第五十九話。段取り10割~若手5人とお目付け役でゲンコツダンジョンに潜る
朝飯を食いながら、集落メンバーの今日の予定を決める。
俺達若手は、ダンジョンで薬草集め&リリーのレベル上げだ。
5階まで全て殲滅するつもりなので、
昼には帰って来られないだろうから、弁当の用意を頼んだ。
パンに焼き肉と塩漬け野菜をはさんだものなら、
すぐに用意できるそうだ。
先に言ってくれれば、スープも用意したのにと、
トンバーさんに注意された。
リリーと、ダンザは、これからはダンジョンに潜るのは、
若手達だけで良いと主張するが、
マメダは、どっちでも良い派。
ハチムは、人数が多い方が安全派だ。
俺は・・・ゆくゆくは俺達だけで、
今は手を貸して貰うのがいいと思う。
元冒険者達は、人数が多いほうが安全派。
リリーとダンザは、自分達だけでやれる、やりたい。
集落の人手をあまり割くのはどうか?と言った論調。
ドラカンさん達、元冒険者組みは、
防御壁や虫毒に付いて経験したいと言う。
嘘だな・・・心配なんだ、俺達の事が。
トンバーさんの裁決が下る。
弁当は6人前だ。
トンバーさんが6人前しか作らないのだから、
ダンジョンに行けるのは6人w
誰も逆らえない、いかんともしがたい現実だw
これで、元冒険者1人が、
若手5人に付いて行くのが許されたのだ。
俺達はこれから、毎日ダンジョンに行くつもりだ。
それに、ドラカンさん達が大勢で付いてくるとなれば、
集落の日常が立ち行かない。
毎日1人ずつ、現実的で良い落としどころだろう。
今日、我ら若手PTのお目付け役となったのは、
オーラスさんだ。
明日以降は、まだ防御壁戦法を未体験な、
ニックさんレンダさんとなるだろう。
今日の予定も決まり、朝食は終わった。
俺達は、倉庫でゲンコツに向かう準備をする。
準備ったって、出来てるだけ中級虫毒持って、
90本の黒曜石投げ槍持って、
投げ斧も20本ほどアイテム収納に入ってるし、
マメダの矢は、武器満タンにしてある防御壁に当然あるし・・・。
ダンザが、中盾を渡して来た。
しょうがない、ダンザの中盾も持って行ってやるかw
ハチムの小盾は、自分で持って行くのかな?
オーラスさんの運ぶものは、特に無いだろうし。
あ、いつもドラカンさんが、
魔石と薬瓶用意してくれてたな。
今日から俺の仕事か・・・案外準備するもんあるな。
詰め所にあるから、後でいいか。
えーと、HPポーションと、
毒消しポーションは、15本ずつ持ってるからいいな、
リリーも持ってるしな・・・。
そんなこんなで、準備を整えた。
・・・水と弁当、忘れそうになったのは内緒だ。
トンバーさん、ありがとうございます。
危うく命拾いしましたw
俺達は、ゲンコツダンジョンに向かって、出発する。
まだ早朝、時刻は・・・7時過ぎか?
