第六十話。自覚なきイラつき~神速の移動と殲滅戦
アルファ、ダンザ、リリー、ハチム、マメダ、
ドラカン集落若手PTと、
PTに入って居ないオーラスは、
ゲンコツダンジョン1階層殲滅を終えた。
完勝である。
21部屋を巡り、13回の戦闘をし、39匹の魔物を、
防御壁中距離戦法により、
魔物に攻撃の機会を与える事無く倒したのであった。
所要時間は、36分。
戦果は、魔石39、薬草10、毒消し草6、
ラットの歯6、粘液5であった。
残りMP、リリー42、アルファ48、
オーラスは、槍投げのみをし、魔法を使っていなかった。
1階層、Lv3の魔物は、HP30~35程度である。
前回は、魔物を倒すのに9割近く、3発の攻撃が必要だったが、
アルファ達のレベルアップと、
黒曜石の投げ槍によって攻撃力が上がり、
攻撃2発で魔物を倒せるケースが、3割ほどに上がっていた。
1階層最後の部屋の戦闘を終え、
ドロップや武器の回収をしながら俺は言った。
「リリーの笠、残り10分くらいあるっす。
勿体無いから休憩無しで、
2階殲滅行きたいっすけど、どうっすか?」
オーラスさんが、一息つきながら言う。
「ふぅ・・・明るいと移動も速いし、倒すのも速い・・・。
もう1階層殲滅したのか」
マメダが、少し自慢気に言う。
「聖女様と、神の使いが居ると、凄いでしょ?」
ハチムも、言う。
「なんせ、攻撃されないんですから」
リリーが、明るい調子で続ける。
「シガラキ様の使いの陣地から、
こちらだけ攻撃してるんですものね」
ダンザが、冗談交じりで言う。
「荒事は、若い俺らに任せて、
オーラスさんは、炭焼きでもするだーなw」
オーラスさんは、苦笑を浮かべ、俺に向かって言った。
「一口ぐらい、水を飲ませては貰えないでしょうか?
シガラキ様の使いよw」
俺は、オーラスさんの前に、水入りの瓶を出し、
防御壁に武器の補充を終え言った。
「何言ってるんすかw
リリーの魔力勿体無いから、行くっすよ?」
リリーも、張り切って言う。
「さぁ、行きましょう?
笠は一回20数分だから、
3回目が切れたら休憩にしましょうね?」
オーラスさんは、一口水を飲み、
腰を曲げ杖をつく老人のポーズを取って言った。
「若いもんは、元気だのぅ」
俺は、防御壁を回収し突っ込む。
「へへ、
まだそんな年じゃないじゃないっすかw」
ダンザは、開けっ放しだった扉に向かって、
歩き出しながら言った。
「若いリリーは、やる気が漲ってるだなw
あいかわらず何もして無いだがw」
リリーも俺達も笑って居た。
アルファ達は、5階層までの魔物殲滅に取り掛かる。
2階層、3階層、4階層、5階層と殲滅を続けたのであった。
階層が深まるに連れ、魔物のレベル、
一度に相手をする数も増えて行ったが、
防御壁中距離戦法と聖女のライトの前に、魔物は無力であった。
途中、5分ほどの休憩を2度取り、
未だ無傷で、6階への階段前に到達せんとしていた。
時刻は正午近く、ダンジョン突入より、
3時間半が経とうとしている。
戦果は、魔石235、薬草64、毒消し草36、
ラットの歯34、粘液29であった。
6階の階段に続く、
扉が見える所に差し掛かった時、ダンザが呟いた。
「ハラ減っただーな」
いくらライトで明るく無傷とは言え、
ダンジョンに潜っての戦闘中だ。
俺は、緊張で、空腹に気が付いていなかったのだ。
俺は、頭を掻きながら答える。
「メシ時か・・・。
さっきの休憩で、メシにすれば良かったか」
ハチムが、言う。
「僕も、お腹減ったのに、気が付いてなかったですよ」
オーラスさんが、笑いながら言う。
「ははは、冒険者には良くある事だw
ダンジョンでは、時間感覚を失うし、
空腹にも気が付かない」
リリーもマメダも口を揃えて言う。
「お腹空いた?」
「空かないわ?」
俺は、オーラスさんに聞く。
「階段前って、扉開けなければ安全っすよね?」
オーラスさんは頷く。
「うむ、夜中には扉が開く事があるが、昼間は大丈夫だ」
ダンザが、俺に向かって言う。
「殲滅はしてるだが、防御壁出して来た道塞げばいいだーな。
メシにするだな、メシに」
俺は、言われたとおり、防御壁で後方を塞ぎ、
昼食と水入りの瓶を出して配りながら言った。
「お腹空いてなくても、食べよう・・・。
ハラ減って目を回してもなんだしね」
ハチムは、焼肉と塩漬けの野菜を挟んだ、
パンと水を受け取り、防御壁に向かう。
ダンザは、通路の真ん中に座り込み、
パンをほお張りながら言った。
「ハチムはそこが好きだーなw」
マメダとリリーは、通路の壁際に座り、
食事を取りながら言った。
「何よ?
