第六十八話。地上戦と炸裂弾~対オオカミ戦で初被弾
アルファ達若手PTと、
火の魔法使いオーラス、大弓使いのニックは、
集落より東、徒歩で4時間ほどの東山の裾野、
森の中にあるオオカミの巣食う洞窟に、
攻撃を仕掛けようとしていた。
俺達は、洞窟より少し高い位置にある、
テニスコートほどの平坦な場所に陣取って居た。
こちらから見て左の坂の下にある洞窟は、
まだ視認できない。
マメダが言うには、
洞窟までの距離は、100m切ってるそうな。
オーラスさんが、小声で作戦会議を始める。
「忍び寄って、先制攻撃をするか、
おびき出して、ここで迎え撃つか・・・。
どうするね?ニック」
ニックさんが、答える。
「逃げられても面倒だ。
忍び寄って、魔法の一撃で、洞窟内に閉じ込める。
その後は、出てくる所を攻撃するのがいいと思う」
マメダが、気配の報告をする。
「思ったより多いかも・・・
少なくとも10匹は居ると思うわ」
ダンザが、中盾を揚げながら言う。
「初手、出来れば洞窟内に、
オーラスさんの魔法をぶち込みたいだーな。
感づかれるまで近づいて、
俺が洞窟の口に走って出口を塞ぐだか?」
オーラスさんが言う。
「いや、ダンザが身を晒す事は無い。
防御壁戦法で行こう」
ハチムが、同意する。
「ええ、慣れてる防御壁で戦いましょうよ」
俺は、言った。
「洞窟出口30m辺りに、
防御壁で陣を張るのが、理想っすかね?
こっちの投げ武器の射程で、
丁度良いのはそのくらいの距離っす」
ニックさんが、続ける。
「出来るだけ忍び寄る。
出来れば30mくらいまで。
それほど近づけなくても、オオカミに動きがあれば
オーラスさんが、洞窟入り口に魔法を打ち込む」
オーラスさんも、続けて言う。
「オオカミの動きにも寄るが、俺の魔法での混乱中に、
防御壁を洞窟30mほどに設置し、
後は、ダンジョン内戦闘と同じだな」
ハチムが、言う。
「近場の敵から倒すんですね?」
ニックさんが頷く。
マメダが、問う。
「立ち位置はどうするの?」
オーラスさんが言う。
「アルファ、場所をニックに譲ってくれるかね?
お前さんは、俺の後ろでいいかい?」
俺は、頷きながら、元冒険者2人に尋ねた。
「俺、魔力有り余ってますし、
槍より、石つぶての魔法使っていいすか?
ダンジョン内ではチョット使い難いんすけど、
炸裂弾使いたいっす」
ダンザが、俺に聞く。
「炸裂弾?
なんだーな」
俺は、親指の先ほどの、
黒曜石で作った石つぶての弾を、アイテム収納から出し、
ダンザに渡しながら言う。
「黒曜石で石つぶて撃つと、弾が砕けるんだ。
どうせ砕けるなら、魔石を仕込んで、
魔石の砕ける力も足した、炸裂する弾だよ」
ハチムが、黒曜石に小さな穴を開けて、
豆粒大の魔石を、1つ埋め込んだ弾を見ながら言う。
「こんなの作ってたんですね」
俺は、少し照れくさそうに答えた。
「俺も、攻撃の役に立ちたいんだよ・・・。
これは狭いダンジョン内、近い敵じゃ、
前衛にも被害が及ぶかも、だから使えないんだけど。
距離のある敵、外ならね。
使って来なかったのは、
ダンジョンじゃ魔力探知にMP使うし、
攻撃に魔力回せないってのもあるな」
ニックさんが、感心して言う。
「アルファは、色々考えるんだな」
リリーが、少し自慢げに言う。
「防御壁を考えたのだって、アルファだもの。
異世界の知恵ね」
ハチムも、続ける。
「100階を越えるダンジョンにも潜った経験がある、
大ベテランですよ」
俺は、苦笑いをしていた。
だから、それはゲームだってw
オーラスさんが〆た。
「良し、炸裂弾は、
数の多いオオカミの群れに持ってこいだ。
出来るだけ忍び寄り、
俺の一撃、炸裂弾、
30m辺りに防御壁設置。
あとは、ダンジョンと同じ事だ、
これで行くぞ?」
皆頷いた。
ダンザを先頭に、俺達は腰を落とし、
ゆっくり出来るだけ静かに洞窟に近づく。
前を行く前衛達の頭越し、森の木の隙間に、
崖に小さな口を開けた洞窟が見えた。
洞窟の口は、2mも高さがなさそうな、小さなものだ。
洞窟までは、まだ50m強の距離があるか?
先頭のダンザが、小声で言う。
「一気に距離を詰めるだか?
このまま静かに進むだか?」
マメダが言う。
「こっちは風下よ、
静かに近づきたいわ」
オーラスさんが、指示を出す。
「このまま進もう、
アルファ、魔法の準備を」
俺は頷き、左手に杖を、
炸裂弾を右手に握り締めていた。
洞窟の出口付近は、背の低い下草しか生えていない、
なだらかな下り坂の、小さな広場となっているのが見える。
広場の周りは藪だ。
森に紛れて接近するにも、限度がありそうだった。
俺達は、魔法や武器の準備をし、そろそろと洞窟に進む。
・・・。
洞窟から、オオカミが一匹出てきた。
俺達は、前進を止めた。
まだ俺達は、洞窟の口30mには到達していない。
オオカミは、洞窟から半身を出して止まり、
外の様子を探っている。
周りを見渡した後、
鼻を高く揚げ、風の匂いを嗅いでいた。
感づかれたか?