俺がPTリーダーで、盾斧ダンザ、盾槍ハチム、
オーラスさんも前衛をすると言う。
後衛は、弓マメダ、槍投げの俺。
あとは、後衛の後衛w照明係w
いや、支援魔法PT防御UP&目潰し&回復担当、
我が女神リリーと言う構成である。
聖女リリーさん・・・忙しいなw
ドラカンさんも、前衛やったし、
オーラスさんも、レベル20越え魔法使い・・・
前衛して貰うのが助かるか。
湖に出て、左に曲がり湖畔に沿って10分、
谷を下って川を渡り、谷を登り湖畔に出た。
湖畔を進み、ゲンコツ山に入る。
40分ほどで、ゲンコツダンジョン前広間に到着した。
各々戦闘準備に入る。
リリーは、杖に棒を虫糸で継ぎ足していた。
マメダが、投げ槍の柄より細い棒を準備してくれたそうだ。
いつの間に・・・。
マメダめマメだなw
俺は、中盾をダンザに渡し、
防御壁を出し、オーラスさんに立ち位置を教える。
ドラカンさんと、一緒の場所でいいだろう。
オーラスさんは、黒曜石の投げ槍が使いたい様だw
攻撃は、オーラスさんの判断で魔法、
投げ槍どちらでもいいと思う、
お任せする事にした。
詰め所から持って来た、首から提げる薬瓶をみんなに渡す。
水を少し飲み、トイレを済ませw
水と防御壁をアイテム収納し・・・準備万端だ。
ダンジョン入り口に整列し、俺が指示を出す。
「オーラスさん、PTに入ってません、
声に出して行きましょう。
目的は、薬草集め、リリーのレベル上げっす。
先ずは、防御壁戦法で、1階層殲滅をするっす。
リリー、笠とライトを。
俺も、魔力探知始めたっす。
笠、24分、探知35分・・・では、行くっすよ」
俺達は、ダンザを先頭に、左右にオーラスさんハチム、
その後ろに、マメダ、俺、
最後尾にリリーと言う隊列で、自然洞窟に入った。
リリーのライトは素晴らしい、
暗闇に入るのとは段違いの気軽さだ。
ダンザが、入り口の扉に着く。
俺は、ダンザの後ろまで進み言った。
「中に探知無し。
防御壁を出して、位置に着く練習をするっす。
オーラスさん、ハチムと同じ様にやって下さい」
オーラスさんが、頷く。
「では出します、3,2,1」
ゼロで、扉の先に防御壁を出す。
ズズ・・・。
小さな地響きを合図に、
ダンザが扉を開け、光が差し込む部屋に飛び込む、
リリーは、開いた扉の間から、部屋の中を照らし出す。
ハチムとオーラスさんが、
ダンザに続き、俺とマメダも後に続いた。
ダンザが、防御壁先端に着き、声を上げる。
「来い!」
ハチム、オーラスさんが、
防御壁の左右、投げ槍の設置された定位置に付く。
一瞬遅れて、マメダと俺は、
防御壁後方にあるステップを踏み防御壁に登り、
戸板の裏の定位置に付く。
リリーは、俺とマメダの間、少し後ろに立って、
右手にポーション、左手の杖を掲げた。
「居ないっすね、魔物」
オーラスさんが、こちらを向き、眩しそうに言う。
「うむ・・・防御壁・・・ライトか、
俺は、一本投げ槍、持っておくかな?」
ダンザが言う。
「ドラカン叔父さんも、一本持ってただーな」
オーラスさんが、
防御壁から黒曜石の投げ槍を一本抜きながら言う。
「そうか、そうだろうな」
「防御壁で戦うの初めてっすから、
オーラスさんは様子見でいいっすよ」
オーラスさんが、少し笑いながら言った。
「っふ、数日前には、
お前さんが気絶しないか心配してたんだがなw」
ハチムが、少し笑いながら答えた。
「今やPTリーダーですよ」
みんな軽く笑って居た。
俺も、少し笑いながら指示を出す。
「防御壁回収するっす、マメダ降りて。
先行くっすよ?
ダンザ、扉まで」
ダンザを先頭に、
明るく照らし出された小部屋を進む。
扉に着いたダンザの後ろまで俺は進み、言った。
「通路、20m反応無し、
マメダ、気配は?」
マメダが声に出して答える。
「無いわ」
「じゃ、防御壁無しで、先に進むっす。
ダンザ、開けて」
リリーの掲げるライトの魔石が、
通路を明るく照らし出す。
ダンザが言う
「居ないだーな」
俺達は、ダンザを先頭に通路を進む、
ダンザは、扉の前で止まった。
ダンザの後ろまで行った俺は、報告し指示する。
「20m魔力探知に引っかかる物無し、
ダンザ入って」
ダンザは部屋に入り、俺達も続く、
リリーのライトが大部屋を照らし出した。
ハチムが言う。
「居ませんね」
マメダが答える。
「通路の先にも、気配は無いわ」
俺は指示を出す。
