匹を満載した重い荷車を、
ダンザが曳き、アルファとハチムが押す。
もう一方の炭や薪を山積みにした軽い荷車を、
ドラカンが曳き、オーラスが押して進む。
しばらく進むと、南門に到着した。
一行は門に向かわず、その先にある獣人キャンプに向かった。
昼の獣人キャンプは、人気はほぼ無い。
商隊の荷馬車は、朝に町を出発し、
夕方に先方の町に着くのである。
南門の近くにあるキャンプは、
南のゼンツから来て、イーハンに入れない獣人が、
翌朝まで夜を過ごす為のものであった。
ドラカン一行は、獣人キャンプのはずれ、
南門から遠いところに2台の荷車を止めた。
キャンプのはずれに、腰を下ろしたドラカンさんが言う。
「アルファ、中に入って、
ハーネに、俺達が来た事を伝えてくれるだな?」
オーラスさんが続ける。
「シガラキ様の事、HPポーションの買取、
後は買い物の都合も伝えてくれ。
まぁ、シュンツ辺りに、ここに出向いて貰えば良い」
ハチムが、心配そうに言う。
「気を付けて行って下さい」
ダンザが、笑いながら言う。
「何を気を付けるだーな。
鑑定されても、アルファはなんでもないだーなw」
俺も笑いながら答えた。
「そっちこそ鑑定されないように気を付けてw
門から遠いから、
誰も来なけりゃ、鑑定される事も無いだろうけど」
ドラカンさんも、笑いながら言う。
「まぁ、俺らがここでシュンツを待つのはいつもの事だー。
門番がわざわざこっちに来て、鑑定するなんて事はないだー」
俺は、門に向かって歩き出しながら言った。
「じゃ、行って来るっす」
俺は南門まで歩き、
門番に首から提げた冒険者ギルドと、
商業ギルドのペンダントを見せながら言った。
「済みません。
ハーネ商会に荷を運んで来たっす。
ハーネ商会に行きたいんすけど、通っていいすか?」
門番は、街中の詰め所に居る、別の門番に向かって言った。
「っち、こんな時間にきやがったぜ?
おい、鑑定だ」
詰め所の門番は、椅子に座ったままこちらを向き、
めんどくさそうに言った。
「あ?
ああ、そいつは、東のタヌキんトコの新入りだ」
俺は、中の門番と目が合い、
愛想良く首をへこへこと下げた。
前回のアイツだ。
なんてったっけ・・・とにかく評判良くないヤツだ。
南門に立つ門番が、奥の門番に言った。
「来いよ、鑑定はお前の仕事だろうがよ」
詰め所で座ったままの、評判が良くない門番が、
俺を追っ払うように手を振りながら言う。
「良いんだよ、そいつは前もハーネ商会に来たヤツだ。
冒険と商業ギルドの証もあるんだしな、通せ通せ」
俺は、詰め所と門に居る門番2人に、
軽く頭を下げながら言った。
「あい、じゃハーネ商会にちょっと」
俺は、南門を抜け、イーハンの町に入った。
相変わらず感じの悪い門番だw
まぁギルド証があるんだし、
獣人じゃない俺は素通り出来るわな。
俺は、真っ直ぐハーネ商会に向う。
ハーネ商会の事務所には、ハーネさんが居た。
俺は事務所の入り口から、中のハーネさんに声を掛ける。
「あ、ハーネさん。
済みません、ドラカンさん達と売り荷持って来たっす」
ハーネさんは、椅子から立ち上がり、
こちらに向かって歩きながら言った。
「あ!アルファさん。
何日か前から、いらっしゃるのを待ってましたのよ?」
ほ?
待ってた?
ハーネさんは、近くに居た従業員に向かって言う。
「倉庫のシュンツを呼んで来て頂戴?
アルファさんは、こちらに座って下さるかしら?」
俺は、促されるまま接客用?
ちょっと良さそうなソファーに座った。
呼んで来るよう言われた従業員さんは、
倉庫に向かって出て行く。
ハーネさんは、
従業員さんが出て行ったのを確認しながら、小声で言う。
「PTに入って頂けますか?」
PT?
なんぞ内緒話か?
俺は無言で頷いた。
ハーネさんからPT招待が来る。
俺は入った。
「聞こえますわね?」
「はい、聞こえるっす」
「シガラキ様が生まれたそうですね?」
げ、知られてる?
「あ、はい。
なんで知ってるっすか?」
ハーネさんが、向かいの椅子に座り、微笑みながら言う。
「ターク神父から連絡があったんですのよ?
ドラカン集落で、タヌキ族を守護する神、
タヌキの姿の神が生まれたと。
ドラカンさん達から連絡があったら、
ターク神父に知らせるように、とも言われてるんですの」
俺の後ろから声がする。
「アルファさん、待ってたんですよ」
商才イケメン、シュンツ君だ。
俺は立ち上がり、シュンツ君に挨拶しようとしたが、
ハーネさんに手のジャスチャーで止められた。
シュンツ君の声が、頭の中でする。
「やりましたね!
タヌキ族を守護する神、
シガラキ様を生み出したんですね!!」
俺は、少し混乱しながら言った。
「か、隠してたんすけど、なんで知ってるっすか。
ターク神父さんが、知ってた?
なんでっす?」
ハーネさんの声が頭の中に響く。
「隠してたんですね?
隣村にも、まだ知られて無いですね?」
シュンツ君の声もする。
「良かった、
ターク神父も、その事を心配してたんです」
俺は、しばらく2人から事情説明を受けた。
2人の話を要約すると、
ターク神父には、数日前、
ライツ教本部から、シガラキ様について連絡があったとの事。
ライツ教本部が、
何故シガラキ様の誕生を知っていたのかは判らない。
兎に角、ターク神父にドラカンさん達が来て居る事を伝え、
ターク神父ライツ教と、俺達シガラキ教で、
会談をするべきだと2人は言った。
話の感じでは、ターク神父は、
シガラキ様の誕生を、歓迎しているとの事だった。
シガラキ様の事を、先に知られていたとは・・・。
名やタヌキの姿、
タヌキ族の守護神、
ドラカン集落で、とまで。
ライツ教のターク神父が、シガラキ教の誕生を歓迎?
ライツ教が、シガラキ様の事を隠しておきたい?
一体どうなってるんだか・・・。
俺は、ターク神父に付いて何も知らない。
信用出来るのか?
タヌキ族、ドラカン集落にとって、敵なのか味方なのか。
俺の判断では決められない・・・。
俺は、ターク神父に会う前に、
ドラカンさん達と相談がしたいと告げた。
ハーネさん、シュンツ君は、その事に理解を示し、
3人で、南門のドラカンさん達の所に、向かう事となった。
さらっと、斜め読みでも、読んで貰って有り難いっす。
いいねやら、感想やら、ブックマークやら、レビューやら、
星5やらw頂きたいっす。
反応無いと、便所の落書きだものねw
展開スピードうpのつもりなんだが、話がなかなか進まないっすw