好きにさせればいいじゃないのよ」
「投げ槍の近くに、ハチムが居てくれるのは安心だわ」
リリー達の隣に座ったオーラスさんが、
不思議そうに、誰に聞くでもなく言う。
「んん?
ハチムは一緒に食べないのかい?」
俺は、防御壁の後方、
俺の踏み台に向かって、歩きながら言った。
「いや、俺と一緒に食べるっすよ」
ハチムが、少し拗ねた様にダンザに向かって言う。
「ダンザ兄さんこそ、防御壁で食べればいいのに、
前衛なんですから」
ダンザが、パンを齧りながら、
通路のど真ん中に寝転んで言う。
「なんだーな、殲滅は終わってるだし、
気配も魔力探知も何もないだーな」
オーラスさんが、少し真面目な顔で言った。
「ダンザ、お前は・・・
ダンジョンを甘く見るんじゃないぞ?」
それでもダンザは、
通路の真ん中に寝転んで、パンを齧っていた。
なんだろうな?
ダンザのヤツめ。
何を尖がってるんだかw
俺は、虫毒の薬瓶を配りながら、
伝えて置くべき事を口にした。
「オーラスさん、6階では集中攻撃をしないっす。
カエルはライトに弱いので、最後まで放っておきます。
居ないようなもんっす。
アリとイモムシには、
一発ずつ虫毒で攻撃を入れて、その後放っておきます。
一昨日の感じでは、毒で痙攣して動けず、そのままHPが削り切れます。
これもまぁ、一撃入れれば居ないようなもんっす。
毒の量は、マメダの矢先に塗る程度の量でいいっす。
キノコは、まぁ今までと同じっすね。
コボルトなんすよねぇ・・・。
アイツは目が慣れると、
目を庇って前衛に突っ込んで来るっす」
オーラスさんが、パンを齧りながら言う。
「ここまで無傷か・・・前衛でさえ無傷・・・。
コボルトが無傷のお前らには、初の問題となる訳だ」
ダンザが、寝転んだまま言う。
「問題でも無いだーな」
俺は、オーラスさんに向かって言った。
「接近戦、乱戦が前提なら、
コボルトはなんでも無い、特徴の無い魔物なんでしょうが、
防御壁を乗り越える可能性があるのは、アイツなんす」
ハチムが、防御壁に張り付いたまま言う。
「コボルトの数が多いと、
倒し切る前に、防御壁にまで来られちゃうんですよ」
リリーが、続ける。
「この間も乗り越えられそうになったのよね」
マメダが、補足した。
「始めは目潰しが効いてるし、
3匹以上居ると危ないって感じね」
ダンザが、寝転んだまま言う。
「大した事無いだーな。
俺に寄るなら、シールドバッシュでふっ飛ばせるし、
3匹くらい取り付かせても、負ける事は無いだーな」
オーラスさんが、言った。
「ふむ・・・アルファ。
お前さんは、魔物が防御壁に迫るのも防ぎたい訳か」
俺は、答える。
「はい、危ない橋は渡らないっす。
前衛が大丈夫と言っても、
できるなら接近戦、乱戦はやりたく無いんす」
マメダが、言った。
「その為の工夫もして来たんだし、大丈夫よ」
リリーが、マメダに向かって言う。
「見えない網ね・・・どうなるのかしら?」
ハチムが、防御壁を軽く手で叩きながら呟く。
「どうでしょうね・・・
上手く行けばいいんですけど」
ダンザは相変わらず、寝転んだまま、
ハチムに向かって言う。
「ダメでもいいだな。
俺達前衛が、
陣地に魔物を入れなきゃいいだけだーぞ?」
オーラスさんが、〆た。
「ともかく、試すしか無い訳だ。
足止めが失敗でも、前衛が3人居れば、
乱戦となっても大丈夫だな。
回復役にリリーも控えてる訳だし」
俺達は、20分ほどの食事休憩を取り、
用足しを済ませて、
7回目の笠、6回目の魔力探知を掛け、
6階に向かった。
さらっと、斜め読みでも、読んで貰って有り難いっす。
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星5やらw頂きたいっす。
反応無いと、便所の落書きだものねw
ぼろ儲けスタート!