「脇道を潰そう、一番近くから」
ダンザは頷き、大部屋の中を、一番近い脇道に向かって進む。
ダンザは、扉の無い脇道の前で止まった。
ダンザの後ろまで行き、俺は報告する。
「通路に反応無し」
ダンザは、脇道に踏み込み、
リリーは、脇道を照らすように大部屋の中で位置を取った。
脇道に魔物は居なかった。
先に、扉が見える。
ダンザが先頭で、扉まで行き、
俺は、ダンザの後ろまで行き、
先の魔力探知結果を伝える。
「居ます」
鑑定結果も伝える。
「左10mネズミ、右15mナメクジ2、
奥までは探知出来ないから、
まだ居るかもっす」
俺は、指示を出した。
「左のネズミから、3発入れるつもりで、
ナメクジ距離あるから、敵の攻撃は気にしないで」
皆頷く。
「じゃ、防御壁出します、2、1」
ゼロで俺は、部屋の中に防御壁を出した。
ズズン。
小さな地響きを合図に、
ダンザは両開きの扉を押し開け中に飛び込む。
リリーのライトが、扉の間から、
暴力的な明るさの光で、部屋の中を照らし出す。
ハチム、オーラスさん、マメダ、俺も、
部屋の中に走りこんだ。
ダンザは、防御壁の先端に着き、左半身で盾を前に出し、
斧で防御壁を小突きながら声を上げる。
「こい!」
左のネズミは、眩しさに驚いて居るのか、固まっている。
そのネズミに唐突に、投げ槍が突き刺さる。
オーラスさんだ。
俺は、防御壁に飛び乗り、
奥に居るキノコを鑑定した。
その刹那、矢と投げ槍がネズミに生える。
視界にあるネズミのHPバーは0だ。
右のナメクジは動き出していた。
俺は、咄嗟に指示を出す。
「スラッグ、手前から」
右前方、手前のナメクジに投げ斧が飛んだ。
が、当たらない。
俺も、手前ナメクジに投げ槍を放つ。
刺さった。
HPバーでダメージを確認する間も無く、
矢と2本目の投げ槍が、
手前のナメクジに連続して突き刺さる。
マメダとオーラスさんだ。
手前ナメクジのHPは0。
後ろのナメクジに、投げ槍が突き立つ。
ハチムか。
続いて、投げ斧が当たり、俺の投げ槍も刺さった。
ナメクジは片付いた、残りはキノコ。
と、思う間も無く、前方奥のキノコに矢が突き立っていた。
次々に投げ槍と投げ斧が飛び、
キノコのHPも0となっていた。
俺は確認した。
「4匹だね?」
ダンザが答える。
「うん、4匹だったーな」
俺は、防御壁を降り、
投げた武器とドロップ品を回収しながら言った。
「リリー、扉閉めてくれる?
どうっすか?
オーラスさん、こんな感じっす、大体」
オーラスさんが、うめく様な声を上げた。
「ふぅ・・・防御壁と投げ槍、
魔力探知とライトの目潰し・・・」
マメダが、少し得意げに言う。
「ね、5人でも6人でも、
どっちでも良かったでしょ?」
リリーも、同調した。
「私達だけで、低層なら行けるわ。
心配要らないでしょ?」
ハチムは、そうは言ってもと言う口調で言う。
「6階まで行くんですよね?
今日も」
俺は、答えた。
「そのつもりっす。
1~5階を全部殲滅して薬草集め、
余力があれば、6階でレベル上げの予定っす」
オーラスさんが、納得した様に言う。
「なるほどな・・・これほどの物か」
ダンザが、笑いながら言う。
「薬草も食わず、
6階まで行って帰って来ただーなw」
オーラスさんが、笑い返し言う。
「信じられない事も無かったが、
やはり目の当りにするとなw」
俺は、防御壁に武器の補給を済ませ、
少し笑いながら言った。
「一戦して、慣れて貰ったところで、さっと先に進みますか。
5階まで殲滅となると、時間も掛かるっす、たぶん」
リリーが、張り切って言った。
「行きましょう」
ダンザが、扉に向かって歩きながら、茶化す様に言う。
「お前、なんもしてないだーぞ?」
俺は、リリーの代わりに、ダンザに言い返してやった。
「斧2発外してるお前が言う事か?」
マメダも、ハチムも、オーラスさんも、リリーも笑った。
ダンジョンの中で、
こんなにもリラックスする事になるなんてな。
そんな事を考えながら、
扉の前に立つダンザの後ろに立ち、
来た道の魔力探知結果を報告する。
「通路、反応無し。
ダンザ、行こう」
さらっと、斜め読みでも、読んで貰って有り難いっす。
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星5やらw頂きたいっす。
反応無いと、便所の落書きだものねw
日常的、戦闘。