前方に居るオーラスさんの右手に、
大きな火の玉が出来上がる。
オオカミがもう一匹、
洞窟の口から、外に顔を出しているのが見えた。
その刹那、オーラスさんは、森の木の間から、
洞窟の口に向けて、ソフトボール大の火の玉を撃ち出した。
火の玉は、音も無く高速で飛び、洞窟の口に入り、
横壁に当たって火柱を立てる。
それが、前進と攻撃開始の合図だった。
洞窟の口に居た2匹のオオカミは、
至近距離で火の魔法を受け、よろめいている。
ダンザとハチムは、立ち上がり前方に走る。
俺も立ち上がり、洞窟入り口に向かって、
魔石を埋め込んだ黒曜石つぶてを放った。
俺が魔法を撃つのとほぼ同時に、
マメダとニックさんの矢が風を切り、
よろめくオオカミ2匹に突き刺さった。
一瞬遅れて、炸裂弾は一直線に飛び、
洞窟の口で燃える火柱の中を突き抜け、
横壁に当たり砕けた。
バン!
と言う爆竹ほどの爆発音が、
静かな森に響き渡る。
前衛に続き、俺も走った。
オーラスさんの声が飛ぶ。
「ダンザ、止まれ!」
ダンザとハチムは、藪に到達する前、森の中で止まる。
丁度、洞窟までの距離が30mほどの所であった。
俺は、すかさず、防御壁をダンザ達の前に出す。
ズガ、ガガン!
俺は、防御壁を膝ほどの高さの、まばらに生える下草より、
高い位置に出した。
防御壁は、宙から落下して大きな音を立てる。
落ちたところは、右下がりのなだらかな坂であったが、
防御壁は大きく滑る事無く、地面に設置できた。
前方に細い木はあるが、
防御壁から洞窟へなんとか射線は取れるだろう。
洞窟の出口の炎は、まだ燃え盛っていた。
ダンザとハチムが、防御壁の定位置に付き、武器を取る。
俺達後衛も追い付き、攻撃位置に付く。
俺は、防御壁左側、オーラスさんの後ろで、
二発目の炸裂弾を右手に準備していた。
弓に矢を番えたマメダが、言う。
「居るわ、10匹以上よ」
ニックさんも、弓を引き絞りながら言う。
「出てくる所を撃て!」
洞窟の口で燃えていた火が、小さくなって来た。
触媒が、燃え尽きるのか?
・・・来た!
オオカミが、洞窟から飛び出して来る。
俺は、洞窟の口に向かって、炸裂弾を放つ。
炸裂弾が、到達する前に、
先頭で出てきたオオカミ2匹に、
矢が一本ずつ突き立った。
後ろに続くオオカミ達は怯まず、
外に出ようとしていた。
炸裂弾は、洞窟の口に横から入り、
横壁に当たって小さな爆発をする。
バン!
砕けた黒曜石が、
後ろから続くオオカミ達を襲う。
矢を受け爆発に見舞われた、
狂乱状態の先頭のオオカミに、槍が突き立つ。
ハチムだ。
オーラスさんの、指示が飛ぶ。
「トドメはいい!傷を負わせろ!!」
オーラスさんの声が消える前に、
洞窟の出口でうめくオオカミに、石盾がめりこむ。
ガボキ!
骨の折れる嫌な音が、こちらにも聞こえた。
オーラスさんの、二発目の魔法が、
洞窟の口に飛ぶのが見える。
その大きな火の玉が、洞窟の口に到達する前に、
2匹のオオカミが、疾風の如く外に飛び出す。
2匹を狙った矢は、2本とも外れた。
かわされたのか?!
その刹那、洞窟の口に火柱が立つ。
また一時、洞窟の出口は炎で閉ざされた。
2匹のオオカミは、
こちらに向かい、風の如く疾走してきた。
ハチムは、こちらに駆け上がってくるオオカミに、
投げ槍を放つが、またも避けられる。
並のオオカミじゃない?!
レベルアップで25mほどに広がった、
魔力探知に引っ掛かったオオカミを、
咄嗟に鑑定し俺は叫ぶ!
「魔狼!!」
魔狼のLvは18だった。
ダンザは、両手に盾を持ち、左半身で声を上げる。
「来い!」
2匹の魔狼は、
恐ろしいスピードでダンザに迫る。
その魔狼に、ヒュっという風を切る音が鳴り、
矢が放たれる。
一匹の魔狼は、一瞬でその場に止まり、
もう一匹の魔狼は、横にステップし矢をかわす。
俺は、ダンザと手前の魔狼の間に、炸裂弾を撃った。
横にステップした手前の魔狼は、
その勢いのままダンザに向かって来る。
バン!
魔狼の前方の地面で爆竹のような音が鳴り、
手前の魔狼がバランスを崩す。
直接は当たらぬが、鼻先で炸裂弾がハジけ、
黒曜石の破片を食らわせたのだ。
ふらついた魔狼に、槍が突き立つ。
その間、もう一方の止まった魔狼は、
再び風の如く走り出していた。
音も無く坂を駆け上がり、ダンザに飛び掛ろうとしている。
が、防御壁寸前で、急につんのめる。
網に掛かった!
防御壁の前で、転んだ魔狼に、2本の矢が刺さり、
一瞬の間を置いて、頭に石盾がめり込む。
ゴガキ!と言う嫌な音と共に、
視界にある、魔狼のHPバーが一瞬で減り、
ゼロとなった。
一匹の魔狼を倒した事を確認した時、
俺の体に衝撃が走った。
炸裂弾と槍を受けた魔狼が、
信じられぬ大声で吠えたのだ。
さらっと、斜め読みでも、読んで貰って有り難いっす。
いいねやら、感想やら、ブックマークやら、レビューやら、
星5やらw頂きたいっす。
反応無いと、便所の落書きだものねw
戦闘!




